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「いろいろあったけど、だいたいにおいて楽しかったわ」
「うん。また歌手の仕事頑張って!」
「立野くん…」
「…?!」
ミドリちゃんが泣きながら抱きついてきました。立野くんは夢かな?とも思いましたが、自分から抱きつくより抱きつかれた方が千倍嬉しいや、と思いました。
「またいつか会いに来ていい?」
「もちろん!」
「じゃあ、行くわ。グッドラック!」
「グッドラック!」
もうこちらを振り返ることなくミドリちゃんは帰って行きました。
「立野さま」
「何?」
「私達も研究所へ戻ります」
AIロボットたちもみんないなくなりました。
なんか、一気にさみしくなるな…。
立野くんはしばらくぼんやりとして過ごしました。
「立野さま!今帰りました!」
数日後。本物と入れ替わって歌手をやっていたミドリちゃんのAIロボットが戻ってきました。
「歌手は楽しかった?」
「はい。いっぱい話したいことがあります!」
「ああ。また家事とかよろしく」
「やーなこった」
「えっ?」
「家事は二人で分担しましょ」
「ミドリちゃ、ん?」
ミドリちゃんが左手の腕まくりをすると、ロットナンバーがありませんでした。
「キミ、もしかして!?」
「なんのことやら」
二人はキャッキャッ言いながらドアをバタンと閉めました。
後日、立野くんは研究所に返り咲き、AIロボット担当の研究を始めました。
博士はミドリちゃんのサイン色紙を一番いい場所に飾っています。
「それで?立野くん、彼女は?」
「彼女はAIロボット」
「ああ、そう…」
いつまで博士を騙せるかな?立野くんはクスッと笑いました。