135 赤い竜
警戒レベルは5。住民に避難指示が発令された。人々は空を見上げて戦慄する。
「りゅ……竜だァ!!」
「う、嘘……」
「化け物ぉ!!」
「に、逃げろぉぉぉおおお!!」
地上ではパニックが起きていた。竜の炎が街を焦がし、巨体がビルを破壊する。遠くから、高速で接近する音が響く。
軍の戦闘機が巨大な竜の周辺を飛行し、注意を引く。機体やエンジンにダンジョン産の金属が使用されており、硬度と熱耐性が大幅に向上している。エンジンは魔防壁を応用し、空気の流れを調整して推進力の最適化を図っている。
エンジンにある二次燃焼装置の轟音が周囲に響いた。赤い竜が戦闘機を追いかける。昔に起こったスタンピードで荒野になった地域に誘い込む。
ギルドマスターは突然に現れた魔物に対応していた。緊急指令室から複数の場所にリーダー格を送り込み、避難誘導や魔物討伐をする
「門以外から出てきている。いったいどこにいた……ッ」
校長も入ってきた。
「いない……ようだね」
「ああ……しかし、やらねばならない」
「カムイには連絡を送ってる」
「助かる……」
シオリ、フラン、ライラが臨時パーティーを組み、街中を駆け巡っていた。竜の姿が見えなくなり、安堵したためか思考が回りだす。そこで、フランが叫んだ。
「な、なによあれ!! あんなのッ。私たちが倒した炎の竜がまるで蜥蜴じゃない!!」
「ッ……そう見えましたわね……」
「あれが本物かも」
シズとレナは家にいた。逃げる準備をしていたが、竜がいなくなったことで一旦待機する。
「あの規模だと逃げるのは無理だね……」
「お姉ちゃん。こわい……」
「……大丈夫。私たちがきっとなんとかするから……」
「うん」
その時、数mはある鳥が突進してきた。
「危ない!!」
移動しようとするが間に合わない。しかし、建物に当たる前に鳥は透明ななにかにぶつかった。
「な、なにが……」
鳥は偶然ぶつかったことでこの地を認識し、怒って何度もぶつかった。そこでパタパタと白いなにかが飛ぶ。
「あ、お兄ちゃんのゴーレム」
「え?」
「校長先生の贈り物だって……」
カイコは窓際にいくと鳥を見た。
「なに……を……」
「開けてほしいのかな?」
「駄目!!」
次の瞬間、鳥が絶命し落下する。レナは驚愕した。シズを窓際から離し、ベランダに出て地面を確認する。動く気配はない。窓を閉めて中に入る。
「……もしかしてここが一番安全なんじゃ……」
パタパタと飛び、シズの肩に乗った。シズが光に覆われる。レナを見つめる。
「だ、大丈夫だから、行けってこと?」
パタパタと羽を動かす。
「シズちゃん。その子から離れちゃ駄目よ!!」
「うん!!」
こうしてレナも街に向かうのであった。