120 久しぶりの再会。初めてのまともな会話
学校では久しぶりにステータス測定があった。レナはLV25になっており、嬉しそうだった。学校では一年生のフランと二年生のレナの実力が圧倒的。それは三年生もそれを認めている。
フェンリル討伐にも参加している事が知られており、彼女等は人気者で自然と人が集まってくる。告白する男性が後を絶たないだとか。
後日、ゴーレムが届いたのでポケットに忍ばせておく。正確には異空間に隠れている。証拠の箱は大事にとっておく。
食材を買うついでに、包丁などを新調しようと、デパートに来ていた。学校帰りなので制服だ。
(魔切包丁っ。魔物の骨までスパスパ切れます。LV1でもあら不思議……いいね。これにしよう)
裏を見ると、切れすぎるのでまな板も換えるようにおすすめされていた。ふと近くを見るとまな板も置いてあった。
(まな板も買おう)
お店の中を歩いていると、フランが持ってなさそうなペンギンのぬいぐるみがあったので、購入する。他にも黒猫、小麦色の兎、ペンギンの絵柄のマグカップを購入。自分用に紺色のマグカップを買う。
食材売り場に行こうとした時、トトと軽太郎が歩いていた。こっちに気が付いたらしく、声をかけていた。
「お、確かF組の……」
「キョウだよ」
「そういえば、お互い。あんまり知らなかったな。俺は軽太郎。こっちはトトだ。買い物か……?」
「そう、食材とその色々」
二人は何か気まずそうな雰囲気を出していた。特に軽太郎は申し訳ないと言った感じであった。そこでトトが言う。
「すまなかったな。キョウ」
「ん?」
「そうだな……あの時は悪かった。すまなかった、謝罪する。俺たちは未熟だった」
(だいぶ昔の事を……)
「いいよ。気にしてないから」
「強い男だ……」
「そう言ってくれると有難い。じゃあ、俺達はこの後ダンジョンだから。お前もダンジョン探索する時は気を付けろよー」
「ああ。そっちもな」
別れようとしたその時、悲鳴が聞こえる。
「大人しくしろ!! このデパートは俺達が占拠した!! おら!! 全員金目のものを出せ!!」
複数の強盗が流れ込む。天井に銃を乱射すると穴が開いた。
(デパートもあの船ほどじゃないが、魔防壁が張っている。魔法銃か……)
そこで勇敢な男が強盗に襲い掛かる。
「運が悪かったな。残念だが俺はLV24の探索者シーカーだ!!」
彼は強盗に反撃するも一瞬で倒された。殺されなかったのは都合がいいからだ。彼は命乞いをしていた。
「た、助けてくれ!!」
「LV24程度じゃ俺達には勝てねぇよ……」
「次逆らう人間がいたら善良な市民から殺していく!! 覚えておけ!!」
周辺の者は抵抗を止めて縄で縛られた。軽太郎とトトは悔しそうな表情をしていたが、LV一桁なので無駄に死人が出るだろうと、警察や軍にゆだねる。
強盗の一人が近寄ってきて荷物を漁る。
「お、魔切包丁じゃん。これたけぇんだよなー。ラッキー」
(……)
「お、なんだその眼はぁ。やんのかぁ? ……ん?」
その時、仲間からの無線が入った。トイレに行った者からだろう。
「う、うわ!!! た、助けてくれ!!」
「なっ。だ、誰かいるのか!!」
「うわあああ!! く、来るな虫がぁ!!」
「おい!! 応答しろ!! おい!!」
無線が切れた。強盗は突然の出来事にどうしていいか分からず。ただただその場に佇んでいた。
「虫……だと……」