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19 解散したパーティー

 一週間はあっという間に過ぎた。今回は五人の死者が出たそうだ。皆はショックを受けながらも普通に学校生活を送っている。よくある事なのかもしれない。


 俺は相変わらずF組。だがこれでいい。そんな事よりもレナはA組になったので、今度祝おうと思った。


 トトモトと軽太郎がC組に昇格した。マコはE組に降格。一番驚いていたのはアヤで、B組に昇格した。個人で抗議に行った。


「先生なんでですか!! 私はそんな昇格される程成果を出してません!! LVもそこまで達してないですっ」


「入学時のクラス分けは主にLVを見ているな。そして、A組からF組まで基準となるLVは設定されている。しかし、スキルやそれ以外の本人の素質で昇格は十分にある。何故だか分かるか?」


「分かりません」


「それは勇気も評価されるからだ。蛮勇とは違う、生き抜く力と言い換えても良い。その意志があるヒーラーは重宝される。強いクラスに上げ、強い者とパーティーを組ませることで経験を積ませればLVが早く上がる事がある。その可能性を考え、優秀な者はクラスを上げるんだ」


「……その逆もあるってことですか?」


「……失敗した者は一度反省をしないといけない。冷静に考える時間が必要だ。それより今は自分の事に集中しろ。前のパーティーと組むのもありだが、新しい出会いがあるだろう。ウチダのパーティーは……いや、言うまい。お前の意志に任せるとしよう」


「……分かりました。それでは失礼します」


 職員室を去ろうとしたアヤコに教師が質問をした。


「そうだ。トトモトたちは最後どうなったんだ? 渡された映像、最後の部分だけが見れなくてな。よく分からなかった」


「……私にも分かりません。彼は誰かに助けられたと言ってましたが」


「……そうか。引き留めて悪かったな。以上だ」



 二段階昇格は珍しい事だ。知らないところで誰かの反感を買う可能性もある。だがアヤコはまだマシな方だった。



 クラス替えの発表があった翌日には皆クラスを移動する。E組にソイヤとマコがいた。慢心、判断ミスによりパーティーを危険にさらした。リーダーは周りから嘲笑の対象となっていた。


「お前のせいで、パーティーメンバーが死んだって?」


「……お前には、関係ない」


「おいおい、リーダーだったんだろ? そんな無責任な言い方。自分の無能さを認めろよ」


 マコがその会話に入ってきた。


「そうだよッ。あんたの判断ミスのせいでラリが死んだんだからっ。それに私の片腕も無くなった!! もう探索が出来ないじゃない、どうしてくれるのよぉ!!」


「っ……すまない」


 彼女は片腕を無くしたせいで精神を病んでいた。被害者になることで自分の精神を守っているのだ。それを分かっているソイヤはジッと黙って耐えていた。先日、ソイヤはラリの両親にも謝罪に行ったが、罵倒されて門前払い。彼は怒りの矛先を何処に向ければ良いのか分からなかった。そんな気も知らずに元パーティーメンバーのマコは高圧的にリーダーを攻めた。



「そうだマコちゃん。俺たちのパーティーに来るか?」


「でも私片腕が……」


「関係ないさ。俺たちならマコちゃんをちゃんと守ってあげられるよ。そいつと違ってなッ!!」


「嬉しいっ。入れてほしいぃなっ。こんなのよりもそっちのパーティーに!!」


 ソイヤは立ち上がると早退する。トイレに入り壁を思い切り殴る。拳から血が溢れていた。瞳から涙がツーとこぼれた。


「くそぉぉッ……なんでだよ。痛みを感じねぇな……」



 F組では男子がざわざわとしていた。女子も嬉しそうにしていた。このクラスは関係ないのだが、A組に可愛い留学生が来るらしい。しかも飛び級で入るようだ。


「米国から来たってよ。超かわいかったぜ」


「あっちではかなり有名らしいぞ」


「でも、小さかったな……シオリンの圧倒的勝利だな」


「は? あの子、俺と同じくらいだから165前後はあるぞ」


「お子ちゃまめ」


「ん?」


「なぁパーティーに誘ってみようぜ」


「だな。挑戦はしないとな。それが探索者(シーカー)ってもんよ!!」


「俺もー!!」


 その日、男子は皆ダンジョンに行くと言って、何処かに旅立った。数分で廊下やグラウンドに生気がまるで感じられない、生きている屍が転がっていた。全員断られて撃沈したらしい。


(まあ。そりゃーA組のパーティーに入るだろうな)



 個人でダンジョンに潜ろうと教室を出る。その時に噂の銀髪の少女とすれ違う。こちらに全く興味を示さない。彼女は凛として何処か大人びていた。


 知り合いの14~15歳の少女を思い浮かべ、ついつい比べてしまった。


(なんか格好良い人だなー。雰囲気が幻想的だ。まるで別世界の……王女殿下っぽい)


 姿が似てるというわけでは無いが久しぶりに異世界を思い出した。とはいえ特に彼女に用は無いのでそのまま学校を後にした。


誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。


5/7 誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

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