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OD!i  作者: 恋刀 皆
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第8話~堪忍と姦淫~「Girlfriend」

 わいさは彼女に手を引かれ、

Gとmクラスのタコパに招待される。


 なんかこう、女子にこんなに積極的に誘われるのは初めての経験なので、

わいさも悪い気はしない……。


 大した英語が話せる訳ではないが、自己紹介は基本だよな……。


「あ……、ァ――、Thank you for inviting me to the party.

わいさは……、ぇぇと、My name is Masakimi Mitsunoo,

メ――、May I have your name?」


 そう告げると彼女は人懐っこい笑顔でより一層わいさへ近付いてきて、

わいさの右腕に自身の左腕を組んできた。む……、胸があたってるんだが……。

外国人はススんでるな……。わずかな劣情がもたげてくるが、理性を総動員する。

なんかわいさ、学園に来てから良い事続きだな。帰りたくねぇ……。


「ハイ! マサキミ♪ 

アタシは『Karenカレン Ashleyアシュリー』カナダ人ヨ♪

マサキミだから……、Well……、日本語ムズカシイデス。

「ミツノー」が呼びやすいな♪ アタシはカレンでイイヨ、ミツノー♪

はい、これもアーン♡」


 一気にカレンからまくしたてられ、さらにたこ焼きをあーんと放り込まれる。

なんだここは? 天国か? カレンはわいさの何処を気に入ったのだろう……。

これが外国人……、カナダ人の普通のスキンシップなんだろうか……? 

彼女もたこ焼きも良い匂いがするし、

人生谷があれば山があるのは本当なんだな……。


「カレン日本語上手だね。それにたこ焼きもめっちゃ美味い。

クラスは違っても、これからよろしくな」


「ウフフ♡ たこ焼き美味しいのわっかルー♪

人が持ってるものってオイシそうに見えるヨネ?

ミツノーとカレン気が合いソウ♪

それにミツノー胸板厚いし逞しいし、頼りになりソウ♪」


 なんかわいさ幸せでクラクラしてきた。

もう死語なんかもしれんがこれがモテキの到来ってヤツなのか?

それにしても外国人が感情表現が豊かってのは本当なんだな。

そしてさらに、カレンはわいさに胸も、腰まで押し付けてきて――、


「ヘイ……ミツノー、アタシたち付き合っちゃおうカ?

それともミツノーにはもう彼女がいるのカナ?」


 そこまでのカレンの言動で何故か、わいさは興奮するより冷める。

うまく行き過ぎじゃねぇか? それとも日本人のわいさがオクれてるだけか……?

迷いはあるものの――……、


「彼女なんていないよカレン。わいさは、ずっとひとりだったから……」


そう正直に告げる事にした。

すると――、


「OK, forget it」


 そう彼女は口にし、

胸も腰も言葉の温度も急激に離れていったのは解った。

「じゃあいいわ」って言ったんだよなカレンは……?

どういう事だ? 

わいさと付き合うならわいさには彼女が居ない方が、

彼女にもわいさにとっても好都合じゃないか……?!

つまりわいさは今――、


「カレン、わいさをからかったんだな? コイツめ♪」


 内心ちょっと真に受けた分くらいは傷ついていたが、

わいさはなんとも思ってないないかのようにおどけてみせた。

しかし彼女は真顔で――、


「カレンがからかウ? ミツノーなに言ってるワケ?

アタシがミツノーにいつ嘘を吐いたって言うノ?」


 な……、なんでわいさ責められてるんだ? 意味がわかんねぇ……。


「言葉も宗教も科学も人間も、神様さえ完璧でありっこないワ!?

そしてミツノーもアタシを理解できないから勘違いしタ。

それでアタシを責めてくるなんてアタシもミツノーが理解できないワ!?

アタシからすれば、からかったのはアナタの方ヨ。心外だワ!?」


 彼女がわいさを見る目がありありと曇ってゆく。

わいさは一瞬カチンと来たが、今後のクラス付き合いや、

これまでのカレンとわいさを見ていた連中からしたら、

痴話喧嘩くらいにしか映らないだろう。

もうわいさはカレンにめちゃくちゃ冷めたし、口論にするのもバカらしい……。


「わいさが悪かったよカレン。機嫌直してくれよ?」


「日本人ていつもそうネ。いいワ、許してあげル。

そして憶えておきなさイ!? 誤ったのはアナタだってコト。

huh! それジャ、ミツノー、サヨウナラ!」


 わ――……、訳がわからん……。いや、女子は大抵訳分からんが。

カレンが何にあれ程イラついたのか知りたい。あ……、生理なのか……な?

それなら仕方ないだろう。そう考えるとちょっと落ち着くし、溜飲が下がる。

彼女はもうわいさから距離を置く為にGクラスやmクラスの皆からも離れている。


 なんだったんだ……。わいさのモテキ短ぇな……。

女の子ってあんなに柔らかくて良い匂いがするんだな……。

既にノスタルジックだ……。


 そうしてわいさが遠い目をしていると、

近くにいるGかmクラスの、これまた外国人、

と言っても長身の男だが……わいさのところに来て、


「“Die Kirschen in Nachbars Garten schmecken immer besser”」と、

何事かわいさの耳元へささやいてきた。


「ァ――、What language is it?」


 わいさは彼の言語がわからないので咄嗟にそう伝えたが、

彼はささやきを終えるとわいさを意に介さず、天休の居る方に去っていった。

き……、き――、来てくれた意味が分かんねぇーーっ!!!!


そうして懊悩をしながら彼と天休を見ていると、

ふたりは少しの間話し合い、何故か天休がわいさの方に向かってきた。

なに? なんなんだよ今日は……。


 すぐに天休と向き合う事になり、とりあえず……、


「おはよう天休。彼、何が言いたかったんだ?」


 そう挨拶をして、天休に彼の言葉の意味を訊ねる。しかし――、


「“誰でも他所の庭のさくらんぼは美味しい”んだし」


天休もそれだけを告げて、また彼のもとへすぐに戻っていってしまった……。


 おい……、おい――、みんな……、訳分かんねぇよっ!!


なぁ……、頼むよ……、わいさが何したんだよ……!


 もういいよ。これがわいさだよ……。

あとで、恵喜烏帽子にでも聞いてもらおう。

今んとこは、しょうがねぇ……、








堪忍するよ……。



 きみにあいたかったよ

きょうはどんないちにちだった?

おうのう

歌・作詞・作曲 Avril Lavigne

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