118 サプライズ
サラマンダーを倒した日、ライラたちを豪華な食事で出迎えた。皆満足そうにしていた。それから数日が経過した。シオリが聞いてきた。
「キョウ。録画したい」
「ん? 珍しいな。ええっと。でもこれライヴ配信だから、後で何回も見れるよ」
「良かった」
シオリの隣に座った。そろそろ始まる。映し出されたのは、ライラとフランだった。司会者が言う。
「ライラさん、フランさん。本日、お越しいただきありがとうございます。上代さんは急用のため来られないそうですね」
(急用?)
ちらりとシオリを見たが、モグモグとお菓子を食べていた。ライラがフランに伝えてくれたらしい。
前回と同様に、デッドやエクスの事を伏せて質疑応答していた。感謝の気持ちでいっぱいだ。
ライラが面白い事を言って場を和ませていた。フランは意外に緊張していて、シオリがそれをジッと見ていた。
(これが目当てだったのか)
その時、見知った女性がゲストとして呼ばれていた。
「それではご紹介します。今っ、人気絶頂中の歌姫、天宮花恋さんにお越し頂きましたぁ!!」
「え!! ええええ!!」
フランが驚いていた。カレンが凛とした様子で入ってきた。
「癒し系アイドルこと天宮花恋ッ!! 参上……ッ」
彼女はしっかりとポーズを決めていた。
(すでに癒し系じゃない気が!!)
配信コメントでは皆、癒されていたのでそうなのだろうと納得した。その時、フランが立ち上がる。
「あの!! カレンちゃん新曲買いました!! サ、サインください!! あ、色紙が……ふ、服にっ。あ、駄目。目立たない……ッ」
あたふたとしていると、カレンが微笑む。
「ふふふ。こんな事もあろうかと」
二枚の色紙を取り出した。
「す、凄い……さすが天下の歌姫……」
(その子、武器は持ってないけど、色紙は常に持ってるからね)
目の前で華麗にサインを書いた。
「ありがとう!! 大事にします!!」
フランがカレンのファンだと知り、配信コメントではかわいい等、色々と書き込まれていた。
「あの。綺麗な氷はいったい誰が……」
「そういえば、皆には言ってなかったわね。サンタクロースよ……あわてんぼうのねぇっ!!」
「サ、サンタさんからのプレゼントって事!!?」
(流石のフランもそれは信じないか)
「じゃああの曲の歌詞はそれを歌ったのね!! あーそっかッ。だとしたらっ。嗚呼、パズルのピースが埋まっていくぅ!!」
「そこに気が付くなんて。鋭いわねフランチェシカさん。合格よッ」
フランは凄く照れていた。
(滅茶苦茶ファンやん)
司会者がきっちりと進めていた。皆が楽しんでいたようだ。配信が終わり、裏に行くとライラが言う。
「どうでしたか。サプライズは!!」
「ライラ……まさかあんたが!! 最高だったよ!!」
フランはライラに抱き着いた。
「フランがそこまで喜んでくれたのなら、良かったですわね」
抱き着いた時、ライラの胸が当たる。どことなく悔しさが込み上げてきたので、そっと離れた。
「……」
「どうしましたの?」
「ありがとうライラ!!」
フランは今のを無かった事にして笑顔でやり直した。
「え、ええ。喜んでもらえたのなら」
「そうですわ。この後、ダンジョンにでも」
「分かった。今日彼は?」
「いつもの四人ですわ。彼が来るのはかなりレアですの」
「そっかぁ……」
その後、カレンと裏で色々話したらしく、フランは家でもテンションが高かった。