136 共闘
ある時、竜の巣窟1000階層で探索していると、空間の歪みを発見した。
(さっきまではなかったのに……鬼が出るか蛇が出るか)
レナはフランたちと合流していた。種類は多いが見た事のある魔物。しかし、形が一部異形になっていたり、しっかりと武具を装備したりと奇妙である。
「強いわね……」
「ですわね」
魔物には個体差がある。しかし、今現している魔物は、その中でも上位かそれ以上の力をもっていた。
「最低でもLV20はほしいね」
フランが本部に報告をする。
「連絡がありますわ。LV30以上は竜の方へと」
「レナが一人になるじゃない」
「さすがに前衛がほしいな……」
「話は聞かせてもらった」
背後から男に声をかけられた。誰もいない。少し視線をあげると高い所にソースがいた。
「同じ理由でカヅキと別行動することになってな」
彼は見事に着地する。
「もう向かった?」
「ああ、乗り物は準備してくれているぞ」
彼に案内されるとホバーバイクがあった。空を飛び走行するバイクだ。普段は海上で使われている。緊急時には陸でも使われることがある。早速二人乗りで三台のバイクの後部座席に乗る。
竜を誘い込んだ荒野へと発進する。それを見送った後にレナは言う。
「サクさん、皆を助けに」
「ああ!!」
現場が見えてきた。巨大な竜が空を飛ぶ。軍がそれを撃ち落とそうと奮闘する。戦闘機に乗った男が叫ぶ。
「あれだけ撃ち込んでもピンピンしてやがるっ。俺たちは星でも相手にしてんのかッ」
「弾薬が足りん!!」
地上。離れた位置に隠れている者たちがいた。見覚えがある。ソウシなどフェンリル討伐にいたメンツがいた。その他にも有名人がいた。
日本に現れた竜は一体。後は奇妙な魔物のみ。一番強大な敵を倒すために、リニア新幹線や軍の航空機でここに集まった。
武道家のナナセが言う。
「遅かったな」
フランが聞いた。
「今の状況は」
「ああ、軍が地上にあれを落とそうとしている。疲れて落ちた時を狙って、私たちが一斉攻撃をする」
大魔導士のソウシが言う。
「あれはそうとうやばいね。脆そうな翼とか狙ってるけど……あの通り……」
竜は確かに傷ついている。しかし、どれも浅く疲れている様子はない。
ガーディアンのクロスが言う。
「今回は後退はほぼできないと考えて良い。取り逃がせば我々の責任は大きいからだ……」
街が破壊されるだけでなく、他国に逃げる可能性だってある。皆はその事実に深刻な表情を見せた。
「空を飛べば軍が、地上に落ちれば俺たちが迎え撃つ。ここから絶対に逃がすなッ」