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28 訪問者

 学校を退学にならないよう最低限のダンジョンで狩りをして帰宅した。夕飯は昨日の残りにしようかと考えていると、インターフォンが鳴った。カメラを覗く、フランが立っていた。ドアを開ける。俺は驚いた。彼女はペンギンのぬいぐるみを大事そうに抱えてた。


「な、何かあったの?」


「しばらく泊めてもらおうかと。こっちの部屋、なんだか寝つきが良くて」


(メンタルヒーリング効果のある魔法かけたからな)



「それは?」


「相棒よ。それがどうかした?」


「いや……いいぬいぐるみだと」


 フランは嬉しそうに答える。


「でしょう。でもこれ限定品だからダメ。あげない」


「……ざ、残念だなー」


(俺には似合わないから要らない)


 フランがスンスンと鼻をならす。僅かに口元が吊り上がる。料理の香りが漂ってきたからだ。


「えーと、泊まるの……駄目かな?」



(あまり関わらない方が……だけど助けを求めてくるならほうってはおけないか)


「どうぞ……」


 不安そうな瞳で見つめられた。その表情を必死に隠そうとしているので自然と手を貸したくなり、それを了承した。


「もう少しで夕飯出来るから待ってて」


「後でお金はらうから」


「気にしなくて大丈夫。作り過ぎたから、丁度良かった」


「ダメ。せめてそれくらいの事はさせて。助けてもらってるばかりじゃ居心地が悪くなる」


「そういうことなら」


 昨日の余った食材も使ってもう二、三品作る。肉類もしっかりと取らないと、ダンジョンで力が出ない。14歳の食べ盛り。体調が戻っていることもあり沢山食べた。特に唐揚げ等の肉料理を美味しそうに口に運ぶ。食後、フランは幸福そうな顔をしていた。美味しかったと絶賛してくれた。



 風呂や歯磨き等を済ませて、寝室に入る。彼女は先にベッドで寝ていた。ペンギンをしっかりと抱いている。ヒーリングをかけ、今日はリビングで時間を潰す。一時間半が経った頃、立ち上がった。


(深く関わった以上、それなりに責任は取らせてもらう)



 空間転移で廊下に出る。そこはカメラの死角。そして急に現れてもおかしくない位置。そこから目的地、フランの家のドア前に行くと一人の男がいた。イライラとしており、焦っていた。


「くそ!! なんで開かないんだッ」


「無理だよ。その家とその隣は特定の人物しか開けられないようになっている」


「ッ……お前っ。何故!!」


「お前がストーカーで間違いないか?」


「くっ。違う!! 僕はフランちゃんのフィアンセだ!!」


 男は走って階段を下りてマンションの外へと逃げ出した。しかしもう顔は見た。今夜でフランの悪夢は終わらせる。


誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

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