144 技術提供
数日後、ギルドに向かう。過去に武具を解析した事があり、その情報を書類にまとめてギルマスに渡す。技術的には少し上くらいのものを選んだ。
魔法が存在しながらも科学が発展している理由。もしかしたら技術が飛躍的に上がった時代では、異世界人が情報を提供したのかもしれない。
ギルマスはパラパラとページをめくる。
「マナ……その扱いに関しては、我々はまだまだ未熟だということか」
「どのくらいでできる?」
「これは極秘の扱いになる……」
「時間がかかるか。完成品を作れたら是非みたい」
「分かった。その時は声をかけよう」
フランたちの装備を強化したいと思い、技術提供をした。
「そうだった。そういえば黒霧が話をしたいと言っていたな」
「カムイが?」
「いや、当主。父君の方だ」
「……」
「警戒はしなくてもいい。黒霧家は古くから我が国を守っている。お礼でもしたいのだろう」
さらに数日後、黒霧家に行く。道端でシオリと偶然会い、何故かついてきた。迎えの車に一緒に乗る。到着すると巨大な屋敷と門が目の前にあった。
「大きいな」
「竜より小さい」
流石に屋敷全体と比べると竜の方が小さい。気がする。なにかのメッセージだろうか。
「……大きかったな。竜」
特になにもせずとも、勝手に周りの使用人らしき者たちが案内してくれる。広い客間に通された。
カムイにそっくりな男が座っていた。しかし、カムイにはない落ち着きと、威圧感がある。そしてなによりも、柔らかい表情をみせてきた。
「よくぞおいでなさった。さあさあ、お座りなさい」
明るい初老といった様子だった。どちらかというとカヅキを思い出させる。当主の隣にはまたしてもカムイ似の男が一人いた。今にも刀を抜きそうな様子で警戒をしていた。
「シンリュウ。お前は外に出てなさい」
「しかし、父上……ッ」
「もし彼が我々に害を加える気なら……誰にも止められぬよ。お前も分かっておろう?」
「……」
そこでシオリが言う。
「勝負したい」
「ん? シンリュウとか?」
「うん」
「ハッハッハ。面白い子だ。やってやれ」
「承知しました」