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ミドリちゃんは家事は万能でした。
昼間は大学院、夜は皿洗いのバイトでくたくたの立野くんはとても助かりました。
「お昼は学食ですか?」
「うん」
「アパートに帰ってこられたら何かご用意できますが?」
「本当?」
そう言われてその日昼にアパートに帰ると、温かいポトフと手作りパンが待っていました。
「美味しいよ!」
「良かった!」
あれ?でも、これの材料は?買い物に行ったのかな?
「買い物に行ったの?」
「はい」
「でも…、一応有名人そっくりだから気をつけないと」
「いけなかったでしょうか?」
「後をつけられたりとかしなかった?」
「いいえ。でも…」
「でも?」
「パパラッチに写真撮られました」
「えらいこっちゃ!」
立野くんの脳裏に『ミドリちゃん熱愛報道!』の文字がスポーツ新聞や女性誌に踊っている想像が浮かびました。
どうしよう?博士に連絡しようか?
立野くんはスマホを取り出して博士に電話をかけました。
「やあ、立野くん」
「博士大変です。ミドリちゃんが写真撮られたそうです!」
「まあ、想定内だがね」
「大丈夫なんですか?」
「本物のミドリちゃんは全国ツアー中でそんな場所におらんし、報道管制をしいてあるから大丈夫じゃろう。そういうプロジェクトじゃ」
「もしかして、ミドリちゃんのAIロボット、他にもあったりするんですか?!」
「まあね」
なんてことだろう?
立野くんは切れた電話をいつまでも見つめて突っ立っていました。