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113 帰って来たドラゴン

 67階層に到達した時、フランたちは違和感を覚えた。魔物が少なかった。シオリがある方向をジッと見つめていた。


「どうしたの、シオリ?」


「いる」


 フランたちはその勘を信じ、その方向を見る。全員警戒態勢に入った。


(前に見たのより、一回り小さいな)



 ドシン、ドシンと地面が揺れる。現れたのはブラックドラゴン(リザード)であった。


「67階層の。本で見たことあるッ。ブラックドラゴン!!」


「あの有名なパーティーが倒したはず……ってことは中ボスが発生してますの!!」


「ここ最近、古代の森の人気が高まってる。それに新ダンジョンにスタンピード……しばらく探索者(シーカー)が来れてなかったからね」


「来ますわよ!!」


 魔物はドシドシドシと走ってきた。シオリとライラは左右に分かれて跳んだ。フランが氷の壁を作る。お構いなしに突進してきた。ひびが入る。


「くっ……」


 壁は破壊された。そのままフランに向かっていく。壁により、勢いは多少弱まっていた。さらに盾に触れる寸前で透明な壁に阻まれ減速した。フランは魔物の突進を見事に防ぎきる。


 動きが止まったところを三人が狙う。<飛雷>、<エアクラッシュ>、<アイスニードル>で様子を見る。


 ダメージは与えている。しかし、怯む様子はない。口を開いてフランを呑み込もうとしてきたので、一旦後ろに跳び、後退する。魔物の追撃は俺の<アイスウォール>で妨害した。


「ありがとうっ」


「それにしても硬いですわね……」



「雷鳴忌避。其を畏れぬ者は何人も去ぬ……<紫電一閃>」


 シオリが双剣に紫色の雷が纏わりついた。バチバチと不穏な音が周辺を包み込む。魔物がそれに反応する。


「こっちよ!!」


 フランが<ヘイト>と<チェーンマッチ>で、魔物の注意を自分に向けさせる。その隙にレナが魔法を完成させる。


「<アイスストーム>!!」


 氷の嵐が魔物を襲う。脚と腹部が凍結した。ライラが<エアクラッシュ>を使って頭部を狙い、押さえつけながら鉄球を頭に振り下ろす。


「いい当たりですわ!!」


「ナイスよ。ライラ!!」


「如何なる闇を断つ雷。我阻むこと敵わず……<迅雷風烈>」


 シオリの脚に強力な雷が纏わりつく。


「シオリがまだ警戒してるッ……離れて!!」


 魔物は暴れ出した。距離を取ろうと後ろに振り返る。そこでゴツイ尻尾がライラを襲う。避けきれないと思い、鉄球を前に出し、それを受け止めようとする。


「流石はドラゴンと言ったところですわね!!」


 そこで高速で接近するシオリが間に割り込み、尾を切った。ライラが笑顔を見せた。


「シオリ!!」


 その時、魔物が背を向けたまま、二足歩行で立ち上がった。


「ま、まさか……」


「ッ……避けて!!」


 フランが慌てて<アイスウォール>を使う。そのまま背中から倒れてきた。金属の鎧のような硬度。しかもゴツゴツしていて挟まれれば大ダメージを負うだろう。そして、ズドンと大きな音が響いた。


 フランのアイスウォールが砕け散っていた。しかし、その間にもう一つのアイスウォールが発生していた。


「エ、エクスの……」


 魔物が転がって態勢を立て直す。三人は一旦距離を置いた。







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