テスト
「近藤はそろそろ帰り?」
新聞の続きを書き終えたら、出ようかなと思っていた。
雨は降り続いている。グラウンドはびしょびしょになっているし、もう今日は練習はないんだろう。
「そうだな。そろそろ」
学内新聞のコラムもあと少しで書き終えるし、一緒に帰れたりして。
「そっ」
そっって、、そっけな。
まあその程度にしか思われていないのは、わかっ、、、、。
「じゃあもう少しいようかな」
途端に彼女から発された言葉に、心が震える自分がいた。
体中の血液が一気に全身を駆け巡り、脈が上がっているような感覚になる。
何にも怖くもないのに、鳥肌が立つ。
ああ、もう少しだけ彼女と一緒にいれる。そんな風に思ってしまった。
馬鹿だなあ。
こんな根暗な小説を書いている僕のことを、橘が見てくれるわけなんてないのに。
(そうか、じゃあ一緒に帰ろう)
なんて、臭いセリフは吐けない。僕にはてんで似合わない。
ああ、この時間がずっと続けばいいのに。
いっそ、このまま雨が降り続けてくれればいいのに。
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