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121 流れるような様式美

 強盗が状況を呑み込めず硬直していると、さらに無線が入る。


「うわあああ!! 化け物だ!! 虫がぁ!! 虫が!! 速いっ。逃げらっ……ぐっ」


「応答しろ!! おいッ。何が起きたんだ!! ……な、何が……」



◇◇◇◇



 数分前に遡る。強盗の一人がトイレに行った。


「ふんふんふーん♪ いやーさいっこう!! 怯えた顔傑作だったな!! このまま逃げ切って、また……くくく」


 用を足していると、何処からともなく、カイコが現れた。


「うおっ。なんだ虫か。びっくりさせやがって。邪魔だ」


 小さなカイコを何気なく手で払った瞬間、激痛が走る。その部分を見てみると腕が変な方向に曲がっていた。


「うぎゃああああ!! いてぇええ!!」


 小さいモフモフがパタパタと飛んで、ジッと男を見つめていた。


「よ、よくも!!」


 拳銃タイプの魔法銃を構え、連射する。すると弾を全て弾く。


「な、なんだこいつぅ!!」


 彼は急いで無線を入れる。その間にもゆっくりと近寄ってきた。


「う、うわ!!! た、助けてくれ!! ……うわあああ!! く、来るな虫がぁ!!」


 トイレに居た男はカイコに触れただけで意識を失った。



◇◇◇◇



 軽太郎にも無線が聞こえ動揺する。


「な、なんだ……何が……」


「さあ?」


「何か。強盗側に予想外の出来事があったようだな」


 異変を察知した強盗たちは連絡を取り合った。そこ現場に数名が向かう。俺の前に居た強盗は言う。


「くそっ……何が起こってるんだ!!」


 さらに無線に連絡が入る。


「何か白いのが俺たちを襲ってッ!!」


「何処に行きやがった……」


「おい!! 後ろだ!!」


「うぎゃああああ!!」


「撃て!! 撃てぇ!!!」


 銃声が鳴り響く。そして、悲鳴が聞こえ、連絡が途絶えた。


(なんかパニック映画みたくなったな……)


 強盗の一人が酷く怯えていた。


「ま、まさか……巨大な虫たちが人間に復讐をするために!! こ、こんなデパートに居られるかッ!!」


「おい待て!! この場から迂闊に離れるな!!」


 警告を無視して彼は走って走り続ける。そして彼もそれを見た。剣を抜き切りかかると剣が砕け散った。銃を乱射する。そして、彼は悟った。


「……ぁ、あ……駄目だッ!! 人類じゃ何をしても倒せない!! ……白い、悪魔ぁ……ッ。うわあああ!!」


 強盗は次々と減っていく。特殊部隊が外で待機していた。一人が近寄り報告する。


「どうやら、中で予想外の出来事が起こり、お互いが連携が取れてません。踏み込むなら今かと……」


「ふむ。突撃命令を出せ」


 一斉に特殊部隊がデパートに突入する。直後、彼等は驚いた。強盗が全て意識を失っていた。起きていたのは縛られた市民だけだった。


「な、何が……」


「急げ!! 全員確保するぞ!!」


「はっ!!」


 何故か校長が来ていたので、訳を話すと俺達は素早く解放された。二人になった時、校長が言う。


「強盗、何故か全員眠ってたって。で、起きたら錯乱状態で。何か……小さくて白いのにやられたらしいよ?」


「はー。不思議な事もありますね」



 魔切包丁は無事取り返した。マグカップなども無事。こうして大事件は幕を閉じた。一件落着だ。






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