少年
pixivに上げたものと同じになります
彼は探しものをしていた。
物心付く頃から、彼を育ててくれたおじいさんと、広大な砂漠に転々とした村を渡り歩くような旅をしていた。
最初の頃から、旅をしていた理由は「生活をするためだ」と思っていたが、おじいさんは、何かから逃げていたようにも思えた。
或るとき、彼が12歳になった時、おじいさんが【一人先に行く。都へ向かえ】という手紙を置いて行方をくらましてしまった。
彼はおじいさんの置き手紙通り、都へ向かう事にした。
砂漠を旅していると、地面が轟き、ワームー巨大芋虫ーが出て来た。
持っている装備では、心もとなくなっていた矢先の出来事だった。
(もうすこしでオアシスに辿り着けたのに!)
ワームが大きな口を開けて、彼に向かってきた。
(ここまでか)
ガン!
目の前のワームが大きく弛み、真横へ飛んでいった。
遠い窪地に沈んだワームはひしゃげていた。
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「大丈夫か?」
少年の前で、ワームを一撃で倒し「立てるか?」と手を差し出してきたのは、長い金髪をなびかせ、黒いバンダナでまとめた少し年上の、不思議な印象をし多人だった。
(お、男の人…なのかな?)
「ありがとうございます。」
「俺は都に向かっているんだが、君は一人か?」
目の前の金髪も行き先は同じらしい。みたところ、帯剣している風でもなく、盗賊などにも見えないが。
「ああ、オレも都に向かって一人旅だ。」
「それなら、都まで同行してもいいかな?この土地に詳しい人の知識が欲しくてさ。」
道に迷って、困っているらしかった。
まだ次のオアシス、村までは距離があり、見渡すかぎり砂丘である。
「そんなに自信あるわけじゃないけど、いいぜ。その代わり、護衛してくれると助かるんだけど。少しくらいのお礼ならできるよ。」
「乗った!」
金髪と少年は二人、都へ向かう事になった。
2
「そういえば、自己紹介するのを忘れていたな。オレの名はエリー(仮)だ。本当の名は長いから、ひとにはそう呼ばせている。」
(長いのか、かっこかりまでわざと呼ばせたいのか、ちょっと不思議なひとだ)
ふと思った疑問はそっと胸にしまったまま、少年が答える。
「オレはセシイン=カミュ。本当の性は不明だけど、じーさんの性を名乗るようにしてる。」
「本当の性?」
「わけありか?」
と気遣うように言葉をかけてきた。
「オレは孤児なんだ。じーさんだけがオレの両親を知ってたみたいなんだけど、両親の事は教えくれなかったけど多分…そういう事なんだと思う。
ある日、じーちゃんが書き置きして行方を眩ましたから、少しでも何か分かればいいなぁって、この性を名乗っているんだ。」
「行方知れずのじぃさんの手がかりねぇ。悪いが、俺には心当たりが無いな。」
すまんなと謝るエリー(仮)。
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数日後、特に何事もなく、エリー(仮)とセシインは砂漠の国の首都バスキードへたどり着いた。
「都に着いたのは良かったが、俺の仕事はここである人と会う事でね」
「ああ、同行してくれてありがとう。」
手を握って、お互いに別れを切り出したエリー(仮)だったが、ふと
「そういえば、セシイン、君のおじいさんの手がかりだが、今後どうやって探すつもりだ?」
「んー、特にこれと言って案があるわけではないけど、とりあえずこの都の中を探してまわろうかと思う。」
都、といっても、そんなに小さいわけでもないし、毎日行商人の往来のある。どれくらいかかるかは分からないが、
「どうしても手が必要な時があったら、俺を喚んでくれ。しばらくは都内に宿取ってるから。」
まぁ、アフターサービスだけどな。小さく呟いた声はセシインには聞こえなかったようだ。
「じゃあな」
「そっちもな」
二人はそれぞれ、大通りの途中で別れた。
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