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最弱魔王の華麗なる生存戦略!  作者: 青井銀貨
第2章 魔王城を建てましょう
35/41

35話 ~レベル上げしましょうよ~

 


 異世界の太陽が降りそそぐ白い砂浜で勇者 望愛のあはぽかんと口を開けた。


「魔王シナノ?なにそれ………」


「シナノって言う名前の魔王ですね。魔属領には龍笛りゅうてきさんだけじゃなくて他にも魔王がいるんですけど、その中のひとり、というか一体ですね。実は魔王シナノとはちょっとした交流がありまして」


 首元に金色の鈴をつけたロシアンブルーに似た猫が言った。


「何それ知らなかった」


「交流と言っても直接会ったわけではないんだよ」


 魔王 龍笛りゅうてきが言う。


「帽子をかぶったカラスのような魔物が塔へとやってきて話をしたんだ」


「帽子をかぶったカラス?ちょっと何言ってるのか分かんないんだけど」


「そうとしか説明できないんですよ。竜笛さんの腰位の背の高さのシルクハットをかぶったカラスが普通に喋っていました」


「はぁ………」


 訳の分からないと言った様子の望愛のあ


「そのカラスの魔物は魔王シナノから伝言を預かって来たと言っていました」


「伝言?」


「「誕生おめでとう、魔王の先輩としてとりあえずは歓迎するよ」というような伝言だったと思います」


「魔王なのにずいぶん礼儀正しいのね」


「僕と龍笛りゅうてきさんは驚きましたよ、それはまだこの世界に来て最初の日の出来事だったんですから」


「え!?」


「その時点で向こうはすでに私たちの存在を認識していたということだ。どうやったのかは分からないがかなりの情報収集能力を持っている魔王であることは間違いない」


「怖っ」


「魔王は時間が経つごとに力を増すというルールがある。ということはこの世界に来て初日の私のような魔王は前からいる魔王に比べてかなり弱い存在だと言えるはずなんだ」


「そうか、向こうも魔王だから同じなんだ」


「その通り。つまり向こうからすれば将来的になるかもしれない他の魔王は初日に倒すのが一番いいはずなんだ」


「よく殺されなかったわね」


「カラスの魔物はそのことも言っていました。「しばらくの間はこちらから手出しをするつもりは無いから安心してくれ」と」


「向こうも承知なわけね」


「そう。直接会ったことは無いがこれによってシナノの魔王には一定程度、それこそ人間並みの知性があることは間違いないと考える」


「絶対そうよ」


 龍笛りゅうてきの言葉に望愛のあが頷く。


「カラスの魔物は言っていました「魔王シナノから新米魔王にプレゼントがある」と」


「それがさっき言ってた指輪なの?」


「そうです。その指輪を使えば指定した場所に転移することが出来るといっていました」


「それはいいけどなんで自分の魔王城の近くに転移するような指輪をくれたんだろう?愛に来いって言うことじゃないの?」


「そのカラスの魔物がいうには「そこで鍛錬して魔王としての格を上げろ」ということでした」


「魔王としての格?」


「レベル上げの事だと思います」


「ああなるほど」


「その時にはわからなかったんですけど、塔の中にあった本によれば強力な魔王が住む魔王城の周辺に住む魔物は、魔属領にでる普通の魔物よりも強力な魔物なんだそうです」


「つまりその魔物と戦ってレベル上げをしろって言うこと?」


「そうだと思います」


「それって罠じゃないの?」


「向こうからすれば罠を張る必要は無いはずだ」


 龍笛りゅうてきが言う。


「さっきも言ったんだけど直接戦えば向こうの方が圧倒的に有利だ。この世界に来たばかりの私たちには配下の魔物の一体もいなかったんだ。直接来て戦うのが一番手っ取り早いはずだ」


「なるほど………」


「カラスの魔物は指輪を渡した後で去っていきました」


「そんなことがあったんだ」


 望愛のあは唇を触りながら考えている。


「だから私たちはこれからそこでレベル上げをしようってわけね」


「その通りだよ」


「なるほど。ところでその魔王シナノの魔王城の周りにはどんな魔物が出るの?行く前にどんな感じか聞いておきたいんだけど。見たことも無い魔物に球に襲い掛かられても冷静に闘う自信とかないし」


「それは、あの………」


「ん?」


「一度行ってみたんですけど象みたいに大きな人相の悪いライオンみたいな魔物が遠くに見えたので怖くなってすぐに逃げたんですよ」


「は?」


「だからほとんどわかりません」


 申し訳なさそうに猫が言った。


「それってただの魔物よね?」


「そうだね」


 勇者の問いに魔王が答える。


「あなた魔王よね?」


「そうだね」


 答える。


「逃げ帰ってきたの?」


「そうだね」


「なにしてんの?」


 眉間の皺が深い。


「伸びしろはあると思うよ」


 あっさり言う。


「伸びしろ?」


「伸びしろ」


 白い砂浜に強烈な海風が吹いた。


「ばっかじゃないの!」




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