133 平穏な日
俺は荷物を見張っていた。さっきまでペンギンのリンと一緒に泳いでた。疲れたようなので、ビーチパラソルで休憩させる。
フランたちは海水が膝くらいまで浸かる位置で、ボールで遊んでいた。ボールの素材はダンジョン産だ。
五人が一旦休憩で浜辺に上がった時、男の人に声をかけられた。
「あれ、君たちかわいいね~」
「ねーちゃんデカイねェ!!」
目の前にライラがくると、彼らは顔を視線を上げて言い直す。
「お、大きいね……ねーちゃん。いや、マジで」
「なんですの?」
「ハッ!! 良い所があるんだけど一緒にいかない!!」
「お断りですの」
「なんでェ!! 折角海にきたのに皆で遊ばないとか意味なくなーい!!」
「そうそう。女性だけだと危ないしー」
俺は近寄って止めに入る。
「お昼どうする?」
「そうですわね。焼きそばがいいですの!!」
その笑顔に男たちはなにかを察した。
「え? なにこいつ?」
「弱そうだな」
「俺たち平均LV14なんだよね~」
(ここはゲームで決めるか。一発殴らせて、起き上れたら負けで諦める的な……LV5くらいに合わせて)
そこでシオリが呟いた。
「ビーチバレー……」
それを聞いた男たちが笑う。
「なるほど。良いぜ。俺たちの得意分野だ」
するとそのやり取りを聞いていた別のグループが、名乗りを上げた。
「なら俺たちが最強だがな」
「は? 誰だァてめぇは。浜辺の飛び魚と呼ばれた俺を差しおいてなに言ってやがる……」
次々と周囲から名乗りが上がり、ビーチバレー大会みたくなった。人数は六人とルールがちょっと違うが、AチームからFチームまで集まり、白熱するその試合はAチームの勝利で幕を閉じた。彼等はお互いを称えあい、打ち上げに行った。
試合が開始する前、予定通り焼きそばを食べた。食後、少し休んだ後に俺たちは遠くでビーチバレーをしていた。
(ネットたけー)
身体能力がLVで上昇してるためか、ネットを高くして遊んでいた。俺とシズは隣でスイカ割をした。遊び疲れ、校長を探して旅館に戻る。借りた部屋は二部屋。校長は言う。
「ここ混浴しかないって」
「そ、そんな旅館あります?」
「あるんだよ……」
「じゃっ、おっちゃんは先に入って上がるから。頑張れよ」
「なにをですか……」
そして俺は、その部屋に備え付けられた露天風呂を満喫した。フランたちも自分の部屋の浴槽に入ったようだ。その後、部屋に呼ばれたので夕飯を待ちながらトランプなどで遊ぶ。
「ねぇキョウ。ここで寝ていけば? 結構広いし」
「え、じゃあ。広縁で寝ようかな」
「いや、こっちでもよくない?」
「実はこのスペース好きなんだよね」
(ちょっと秘密基地っぽくて良い)
「そ、そうなんだー」
遊び疲れて、皆は眠りについた。こうして俺たちは修学旅行みたいな体験をしたのであった。
誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。