表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/149

143 静かな圧力

 数時間後、ギルドに顔を見せるといつもの二人がいた。経緯をある程度話した。ギルマスは立ち上がる。


「感謝する……」


 深々と頭を下げた。重傷者は多数いた。だが、幸い死者はでなかった。


「偶然だ。気にする事はない……」


「それにしても良かったのかい? 結構カメラがあったみたいだけど」


「それは大丈夫。妨害してある」


「は~。すごいね」


 ギルマスが聞く。


「そうだ。今回の魔物……どの程度の強さなんだ?」


「……ざっと、フェンリルの2.5倍ほどかと」


「ッ……それが四体も……歪みの原因は分からないのか?」


「まだなんとも……」


「そうか……」




 翌日、配信サイトでは幾つもの動画が上がっていた。しかし、どれも一部分だけが映っていなかった。突然現れた男。どのカメラでもそこだけが不自然に抜けていた。次に映るのは地面に落ちた竜らしきものと探索者(シーカー)だけだ。


 その謎の現象に様々な憶測が飛び交う。魔物や妖怪、妖精、宇宙人やダンジョン人などだ。その場にいた者は口をそろえて言う。空間の裂け目から男が現れ、竜を倒して空間に吸い込まれたと。


 その後、その地はパワースポットとして、人が度々訪れるようになったという。




 動画を見ながらフランが唸っていた。俺はソファーでくつろぎながら、ジュースを小まめに飲んでいた。


「ん~。どれも駄目ね……確かにエクスだったと思うんだけど」


 傍でじゃれついていたシオリがフランの方を見た後、俺を見ながら言う。


「エクスだった」


 俺はゴクゴクとジュースを必死で飲む。旨い、と完璧なリアクションをして誤魔化す。


「そうですわね……」


「あの怪物を簡単に倒したって事?」


「そう」


「……弱らせてたから……」


「じゃないですわね……」


「だよね。あのえげつない術から抜けた後もピンピンしてたもんね……」


「竜は私たちよりもただ一人の人間を。エクスを恐れてましたわ」


「怯えてた」


「ん~。いったい……」


 スゥと立ち上がり、兎と遊んでいるシズの方に行くと、シオリもトコトコとついてきた。


「……シオリ、今日の夕飯なに食べたい?」


「竜肉」


「ははは、大変な戦いだったよな。動画で見た!! 今日は豪華な肉料理かなぁ!!」


「やりましたわ!!」


「楽しみ!!」


 それを聞いて、フランとライラが喜んでいた。なにも言わなかったシオリ。しかし、まんざらでもないようすだった。






次回からは投降頻度が数日に一回になります。時間は変わらず22時投降です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ