じーさん
…9
ジャックの案内でゼクト達一行は、メイン通りの端に位置する角の、そんなに大きくもない建物の扉へ入った。
「いらっしゃいませ~あらジャックさんとお仲間の方もお揃いで~」
入ってすぐに出てきたのは、菫色の髪をさらりと流した優しそうな物腰の女性だった。
「スミカ、新しい客連れてきたぞ。」
「…あらぁ?そちらの方は、綺麗な髪色ですわねぇ?」
「久し振りだな、スミカ。こちらはエリー(仮)さん。ゼクトが口説いた。」
「ちょっ!!ジャック!それはいわんでいいヤツ!!!」
さらりと説明するジャックに、ゼクトは慌てて待ったをかけたが既に遅し。
くすりと笑うスミカは
「珍しいですねぇ、ゼクトさんのナンパが成功するなんて…」
「スミカまで…」
ジャックもゼクトもスミカも仲が良いらしい。
「カレンはいるか?今回は例の件で彼女に聞きたい事があるんだ。」
「あぁ…そういうこと~。ちょっと待っててね~。」
と奥へ戻ると、赤髪の若い女をつれてきた。
「こんにちは。えっと…おにーさん?私に聞きたいことがあるって事でしたけど、何ですか?」
「初めまして、人を捜しているんだが…」
いうとジャックにも言った特徴を伝えるた。
すると、カレンは
「あ…あのひとは、そんなんじゃないいですぅ!」
「…というと?」
「私、占いが大好きで、よく占って貰ってたんですぅ。いつか占いのできるお店をやりたいなって思ってたんで、いろいろ相談にのってもらってたんですよぅ。」
「え?ストーカーとかじゃなかったの?」
とゼクトの言葉にカレンは慌てて手をパタパタさせる。
「ち、違いますようぅ!あのひと、いいひとなんですよ!お店で問題ごとが起きたときにお手伝いしてくれたり、漬け物の漬け方教えてくれたり…高いヒール履いても転ばなくなるおまじないを教えてくれたり…」
「…いいひと…?」
便利な道具扱いされてるんじゃないかと、疑問に思ってしまうエリー(仮)だった。
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「そろそろ、あの人の来る時間なので、もういいですかぁ?」
「待たせて貰っても良いだろうか?」
「…いいですけど、悪い事とかしちゃだめですよ、おにーさん?」
「ああ」
しばらくの後、店の入り口が開く音が聞こえてきた。
「カレンちゃーん!今日も占いに来たぞよー☆」
「…なんだアレ?」
地味な暗めのローブ羽織り、セシイン達から聞いていた様な特徴をしたじいさんだった。
「待ってましたー!今日もよろしくお願いしますねー。」
「まっかせなされ!…おや?」
じいさんはエリー(仮)に気づくと、スミカが席を立ち、
「こちら、エリー(仮)さん。おじさまとお話がしたいんですって。」
紹介をしてくれた。
「ふむ…」
「よかったら、このおにーさんのこと占ってみたらどうです?」
とちょっと悪戯じみた笑顔を向けて、挑発してくる。
「俺はそういうのはちょっと…」
「ナヌ!?ワシの占いが信用できないというのかね?そこまで言うのなら仕方あるまい!」
言うと早いが、そそくさとエリー(仮)の正面の空いてい椅子に座り、机に取り出したカードを並べはじめた。
「……!?」
じいさんはエリー(仮)を占おうとしたが、エリー(仮)のカオを見ると、途端顔色を変え、ダッシュで外に逃げてしまった。
「待て!」
後を追うエリー(仮)。
「…何なんだ、アレ?」
少し離れた所で、座って見ていたゼクトも、あっけに取られて思わす呟いていた。
ありがとうございます。
次話掲載は7月19日の予定です。
誤字修正しました、ありがとうございます。