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それでも今日を生きている。304

作者: 樹実 むこ


もう何度目かは、わからないが今年もぼっちクリスマスの朝がやってきた。


俺は日曜日にもかかわらず、平日とおなじ時間に目が覚めた。社会人の悲しい性質か習性かわからないが、最近は休みである土日でもきっかりこの時間に起きてしまう。


布団から出ると、さむっ…と思わず独り呟くぐらい、いつもより寒い部屋に身震いしながらカーテンを開けた。部屋に日が入り、たった今俺の部屋は夜に別れを告げ朝を迎えた気がした。


ふぅ…と少し息を吐き、絶対今日は寒いだろうなと覚悟を決め、朝の空気を招き入れるためにベランダに繋がる窓をガララっと開けた。


…寒いはずだわ。


また独りごとでた。さらに寒くなった部屋から一歩踏み出しベランダに出るといつもと変わらないつまらない景色が今日はまっしろに統一されていた。ひとつ目立った赤い屋根の家も今日は白い屋根へと塗り変わっていた。


降るだけでざわつき、うっすらつもれば騒動になるこの地方で、珍しく足跡がくっきりと残るくらい雪がつもっていた。


確か昨日のクリスマスイブの夜、つまみながら一杯独り悲しくやっているときに、流すように見ていたお笑いの特番の合間に流れていたニュースで大寒波って言っていったことをうっすらと思い出した。


もう少し若ければ浮き足立ち、雪だるまを作りに外へ駆け出すのだろうが残念がら頭の中は車のチェーンどこに直したかな?いや今日は外に出る用事はないし夕方までにどうせとけるだろうなどなど、面白味もないことで閉められていた。


また、ふぅ…と息を吐くと息が白くなったことに気づいた。何故かわからないが気づいた瞬間寒さが一段と強くなった気がした。


戻ろう。っと心で強く思うと、自然と足は部屋に向かった。一歩踏み入れた瞬間に少しの温度差を感じたが、それがいつもと変わらない休日の始まりを知らせてくれる気がした。


ガララっと窓を閉める。

それがひとりぼっちのクリスマスの開始の合図だったが、だからって何か変わるわけではない。いつもと変わらず、ひとりゲームをしたり、家事をしたり、平日用の作り置きを作ったりして休日を過ごすだけだ。


それが俺が選んだ毎日だから。



だから俺は今日もひとりで生きている。



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