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勇者の敵は【闇】の者  作者: 龍血
第一章 勇者への道
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第一話 勇者一行、王様と会う(一)

 

 私は今王都のそれも王城の謁見の間に居た。

 そこには王様、宰相、親衛隊、そして貴族達が居る。


 私が何故ここに居るかというとセイク達について来たからである。


 セイク達は王様に対して片膝をつき、頭を下げていた。


「君達が選ばれし者達か?」

「はい。「勇者」、「魔術師」、「狩人」に選ばれた者達です」


 最初に発したのはこの国サークングリマ王国の王タジンク・ゴラン・サークングリマで、応えたのは宰相のカビナ・ボランであった。


「まず先に君達に言っておく事がある。君達はこれから「勇者」とその仲間達という事で大切に扱うが、成果出すまでは君達の身分を一兵士または一騎士として扱う。それでもいいか?」


 王が聞くが、三人は応えない。

 それが礼儀だからだ。


 声を出せばそれは拒否となり、逆に黙っていれば肯定となる。

 事前に最低限の礼儀を学んでいた三人はそうした。


(確かに勇者と言っても成果が出なければ意味など無い。しかし、勇者という人材を簡単に死なせてはいけない。なら、成果出すまでは一兵士と同じすれば良い。成果を上げれば位が上がる。それがいきなり勇者の身分になるだけになりますからね)


 イビーデはそう考えた。


(でも、王は策士ですね。あの場でそれを言うとは。もし、ここで三人が断れば傀儡化もあり得る。だが、普通は断れない。だって、元々この国の住民だから昔から王に逆らおうとは思わない。これで成果はまだ出していないが、勇者をこの国が所有した事になる。そこには他国も何も言えなくなる)


 つまり、王様は「勇者」をサークングリマ王国だけを所有し、サポートする。そうする事で「勇者」が国からの所有を離れたとしても何か成果を上げるとサークングリマ王国が一番得をする事になる。他国よりも一歩リードし、リーダーという権力も可能となるのだ。


「うむ、よろしい。君達は偶然にも友人らしいじゃないか」

「発言を許可する」


 王様の発言に宰相のカビナが三人の発言を許可した。


「はい、本当はもう一人居たんですか……」


 セイクはイビーデも居て、四人で行動していた事を言う。

 しかし、王様は……。


「そいつは選ばれなかったのだろう?」


 王様は皮肉を言った。


「でも、アイツは強かったです!」

「しかし、選ばれなかった。選ばれなかった者にはここに来る事は出来ない」


 王様にとっては必要な人材以外は必要はない。

 だから、興味もない。

 それが必要な人材の友人だったとしてもだ。


 流石の温厚な性格のセイクや他の二人も頭にくる。

 しかし、相手は国のトップだ。

 表に出してはいけない。

 ただ一人を除いては……。


(まさか、そこまで感情を表すとは思いませんでした)


 ただ一人、エルマが手を後ろに回し、腰にある刃渡り3センチ(心臓に届かないただ傷つけるだけの武器)のナイフを抜こうとする。


 そこをイビーデは止める。


「やめなさい」

「!?」


 イビーデはエルマの影から手を出し、止めた。


「静かに」


 その言葉でエルマはナイフから離す。


「も、もしかして、イビ?」

「はい、そうですよ」


 声だけでエルマはイビーデだとわかったらしい。

 あと、イビというのはあだ名だ。


 エルマもイビーデ程ではないが、少し大人びた性格をしている。


「よくわかりましたね」

「えぇ、いつからイビの声を聞いていたと思いますか?」

「そうでしょうね。でも、他の二人はどうでしょうか?」

「え?あの二人もわかると思いますが……」

「さぁ、どうでしょうね」


 そしてイビーデは少し笑う。


「それよりもここで王に逆らえば二人も危ないですよ」

「確かにそうですね。でも、イビを悪く言ってました」

「いいんですよ。それが真実なんですからね」

「でも、イビは……」

「エルマは『でも』が多いですね。私が強かろうとも王には関係ない事何でしょう」


 それにはエルマも「ぐぬぬ」としか言えなかった。


「それより、君に私がここにいる事を明かしてしまった」

「そうですよ。何でイビがここに?」

「簡単ですよ。貴方達について来たからです」

「イビが強いのはわかります。ですが、ここまで来れるとは……」

「強いから来ているのですよ。ここに来れない人がここにいる全員から気づかれないのが不思議だと思いませんか?」

「そうですね」


 ここには王様も含め、実力者が多い。

 しかし、その者達でもイビーデは気づかれていない。


「では、もう一度言います。何故ここに?」


 エルマは再度聞いた。

 それはどうやってここに来たのかではなく、何故ここにいるのかを聞いた。


「それはまた今度でお願いします。ポケットに場所が書かれたメモを入れておきます。その話はそこでしましょう」

「わかりました。ちゃんと聞かせて下さいね」

「はい、ではこの辺で」


 そう言って、再び天井に戻る。


※十二歳にしては大人びているところは気にしてはいけません。


普通の魔術師と狩人を分ける為に勇者一行は「」を付ける事にしました。(2019.5.11)

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