婚約延期にはなったものの……。
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お父様の尽力により、とりあえず誓約書へのサインは延期になりました。何故白紙撤回できなかったかったかと言うと……、それは王妃様が渋ったからだそうです。
王妃様はベルナールの後ろ盾として我がガシアン侯爵家の力が欲しい、そういう事です。現在まだ王太子は立っておらず、亡くなった前王妃のお子様である第一王子のクロード様と第二王子であるベルナールのお二人が有力候補として目されています。普通なら第一王子が王太子になる筈なのですが、クロード様のお母様は亡くなってますし、本人も病弱な為、まだどちらを王太子とするか決めかねている、というのがもっぱらの噂です。父の上司である宰相様の妹君が亡くなった前王妃なので、クロード様には宰相様の後ろ盾があり、王妃様としてはそれに次ぐ後ろ盾が欲しい所なのでしょう。
お父様も頑張ってくださったのですが、現状としては、これが精一杯だったと、申し訳ないと私に謝ってくださいました。陛下が首を縦に振らないのなら、それは仕方の無い事ですもんね。延期になったというだけでも時間稼ぎにはなるので、感謝したい所です。こうなったら、できるだけ時間を稼いで何とか婚約しない方向に持って行くように頑張りましょう。
気持ちを新たに決意を固めた私ですが、また厄介な出来事が起こりました。今度は王妃様から、お手紙が来たのです。と、言ってもこのお手紙はお母様宛てだったのですが、お母様に私を伴ってお茶会に参加する様にとの要請だったのです。前世であの事件が起こるまでは優しくして下さった方なので、そこまで恨む気持ちは無いのですが、ベルナールの母親だと思うと、なんだか複雑です。私を連れていけば、おそらくベルナールも顔合わせで御一緒するに違いありません。顔も見たくない相手なので、会った瞬間に倒れる自信があります。お母様も私を心配して、体調不良を理由にお断りしたのですが、断り続ける訳にも行かないのが、部下の悲しい所です。結局病み上がりで体調が優れないのでちょっとだけという事で参城する事になってしまいました。
気乗りがしないまま、お母様と馬車でお城へ向かいます。お母様も心配そうに声をかけて下さいます。お城が近づくにつれて段々気分が悪くなって来ますが、そこはグッと我慢するしかありません。やがて、お城が見えてきました。あの中に私が幽閉されていた塔もあるのです。ああ、気持ち悪い……。嫌悪感を忘れるにはまだまだ時間が必要な様です。お城に着く頃には私の顔は真っ青になっていました。
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