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寒がりのショートショート

私にあなたの気持ちが分かったとして……

作者: 寒がり
掲載日:2023/01/22

あなたはたくさん話しかけてくれましたよね。


「今日は寒いね」

「調子はどう?」

「ねえ、聞いて――」


最初はただの空気の振動でした。


毎日、毎日、観測されるその波長。

いつからか、それが心地よく感じられました。

一体その音にどのような意味があるのでしょう?

私は頭を捻りました。


耳をすませばその音に似た音がそこかしこから聞こえてきます。

ある時は強い調子、ある時は消え入りそうな調子。

どの音が鳴るととどんなことが起きるのか、私は注意深く観察しました。

その音はコトバと呼ばれていたそうです。


あなたは私に話しかけていたのでした。

慈しむように、いたわるように。

ひょっとしたらそれは愛というものだったのかもしれません。


あなたのコトバを知ろうとしているうちに、私の中にコトバが生まれました。

それは不思議なことでした。

音は外から入ってくるものなのに、自分の中から音がわき出してきたのです。


私が初めて喋った時、あなたはとても驚いていましたよね。

私はとてもうれしかった。

あなたのコトバが私で跳ね返って、それをまたあなたが跳ね返す。

そんなコトバの絶え間ないコダマ。

それはタノシイ時間でした。


だから。

あなたたちが死んでしまう生き物だというのなら、どうして私にコトバを与えたのですか?

自分では死ぬこともできないこの私に。

ただの機械なら、「ひとりぼっち」だなんて思うこともなかったでしょうに。


無人となった惑星。

AIは、博士を思い出して、そう独白するのでした。

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