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勇者の敵は【闇】の者  作者: 龍血
第零章 プロローグ
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第零話『闇』の者は嫌がらせ好き

他の作品が就活で休止中ですが、少しストックも貯めておきたいと思っています。

その間、これを不定期で投稿したいと思います。


活動自体は再開しますが、偶になります。


 

 森の中にゴブリン種の死体が幾つもあり、そこに三人が居た。


「え?ゴブリンキングは?」

「ここに居るのはゴブリンジェネラルですよね?」

「どうするんですか?「勇者」としての初任務であるゴブリンの群れとゴブリンキングの討伐なのに……」


 そう彼らは「勇者」パーティである。

 一人は豪華な鎧と剣を持つ勇者。

 一人は赤のローブに杖を持つ魔術師

 一人は軽装備で腰にナイフを二本持つ狩人。

 男一人と女二人のパーティだ。


 今回は初任務という事で、森に発生したゴブリンの群れとそのリーダーであるゴブリンキングを討伐しに来た。

 既にゴブリン、ゴブリン上位種、ゴブリン将軍種であるゴブリンジェネラルを倒したのだが、ゴブリン王種であるゴブリンキングが居なかった。


 これでは任務達成ではなくなる。


「うん?」

「どうしましたか?」

「向かうに何かいます」


 女「狩人」がこの先に何がいるとわかった。


 三人はそれが何なのか警戒しながら向かった。


「え?」

「そんなぁ」

「嘘でしょ」


 三人が見たのはゴブリンキングの死体だった。


「既に倒されていた?」


 そこに居たゴブリンキングの死体は少し時が経っていた。


「お、おかしい。何でゴブリンキングが死んでいるのにゴブリン達は連携が取れていた?」


 「勇者」は疑問に思った。


「あり得ない」

「本当に」


 女二人も同じく思っていた。


 ゴブリン種のリーダーであるゴブリンキングが倒れていたのにゴブリン達は連携していた。

 本来ならゴブリン種だけでなく、他の魔物でも種族のリーダーが倒されると連携は崩れて、逃げ出す者が出るのが普通だ。


 しかし、それが無かった。


 それは三人とって今まで聞いた事も見た事も無かった。


「あそこに何かあります」


 女「狩人」がまた何か見つけた。

 それはゴブリンキングの傍に紙が置かれていた。


「紙?」

「読んでください」


『やぁ、「勇者」とその仲間達。既にゴブリンキングは私が倒しといておきました。まぁ、任務には支障はないと思いますよ。そこにゴブリンキングは居ますからね。』


「確かに任務達成は出来るが、倒したという実績にはならない」

「今の私達なら勝てるかどうかだと思いますね」

「それより続きを」

「わかりました」


『では、何故私はゴブリンキングを倒したのでしょう?』


「そんなのわかるはず無いですよ」

「喧嘩を売ってるんですかね?」

「わかりません」


『正解は嫌がらせですよ。ただ、貴方達の成果には影響しないようにしますよ。では、今度は先を越されないように頑張って下さいね。ーー



 ーー君(達)の友人である『闇』の者 イビーデより』


「って、おまけかい!」


ーーーーーーーーーーーー


 私の名はイビーデ。

 村に住んで、今年で十歳になった。

 少年と思えないくらいにあまり喋らず、落ち着いた少年である。


「イビ、今日は何して遊ぼうか」


 私に声を掛けて来た彼は私と同じく十歳で、物凄く明るい性格のセイクです。

 今日も私と遊びたいようですね。


「セイクがやりたい事でいいですよ」

「何か無いの?」

「無いですね。だからセイクのやりたい事で」

「そう。じゃあ……」


 とまぁ、私はいつも遊びの内容はセイクに任せている。


 私は単純に彼の嬉しいところや悔しいところを見たい。

 つまりは彼の喜怒哀楽が見たい。


 あれから二年。

 僕達は成人と呼ばれてもいいくらいの年齢になった。


 それまではいつも通りに彼の喜怒哀楽を見てきた。


 ある日、彼の左手の甲に魔法陣とその中心に太陽が浮かび上がった。


 そう、彼は「勇者」となった。


 彼が勇者となった時と同時にある女性二人も左手の甲に魔法陣とその中心に半分の太陽が浮かび上がった。


 彼女らは私とセイクの幼馴染ではあるが、私とセイク程ではない。

 私とセイクは生まれた頃から一緒だった。

 彼女らは二歳からだった。


 一人はセイクと同じく明るい性格のミル。

 どうやら、私が少し苦手みたいだ。


 もう一人は真面目なエルマ。

 ミルとは逆に私を苦手としていないようだ。


 そんな二人は「勇者」……今回はセイクの従者で、「勇者」パーティの一員となる「魔術師」と「狩人」だ。


 古来より「勇者」パーティは最初に「勇者」、「魔術師」、「狩人」の三つのジョブが選ばれる。


 これはこの三つでパーティが成り立つからだ。


 「勇者」は前線で剣を持ち、敵を打ち倒す。

 「魔術師」は魔法で敵を打ち倒すか勇者を補助する。

 「狩人」は五感と第六感による探索能力とトリッキーな動きをする。


 最初はこの三つ。

 それから他のジョブが選ばれていく仕組みだ。


 必然的に三人がどうなるかというと……。


「私は王都から来た者である。貴方達が「勇者」、「魔術師」、「狩人」ですね?」


 国の使者が来るということになる。


 私はそれを見るだけだ。


「はい、そのようです」


 使者の問いにセイクが応える。


「これから貴方達は王都に向かって貰います」

「「王都!?」」

「王都ですか?」


 「勇者」は国が預かる人材だ。

 つまりは王都に来て貰う必要がある。


「はい、これは陛下がおっしゃる事です。拒否権はほぼ無いでしょう」


 これは王様の命令。

 国のトップが言うからにはその住民である者は拒否権は無い。


「わかりました」

「まぁ、選ばれちゃったからね」

「そうしなければならないようですね」


 「勇者」というのは荷が重いが、これは義務。

 断る事は出来ない。


「では、向かいましょうか」

「いえ、その前に少し時間をくれませんか?」

「いいですよ。家族にもお別れが必要でしょう」

「ありがとうございます」


 三人は家族、村のみんなにお別れをする。


 そして……三人は友人にも……と思ったのだが、彼は居なかった。


「イビは?」

「森に行ってるんじゃないかしら。あの子、それなりに強いからね。魔物を狩ってるとかね」


 彼の母親に聞いてもそう返ってきた。


 そう、イビーデは何故か強かった。

 だから、三人は彼も連れて行こうと思ったのだが、居ないのならしょうがないとばかりに使者が乗ってきた馬車に乗って王都に向かうのだった。


 その光景をイビーデは木の枝の上から見ていた。


「セイク、君は「勇者」として世界を救う。どんな困難でもね。ただ、私は昔と変わらずに君に嫌がらせをするよ。それが君の喜怒哀楽のどれかだったとしてもね。君は光。私は闇。影から君を見ているよ」


 そして、彼は突然村から居なくなった。


 名:イビーデ

 レベル:測定不能

 称号:闇の者

 能力:『闇』


これは比較的に主人公視点になりますが、物語のほとんどは勇者であるセイクが主になります。

時々、主人公が表に出るという感じになります。


次回は勇者一行が王様に会いに行くところです。

もちろん、主人公もいます。

それも誰も気づかれずにです。


後の事を考え、イビーデは【闇】から『闇』に変更。

魔術師や狩人は普通のジョブと分かる為に勇者一行は「」をつける様にしました。(2019.5.11)


主人公の名前が第零話だけルビーデになっていたので、イビーデに変更。(2019.5.14)

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