104 雷と剣
魔物の不規則な攻撃に苦戦する四人。何とか防いではいるが、度々攻撃を受け、徐々にダメージが蓄積する。ある時、シオリが俺の方に吹き飛ばされた。
「大丈夫か?」
「このくらい平気」
「気のせいかもしれないけど、あれの動きなんか違和感がないか?」
「違和感?」
「よく分からないけど……柔軟なのに硬いというか……何と言うか……」
「……」
シオリは三人に戦闘を任せて少しの間、観察していた。
「守ってる……」
「え?」
(早い。流石シオリだ)
その瞬間、シオリが参戦する。そして、三人に言う。
「腹部……何か大事な物があるかも……」
「……もしかして、分裂を助ける器官がある?」
「全体を焼いたつもりでしたが。どうやらしてやられたようですわね」
レナが言う。
「動きを止めるよ」
「じゃあ私は抑えきれなかった部分を。陽動も兼ねて」
「守ろうとするウネウネを焼き払いましょう」
「最後、もらう」
レナが最初に動いた。
「<アイスストーム>」
(以前よりも少し早くなってる。練習したんだな……)
氷の嵐が魔物を襲う。半身が凍る。ウネウネとしたモノをレナに伸ばした。フランが<アースグレイブ>で使用する。
地面から土の杭が現れ、ウネウネを断ち切る。本体の至る所に杭が刺さる。さらに大きめの<アイスニードル>を放ち、本体を押さえ込む。
(あれ以来、攻撃魔法もかなりレベルが上がってる)
その間に、ライラとシオリは自身に効果の魔法をかけていた。ライラは自信満々な笑みを見せた。
「ふふふ。私があの修行後、さらに特訓してあみ出した最強の魔法を受けると良いですわ」
シオリとフランがそれにピクリと反応した。
(さ、最強の魔法……)
「食らいなさい。<エクスプロードフレアバーストストームアブソリュートデッド>ッ」
「……」
(ライラの魔法名って、何故かセンスがこっち寄りなんだよな……)
複数の炎の竜巻が魔物の巨体に巻き付くように絡みつく。さらに複数の爆発と炎の柱が魔物を襲う。
(でも威力は凄い。こっちで見てきた中で最高クラスの威力だ!!)
シオリが魔物の足元に居た。その背後には雷によって焦げた軌跡があった。そして、双剣を振り上げる。
「<雷震>」
周囲に雷が一定の法則に従い、広がっていく。それはやがて共鳴し、巨大なエネルギーを作り出した。
(フェンリル戦にいたナナセの能力、共鳴を参考にしたのか……こんな短期間に、凄いセンスだ)
巨大な魔物は悲鳴をあげた。全身の血液が沸騰すると同時に傷だらけになる。そこにシオリの体と剣に纏っている雷を全て放出する。
「建御雷神」
(ライラの……いや、三人のおかげで腹部の守りが薄いうえ、再生が間に合ってない。その状態でそれは防げない……)
魔物は全身を焦がされ、塵となった。四人は顔を見合わせ、自然と笑顔を作る。彼女等の勝利だ。ゴーレムさんも心なしか喜んでいた。