ビリっとして解決
…13
盗賊に盗まれた“王族の証”は、ゼクト達が持っていた。
「オレたちの“大将”から、コレ貰ったんだが、何だか足が付きそうってか怪しいもんだから、売るに売れなくてどーしたもんかと思ってたんだが…」
じいさんがいっていた盗賊は、実は“盗賊狩り”をしていたゼクト達が征伐していたのだとか。
「その剣、コッチのじいさんのものらしいんだが、返してやることは出来ないか?」
「え…、ジーさん何もんなんだ?」
「元宮廷魔術師」
「っな!」
「え…じゃあ、なんかヤバいもんでも付与されてたり?」
途端慌てるゼクト達に、じいさんは、
「探索と…資格なきものが抜けば、痺れる。」
「げぇ!」
「資格なきものて?」
「要は王族以外が抜けば、ピリッとするだけじゃ。」
「なんだ脅かすなよ!」
「ビビっちまったじゃねーか!どれどれ……」
好奇心に駆られて、試しに抜いてみたゼクト、
バチィン!!!
「…!!!」
突然、頭上に雷撃が生じ、ゼクトに落ちるとそのまま気絶してしまった。
「…な……なんだ今の?…」
思わず席から立ち、ゼクトに近づくと無事を確かめる。
周りにいたジャック達も恐る恐る様子を見るが、誰も触ろうとはしない。
「言ったじゃろ?ピリッと痺れるって」
「そんな可愛い音してなかったよーな…?」
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意識が戻ったゼクトは、エリー(仮)に宝剣を渡してきた。
「ほらよ」
「…本当に、良いのか?」
「ああ、そんな危ないモン使い道ねぇって。」
「持ち主見つかって、オレらも安心したぜ。」
特に代金をせびる訳でもなく、また盗賊狩りとトレジャーハンティングをして行きていくのだとか。
「そうか、何から何までありがとう。助かったよ。」
お人好しのゼクトに礼を言うと、じいさんと王宮へ向かうことにしたエリー(仮)。
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宮殿に付いてからのじいさんの手際は良かった。
セシインを置き去りにした件は、セシインが数発殴っておとがめ無しという事になり、“王族の証”たる宝剣をセシインに抜かせ王族の資格を証明した。
ついでにセシインの持っていた宝玉の呪文を読み、彼の身分を立てると、自分の安寧の為の言い訳をすると、すんなり承諾された。
「まぁ、じいやなら仕方あるまい。」
「えぇ、じいやなら構いませんわね。」
(そんな軽くていーのか?)
そんなこんなで、セシインの出生の謎も解け、今後は親と共に暮らす事になった。
「あの、エリー(仮)さん。」
「ん?」
「オレの事とはいえ、じいさんとか親の事とか、いろいろとありがとうございました。」
照れくさそうにぺこりとお辞儀するセシインにエリー(仮)は、労いの言葉をかける。
「これから急がしくなるだろうが、頑張れよ。何かあった時は、ココに所に手紙でも出してくれれば、金次第でなんとかしてやる。」
言いながら名刺を渡して、今後の営業も欠かさない。
「はは…金次第ね。とりあえず、がんばってみるよ。」
「ああ、それじゃ。」
言って、セシインのいる王宮を後にした。
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その後、エリー(仮)の元へ届いたセシインからの手紙によれば、
じいさんとカレンが始めた占い屋は、カレンの人の良さとじいさんの実力とで、ご近所さん方に賑わったのだとか。
砂漠で出会った少年の正体を調査する話。終わり
閲覧ありがとうございます。
少年の件はこれにて完結になります。