表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/149

99 見てたら欲しくなる

 兎が家に来て数日が経った。ダンジョンから帰宅し、玄関に入ると驚愕する。


「なんかペンギンがおる!!」


 ペンギンが声に驚いて奥に逃げ込む。そして、タイミングを見計らってフランが奥から現れた。


「驚いた? マゼランペンギンのリンちゃんよ!!」


「ゴ、ゴーレム?」


「そう。偶然知り合いの伝手で。どうしても貰ってほしいって言われてね。どうしてもって言うからさ」


(さてはあの日、部屋戻った後、なにかしたな……)


「そ、そっか。可愛いペンギンだ」


「でしょでしょー!! でも匂いがないのが変な感じ。でも野生じゃないから触っても大丈夫なところは最高!! ああ~かわいい~全種類欲しいな~」


 全種とか不穏な事を言っていたがスルーした。部屋に入ると兎がぴょんぴょんと走ってきた。おでこや鼻を軽く撫でると目を閉じて気持ちよさそうにしていたが、気まぐれなようで暫くすると離れていった。


 その時、フランの部屋から悲鳴が聞こえた。


「きゃぁあああ!!」


 何事かと思って入って見ると、ペンギンが倒れていた。


「どうしたの!!?」


「分からない!! 急にリンちゃんが倒れて!!」


(……また回路の接触不良か。いや、今回は別の部分にも問題ありか。まだその分野は発展途上のようだ)


「シオリは?」


「さあ!! さっきまで居たけど出かけた。そんな事よりなんとかしないと!! 早く獣医に電話しないと!!」


(獣医じゃないって落ち着いて!!)


 シオリが居ないようなので回路と臓器と似た役割をしている内部パーツに手を加え、綺麗な状態にする。知識、性格を司る器官(コア)などに触れないように細心の注意をはらう。


(良し)


 そこで部屋のドアがガチャりと開いた。シオリが入ってきた。俺はもの凄く驚いた。


「うわぁ!!」


「どうしたの?」


「い、今……ペンギンが倒れたんだ」


「大変」


「シオリやばい!! リンちゃんを獣医に急ぎでッ……あ、動いた!! 大丈夫? 良かった。よしよしよし。獣医に行こうねー」


「本当に良かった。なんか分からないけど、助かったみたいだ」


「……なんか違う気が……流れが変わってる? なんか循環が良くなった気がする……」


「……」


 シオリがなにかを感じ取ったようだ。兎の方は気が付いてなかった。ここ数日で回路の流れ、構造をなんとなく覚えたのだろう。


 決して後ろは振り向かない。シオリとは今、目を合わせたくなかった。それを知ってか知らでか回り込んで覗き込む。目だけはしっかりと絶妙に逸らす。


「不思議」


「そ、そうだな……よく分からないけど……ははは」



 そんな会話をしているとペンギンが寄ってきた。動きに愛くるしさがある。撫でてみるとサラっとしたり、モフモフだったりと触り方や部位で変わり不思議な感じだった。


「やっぱりあれかな。私と同じ良い人の匂いを感じたのよきっと……!!」


 その後、ゴーレムを専門に取り扱っているお店に行って診てもらった。





誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ