102 ゴーレムさんは人も秘密も守ってくれる
順調に進み、16階層に到着した。降りてすぐ、姿を見るなり巨大な鮫の魔物が襲い掛かってきた。
「<電光石火>」
シオリが凄まじい加速をみせ、魔物を切りつける。切った時にバチバチと音がした。魔物が痺れて動けなくなった。そこでライラがフレイルを横腹に叩きこむ。シオリの雷とライラの炎、ここの魔物にはどちらも相性が良い。
「シャチはこうやって鮫を狩ると聞きましたわ。この軟骨魚類なら私にお任せください!!」
(鮫に似てるけど、魔物だから違ってて。ゴツゴツの硬そうな骨なんだよなー……)
「……太い骨粉砕。水棲ゴ……」
シオリがボソッと呟いた。次の階層を目指していると、所々に穴の開いた場所に出た。強力な攻撃はないが、厄介な魔物だ。
「確かここ。ミミズみたいな魔物がいるんだっけ?」
「そのはずだけど……大人しいのかな……」
(攻撃の機会を探ってる。気を付けて……)
「じゃっ。先に雷でやっつけない? 出来るなら戦いたくないし」
「分かった」
シオリが赤雷を巣穴に叩きこんだ。ここまで降りてくる時に出会った魔物の耐久性を参考にし、数回打ち込んだ。暫く待ってみたが特に反応はない。皆は倒したと判断した。急ぎというだけでここまで難易度が上がる。
「このまま17階層に行こう!!」
穴からウネウネと複数の魔物が現れる。意外に素早く、手足を取られ拘束される。
「どうして!!」
「薄い粘膜が雷を流したっぽい……」
「熱も通さないようですわ!!」
「私の風も無理……」
皆は既に何度か試したようだ。
「氷も駄目みたい!! このままじゃ!!」
(ライラの風が正解だ……レナじゃ少し練度が足りない。でもあの感触が気持ち悪いからか、集中出来ずにそこに気が付けていない。どうしたモノか……)
どんどんまずい状況になる。首に巻きつこうとしていた。じわじわと絞め殺す気だろう。四人は嫌そうな声を出す。その時、ゴーレムさんと目が合った。
(……よし!!)
次の瞬間、ゴーレムがレーザーを解き放った。特殊な振動をさせており、粘膜ごと魔物を断ち切る。風魔法にしようと思ったが、レーザーの方がゴーレムっぽいと感じた。
「凄い!! ゴーレム凄い!!」
「な、何が起こったの……」
「ゴーレムが何か凄い攻撃を。それより大丈夫か!!」
「え、ええ……何とか……」
「凄いな……まるで強力な風で断ち切ったような感じで……とにかく凄いよ、流石ゴーレム!!」
「風……そうですわ。強い風で……」
「私もライラみたいに魔力を強化しないとだね」
「レナならすぐに同じ事を出来ますわよ」
レナはショックを受けたというよりも頑張らないと、という表情を見せる。今まで積み上げたモノ。ゆっくりでもここまで来たという自信が彼女を前に進める。
「次からは行けそうね……それにしても。こんな機能書いてあったっけ?」
「……さ、さあ……ゴーレムさんに詳しくないから……ハハハ……」
「フラン、考えるのは後からでも。今は進みますわよ!!」
「うん、そうね」
(良かった。ライラありがとう)