闇の中
掲載日:2022/10/16
どうしてこうなった?
聞いてくれる人は誰もいない
着飾った人々が常に前を通り過ぎる
橋の袂で静かに暮らしている
たまに福祉がどうとか言って尋ねる人もいるが
結局誰かが引き上げてくれることなんてない
蜘蛛の糸はとうの昔に切れている
伸び切った髭はいつから切っていないのか忘れた
物がほしいわけじゃない
死にたいわけでもない
生きる意味を決める必要もない
大学を卒業したら良い会社に入って
良い給料をもらって
良い奥さんをもらって
誰もが良いねと言ってくれるような
そんな生活をするんだ
今日はその第一歩だ
先輩は優しそうだし上手くやっていける気がする
東京はすごいな、なんでもある
橋の1つとっても明かりが多いし
夜でも昼みたいだ
橋の袂、木々が生えているだろう暗闇になにか見えた気がする
人か?
怖い
カバンを握り締めながら
恐怖のあまり目を逸らして
足早に立ち去った




