王妃様とのお茶会
ご覧頂きありがとうございます。
お茶会の会場に着くと、既に王妃様がいらっしゃいました。本来ならこちらが先に待っていなければいけないのですが、私の体調を慮って今回は不問にするそうです。それに、他にはどなたもいらっしゃらなかったので、私とお母様だけをお呼びになった様です。きっと婚約の話をされたいのでしょう。
お母様がご挨拶するのに続いて私もカーテシーをします。王妃様は満足そうに頷きました。
「今日は来てくれてありがとう。プリシラ、体の調子は大丈夫?」
王妃様が気遣ってくださったので、私はありがとうございます、とお礼を言いました。王妃様の指示で、席に座り、お茶会のスタートです。
当たり障りの無い話から始まり、心配していたより和やかな雰囲気でお茶会が進みます。
主にお母様と王妃様のお話なので、私はゆっくりとお茶とお菓子を楽しむ事にしました。王宮のパティシエさんのお菓子は大変美味しいのです。私の大好きだったリンゴのペストリーもあるので、嬉しくなってついニコニコしながら食べてしまいました。
「美味しい?」
王妃様が尋ねられたので、私は笑顔のまま、はい、と返事をしました。
「やっと貴女の笑顔が見られて良かったわ。」
王妃様も満足げに仰いました。お母様も少し安心しているようです。
「やっぱり、ベルナールのお相手は貴女が良いわ。」
王妃様が仰いました。
「とっても愛らしいし、品もあるし……。私、貴女の事、とっても気に入ってるの。」
王妃様の言葉に私は真っ青になりました。この為に呼ばれたとは言え、やっぱり直接伺うとかなりのショックです。私はつい、俯いてしまいました。
「王妃様……、娘は病弱ですし、もう少し大きくなって元気になってからでも……。」
お母様が取りなす様に言いました。
「せめて、仮婚約でもして欲しいわ。」
私、絶対に嫌です……。諦めきれないような王妃様の言葉に、心の中で即答しましたが、表で言うことは出来ないので、曖昧に微笑みました。
その時です。
「母上、如何ですか?」
その声は……。
ノックもせずに部屋に入ってきたのはベルナール様でした。空いていた私の隣の席にドカッと座り、不躾に私を覗き込みました。
「美人だし、凄く良いね。」
ベルナール様はニコニコしながら王妃様に言いました。ニッコリ笑って王妃様が頷くと、
「この子がプリシラなんだね。やっと会えて嬉しいよ。」
と、ベルナール様は仰いました。私は嬉しくありません……。
「これからヨロシクね。」
ベルナール様が、手をこちらに出した瞬間、私の意識はすうっと遠のいたのでした。
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気が付くと、お茶会から3日経っていました。お母様とマーニャが付きっきりで看病してくれたみたいです。
お母様はあの後、何とか誤魔化して、早々に退出してくれたそうです。勿論婚約の件も保留のままという事でした。王妃様も、病み上がりに無理に呼び出した事を承知だったので、渋々納得してくださったそうです。私はホッとしました。
私が眠っている間に、クロード様からお手紙が届いていたとマーニャが、手紙を渡してくれました。急いで封を開けると、会ってゆっくり話したい事があるのだが、お城では話しにくいので狩りのついでにこちらに伺いたいのだが良いだろうか?との内容でした。内密のお話でしょうから、こちらで話すのが良いような気がします。私は承諾の返事を書いて封をし、マーニャに頼みました。マーニャは上手く伝手を頼ってアロン様の方から届く様に手配してくれました。
私も早くクロード様と会って気になる事を聞いてみたいです。貴方も時間が戻ってこちらにいらっしゃるのかと……。
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