124 穢れを祓う
シズクと一緒に祠の奥へと進む。
「ここまで奥にきたのは初めて……」
「助けがくるまでずっと一人で戦ってたのか」
「怖かったけど、それが使命だから!!」
「そっか……」
ある時、足元からパキリと乾いた何かを踏む音が聞こえた。無数の骨があった。
「人骨か……」
「気を付けてっ、なにかいる!!」
奥には縄で縛られた黄金色の髪をした少女が側面を向いて倒れていた。
「助けないと!!」
「待って……」
シズクはそこでハッとした。天井に奇妙な魔物がいたからだ。口から液体を吐いた。彼女はそれを後ろに跳んで避けた。地面に落ちるとジュウっと音がした。
「なんだあれは……」
縛られた少女の前に着地してこちらを威嚇する。顔などは男の人であったが、骨格が少しおかしい。合計六本の手足で移動していた。
「それは俺のものだ!! 離れろォ!!」
「その子を解放しなさい!!」
「ゲヘゲゲゲ!! 嫌だねェ……」
シズクに液体を飛ばしてきたので、魔防壁でそれを防ぐ。
「ありがとう!!」
俺は魔物に話しかけた。
「なぁ……お前はなんだ?」
「……ゲヘゲヘゲヘ!! なんだったかな? 人間? だよなぁ!!」
それを聞いたシズクは嫌悪感を隠さずに言った。
「化け物め!!」
結界に閉じ込める。結界内に光の魔法のようなものが発生し、魔物に襲い掛かる。魔物は苦しんでいたが結界を割って逃げ出した。
「俺にここまでの傷をッ……化け物だって……それは貴様とて同じだァ!!」
シズクに魔物が飛びついてきた。それも魔防壁で防ぐ。
「ッ……」
「シズク、援護は任せろ……好きに戦うと良い……」
「デ、デッド……貴方は……」
「ああ……」
俺を見つめるシズク。そして、彼女は覚悟を決めた表情になった。そこからシズクの猛攻撃が始まる。反撃が全て防がれる事に焦りを覚えた魔物。
「背後の男……お前はいったいっ?」
「探索者だよ」
「探索者……」
「それで、どうしてお前は人を……」
地面に落ちた人骨をチラリと見た。
「ゲヘゲヘゲヘ!! 理由は……ん~。あァ!! 忘れたがっ……本能だろうな!! きっと本能が俺をそうさせる!!」
それで怒りをあらわにしたシズクが全力を出す。
「終わりよ!! 化け物!!」
「この程度でェ!! ……なにッ!?」
今までで一番強力な結界に閉じ込めると、そのまま魔物を浄化しようと力を込める。必死に暴れて逃げようとするが、結界が予想以上に硬かったようだ。
「グオォオ!! 化け物め!! お前がいなければッ、あと少しだったのにっ。こいつを喰らえばッ。俺はァ!! 俺のォ!!」
さらに光が強くなる。魔物は苦痛の声をあげなから消滅した。
「や、やったの?」
「そう。シズクが倒したんだ」
シズクの目を見てしっかりとそう明言した。