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「このままじゃ、貞操の危機なんです。彼女と僕の間の緩衝になる何かを派遣してください!」
「よし、わかった。すぐに手配しよう。…ところで」
「はい?」
「本物のミドリちゃんからサインもらといておくれ」
「はあ」
立野くんが博士と連絡をとっている間、「貞操の危機なのはこっちよ!」とかぷんぷん怒っているミドリちゃん。
色紙とマジックを手渡され、博士宛のサインをざっざか書き上げる。
ピンポーン!
「はい」
ガチャッ。
「うわあああああ」
ドアの外にミドリちゃんのAIロボットが複数体並んで立っていた。
「博士、何考えてんですかっ!!!」
「きゃー!私がいっぱい!」
大騒ぎだった。
AIロボットのミドリちゃんたちは、手分けしてあっという間に家事を片付けてしまった。
「「なんか落ち着かない!!」」
「大学院行ってきます!」
「待って!私も行く!」
「ミドリちゃんは休暇を満喫してください」
「だから!社会見学!」
「えーっ!部外者はだめですよ」
「ケチ!」
「お買い物にでも行ったらどうですか?」
「お金ちょうだい!」
「経費で落ちるかなーしくしく」
ちゃんと領収書もらってくるように念を押して、なけなしのお札を立野くんはミドリちゃんに託しました。
「誰か1人でいいんだけど」
「はい」
「今日の晩ごはん、手作り餃子にしたいのよねー。材料選びとか、作り方とか教えてくれない?」
「わかりました」
「それから、別の1人!」
「はい」
「香水をつけて、私のふりをして!私はあなたのふりをするから」
「わかりました」
「それからー」
立野くんがでかけた後。ミドリちゃんはAIロボットたちにいろいろ指示し始めました。
「茶目っ気茶目っ気けっけっけー」
果たして。晩ごはんに帰ってきた立野くんは、手作り餃子に感動して、香水をつけたミドリちゃんにいろいろ話しかけました。
ぐうう。
あれ?どこかからお腹の鳴る音が。
立野くんはちょっとだけ考えると、音のした方のミドリちゃんのスカートをめくりました。
「きゃー何すんのよ!」
「こっちが本物だ!」
「あのう、お二人が何してらっしゃるのかわからないんですが…」
「「遊んでるの!!」」
二人はハモって、けらけら笑いました。