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116 炎を纏った……魔物

 ボスの階層前にフランはもう一度言う。


「本当に行く気なの!? フェンリルと同格と考えても良い魔物よっ」


「私も知りたいんですの……」


「……何を?」


「まるで白昼夢。あれはもしかしたら、私の思い込みではなかったのかと。時々そう感じてしまいますの……」


「ライラ……」


 以前倒した巨大な蛇の話をしているのだろうと、フランは何となくそう感じた。


(ワクワクが漏れてる。たぶんボスと戦いたいだけだな……)


 73階層。入った瞬間にその異様さに気が付いた。暑い。奥に進んでいく。それはボスが原因なのだとすぐに分かった。全身が炎に包まれた魔物がいた。ブラックドラゴン(リザード)に近い形をしている。


「炎の竜……」


「サラマンダーですわ!!」



 フランが<アイスウォール>をいくつか作り、それが発する冷気によって周辺の温度を下げる。その時、四人は驚愕した。サラマンダーが周辺の岩陰から複数体現れた。


「ッ……長い間倒せなかった事で数が増えてるッ。流石にこれは無理よ!!」


「取り巻きは俺が引き付ける……四人はボスを頼んだ」


「待ってっ。それは……ッ」


 明らかに巨大なのが一体こちらを凝視していた。


「やはりそう来ましたか……」


「任せた」


「フラン……ボスを倒そうっ」


「ちょっと! なんで納得してるの!!」



 シオリが既に体に雷を纏い、飛び込んだ。早速、魔物の体全体を試しに切り、弱い部分を見つけにかかる。


「やるしかないのねッ!! エクス、どうにかして隙を作る。だからそれまで逃げ切って!! 皆で脱出するッ」



(やっぱり冷静だ。それでいて強い意思……フランは決して折れない)


「善処するよ」


 ガーディアンを真似て挑発する魔法を創った。15体いるサラマンダーを引き付ける。


(ボスと同時に取り巻きを倒す)


 それまではサラマンダーの炎を纏った攻撃を全て防ぎきる。ライラは<フレイムストーム>を放つ。するとシオリの付けた浅い傷が治った。


「今回これは使えなそうですわね」



(容量を超えない限りは自身の力として取り込む事が出来る。炎でダメージを与えるには相当の火力で攻撃するしかない。しかし、二属性持ちはそれに対応できるのが強み)



 レナとフランは氷主体でボスを攻めていた。ボスは周囲に纏っている炎を飛ばす。ライラとシオリは絶対に当たらないように避ける。


「<アイスウォール>」「<アイスウォール>!!」


 フランとレナが氷の壁を張り、味方に降り注ぐ炎を遮る。


(この感じ……強化魔法がかかってるっ。あの数を抱えたうえで、まだそんな余裕が……それにMPが尽きない)


 ライラは<エアクラッシュ>で押さえつけ、フレイルでサラマンダーを殴る。アクロバットに動いていた。炎が使えない分、フレイルでの攻撃が多めだ。


「鉄球でゴリゴリしてる」


 シオリがボソッと呟いた。急接近していた彼女は魔物の目を狙った鋭い一撃を放った。


「<電光石火>」


 寸前で避けられた。意外にも素早い動き。


(シオリ、ずっと強化状態で動いてる……おかしい)


 フランには心当たりがあるが、その人物を見ている暇はない。


「信じて……良いのね……」


 フランもMPを際限なく使い始めた。


「<ロックプレス>!!」


 守りだけでなく、攻撃の魔法も使い始める。その時、タイミングが悪く、魔物が炎をまき散らす。防御が間に合わない。レナも攻撃をしていたため反応出来なかった。


 だが、まったく傷は負っていない。エクスの<アイスウォール>によって守られた。


(なんて綺麗な氷……いったいどれほどの鍛錬を……)






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