127 仲良くなった
フランはキョウの家に戻っていた。家にはシオリがいた。
「おかえり」
「ただいま」
「キョウは?」
「さあ?」
その頃、キョウは自宅に向かっていた。その隣にはフードを身に着けた静音がいた。
少し前、ギルドマスターに報告していたら、校長が偶然現れた。そこで校長の知り合いの家で引き取れば良いと、案をだしたのが採用された。
(こっちで獣人に会ったのは初めてだったから驚いたけど……というか最初から耳があったのか……?)
思い出しながら歩いていると、彼女は不安そうに震えていた。
「大丈夫。優しい人たちだから」
玄関から音が聞こえたのでフランがリビングのドアを開ける。すると、リンとリリも玄関にトテトテ、ぴょんぴょんと向かう。フランは驚いた。隣に誰かいたからだ。
「ん。そっちの人は……?」
「あ、ああ……親戚の知り合いだよ。色々あってしばらく引き取る事に……」
「へー」
挨拶をした時にフードがずれ落ちた。フランは驚愕する。狐のような耳があったからだ。
「え……キョキョキョウ……そんな趣味がっ……」
「あ、いや……これは、なんと言えばいいか」
「じゃあその子の趣味? 良くできてるね。触っても?」
「ぇ……あ、はい……少しなら……」
少し興味があるのかペタペタと触る。静音からくすぐったそうな声が漏れる。次第にフランが首をかしげた。
「え……?」
「あー……それ、本物っぽい」
「……っ……そ、そっかぁ!! そんな事もあるよねー!! ここじゃああれだから中に!!」
フランは廊下の壁にぶつかりながら、リビングに入る。校長が今西静音と付けたのでその事と、記憶がないことを伝えた。
「はー。びっくりした。映画の中だけかと思った……」
「……」
「ごめん。悪い意味じゃないよ」
そんな時、隣の家のドアが開いた。寝起きのライラがやってきた。
「よく寝ましたわ~……んん!!」
静音を見て驚いた表情になり、その場で固まっていた。同時に一度自宅に急いで戻ると、すぐにやってきた。
「私も持ってますわ!! 良いですわよね」
兎の耳を着けてやってきた。よくできていて、偽物だと気が付きにくい。
(なんで持ってるんだろ……)
「お姉ちゃんも同じ!!」
「そうですの!!」
二人はすぐに仲良くなった。
(少し元気になったし。いっか)
シオリは静音をジーっと見ていた。それに気が付いたのか気まずそうに言う。
「あ、あの……お姉ちゃん……?」
「シオリ、どうした?」
「……」
「ええっと。シオリお姉ちゃん……?」
「良い子」
お姉ちゃんと呼ばれた事で珍しくしたり顔になった。彼女の頭を撫でていた。意外に早く仲良くなった。その時、ペンギンがツンツンと静音を突く。
「かわいいー。珍しい……鳥さん?」
「見たことないの?」
「う、うん」
「それじゃあ、お姉さんが教えてあげる」
「本当!? ありがとう!!」
フランにスイッチが入り、ペンギンの説明を始めた。どうやら皆と仲良くできそうだ。