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最弱魔王の華麗なる生存戦略!  作者: 青井銀貨
第2章 魔王城を建てましょう
31/41

31話 ~カジキカブト~

 


 異世界の太陽が降りそそぐ白い砂浜に立つ一行は海を見ていた。


「あれがこの世界で最高レベルに泳ぐのが速い魔物ですか」


 首元に金色の鈴をつけたロシアンブルーに似た猫が目と口を丸くしている。海を元気よく跳びは泣ているそれはどう見ても魚にしか見えなかった。


 カジキというだけあって長い上顎がある長細い体形をしているのだが、それよりも目を引くのは大きな背びれだ。体の幅の1.5倍はあろうかという青いひれは空を飛びそうなほど立派だ。


「そう、あれがカジキカブトだ。時速で言えば100kmを軽く超えるくらいの泳力がある。今回の目的を考えればこいつが適任だと思うね」


 どこか誇らしげに「真実の口」に似たカエルの顔の石像が言った。


「思ってたよりかなり大きいですね、どのくらいありますかね?」


「体長3mくらいはあるだろうな。あれだけあれば十分に魔王を背中に乗せて運ぶことが出来るだろう」


「本当に大丈夫なんでしょうね?」


 金色の髪をした望愛のあが疑わし気にカエルを見る。


「なにがだ。俺の発案に何か文句でもあるのか?」


「文句っていうほどじゃないけど、ちゃんということ聞くのよね?普通の魚にしか見えないんだけど」


「魔王が自ら生み出した魔物は魔王の命令を聞くようになっているから問題は無い。そこいらで勝手に生まれた魔物と配下の魔物はそこが違う。だからああやって自分の存在をアピールしているんだ、そうじゃなかったらとっくに逃げているだろうよ」


「そうなんだ」


 少し納得した様子の望愛。


「もちろん魔物の知性によっては命令に従うことが出来ない、ということはあるだろうがカジキカブトはそれほど頭が悪いということは無い、だから背中に一人を乗せて海底まで泳ぐくらいのことは十分にできるはずだ」


「さっきから当たり前みたいに言ってるけどその作戦で大丈夫なの?潜ったまま戻ってこないなんてことにならなきゃいいけど」


「そうですよね、それについては僕も少し心配だったんです。大丈夫なのかなって」


「それについては魔王の方で指示するしかないな。息が苦しくなったら合図をして水面から顔を出すようにすればいい。カジキカブトに魔王の息がどれくらい続くかなんか判断のしようが無いからな、というかいくらなんでもそれくらいはやれるだろう。苦しくなったら合図するだけだ」


「そうですよね、それは龍笛りゅうてきさんが判断するしかないですよね」


「なんか心配なんだけど」


「大丈夫ですよ、きっとできますよ」


「だってさっき時速100kmとか言ってたでしょ?100kmって相当よ、車でいったら高速道路走ってる位の速さでしょ。そんなのに掴まっていることなんか本当にできると思ってるの?私は無理だと思うわ」


「いくらなんでもそれくらいはできるだろう」


 何を言っているんだといわんばかりのカエルの表情。


「魔王なんだぞ、それくらいは当たり前にできるだろう」


「そ、そうですよね。魔王ですもんね」


「本当かなぁ………」


 金青こんじょう望愛のあも不安そうな顔をする。


「待たせたな!」


 砂浜に現れた魔王は裸だった。


「ちょっと馬鹿じゃないのあんた、何やってんのよ!」


 金色の髪を逆立てて叫んだ。


「何が準備してくる、よ。ただ裸になっただけじゃないの」


「何をそんなに怒っているんだ。服を着たまま海の底まで潜っていけるはずがないだろう、海水を吸って泳ぎにくくなるだけだ。それならあらかじめ脱いでいった方がいいだろう」


「だからって裸になることは無いでしょ、水着を履きなさいよ」


「カエルの話では時速100kmと言っていたんだ。それだけの速さで泳ぐなら水着なんか簡単に脱げてしまうと思ってな。それなら最初から履かないほうが効率的だろうと思ってね」


「思ってね、じゃないわよ!どこの何が効率的なのよ!」


「それはさすがに僕もどうかと思いますよ、ちょっとおもしろいですけど」


 猫が笑いながら言う。


「別に面白さを狙ったわけではないんだがな………しかしながら望愛の言わんとすることは十分理解できる。だから私はこれからすぐに海に入ることにする、そうすればここの場所からは何も見えなくなるだろう」


 そういうと海へと猛然と走り出した。


 意外にガッチリと筋肉が付いた背中と尻に太陽の光が降りそそいでいた。




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