123 奇妙な依頼
ある日、デッドはギルドマスターに呼び出され、話を聞いていた。
「神隠し?」
「そうだ。この森の周辺地域で度々女性が何人も消えている。原因を調査してほしい」
地図を渡されて、その場所に向かうと壮大な森が広がっていた。集落を見つけたので寄る。村人を発見した。おじさんが向こうから来て話しかけてきた。珍しい服装をしていた。
「珍しい。こんな村に。何か御用かな?」
「最近神隠しが多発しているとお聞きしまして」
「……神隠し?」
「村の女性が消えるという事は……?」
「あー、はいはい。知ってる知ってる。ただ女だけでなく男も消えてなくなった」
(話が少し違う?)
「どの辺りかは分かりますか?」
「だいたい北東の方に~」
地図を渡すと指を当てる。
「ありがとうございます」
教えてもらった方向に進む。心なしか、気味が悪い。その道中、大きな岩が真っ二つに割れていた。周りは酷く汚れていて中は綺麗だった。
「最近割れたのか」
<エコーマッピング>を使い、周辺の様子を調べる。違和感がある場所を発見する。
(結界か……)
近くに行ってみると祠のような場所があった。そこに入っていくと中は広かった。そこはダンジョンであった。
(地質が違う……つまり元々祠だった場所に後からダンジョンが発生した。いやこれはダンジョンというよりは……)
そこで奥から魔物が現れた。奇妙な魔物が多かった。蜘蛛や蝙蝠、一瞬人の顔かと見間違う。よく見ると魔物。襲い掛かってくるので、それを倒して奥に進む。
その時、奥から黒い髪の女性が現れた。
「きゃ!! って人? こんな所で何にっ?」
驚いて転んだ。手を差し出すと立ち上がる。理由を話した。
「って事はようやくお上が動いてくれたんだ!!」
「もしかして一人で戦って?」
「そうよ。でもいくら巫女でも流石に全部倒すのは無理だって……」
「そのために来た。協力するよ」
「助かるわ!! 私は雫。よろしくね」
「俺はデッド」
「変わった名前ね」
「よく言われる」
彼女のジョブは珍しい。結界に長けている。光魔法に近いもので魔物を次々と倒していく。しかし、時折慌てんぼうなところもある。よく転ぶ。そのせいで巫女服がボロボロだ。
「イテテテ。あ、かんざしがっ」
落ちたかんざしを座ったまま拾う。
「大丈夫か? ごめん。ちょっと見るよ」
脚を見ると傷跡があった。
「だ、だ大丈夫!! それ古傷だから。完治はしてるけど、記憶が残ってるみたいで」
(確かに治す必要はない……トラウマになってると)
「あの……じっと見られると。流石に恥ずかしいと言いますか……」
「悪い!! 痛くないならいいんだ」
「いいよいいよっ。心配してくれたんだよね!!」
彼女は慌てて立ち上がった。その時、奥を見る。
「凄い邪気が溢れてるね……」
「行こう……」
誤字報告下さった方、ありがとうございます!!! 修正しております。