ワンピース
合宿が終わり、一日休みになり、セイラの家でロードバイクのメンテナンスと、秋の新人戦に向けてのワンピースを作ことになった。
ワンピースとは、試合で着る戦闘服の様な物だ。
日曜日の昼下がりに『サイクルショップ長良』で、マリアとセイラパパが話し会っていた。
デザインを決めないと行けない。
セイラの部屋で三人で考えることになった。
やけにテンションの高いマリア。
セイラは、何かを感じたのか、
「居間でやりましょう」と、言ってきた。
「何言ってるのよ、担任が生徒がどんな生活をしてるか調べるのは当然の義務。さっさと、セイラの部屋に案内しなさい」
渋々セイラは、二階の自分の部屋の前に案内する。
「どんな、部屋か楽しみだわ」
「普通のありふれた部屋ですよ」
マリア的に夢がつまった扉を開けた。
そこに広がる世界はマリアには、眩しすぎたようだ。
「め、めがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
昔、私が近くの町工場でこっそり生で見てしまったアーク溶接の瞬間と同様に目を塞ぎ尻餅をつくマリア。
普通の女の子の部屋なのに良くそんなリアクションが出来るのか感心していた。
「こ、これが、現役女子高校生の巣なのか…。」
興奮ぎみで鼻息の荒くなったケダモノ。
「そう思ったらゾクゾクしてきたわ」
「それは、男子とマリアだけだと思うよ」
まぁ、私もお泊まり会の時は、ほんのちょっとだけ、そんなテンションになることもある。
マリアは、セイラのベッドにダイブし
フンガ、フンガと臭いを嗅いでいる。
布団を手と股で挟み、抱き枕のようにして回転している。
変態丸出しで見てる方が恥ずかしくなる。
スカートのめくれあがった尻に机の上に置いてあった定義でピシャンと、制裁を加えた。
「ふぅ~、完全に男になってたわ」
男と言うよりは、ケダモノだった。
ベッドから降り、周りを見渡している。
次の獲物を探しているようだ。
「生徒が、日頃何してるかを調べるのは当然の義務よ」
こんなときだけ、先生面する。
友達設定は、どこにいったんだ。
「次はなにを探そうかな、やはり定番のエロ本探しターイム!」
「そんなの無いですよ」
困り顔のセイラ。
「男は、ベッドのマットの間に隠すのが定番」
マリアは、マットの間に手をいれる。
後ろから見ている私は、膝をついてパンツを丸見えにしているマリアのお尻に、ビンタを入れた。
完全に雄になっているテンションマックスのマリアには、効果がなかった。
「むむむ、おかしい、何もないわね」
「おかしくないですよ、私、女ですよ」
「そうだった、セイラは、女の子だったね」
教え子の性別も忘れて、一人で男の気分になって遊んでいる。
「次は、ノートパソコンの履歴を調べてみよう」
「そんなことより、ワンピースのデザイン決めましょうよ~試合に間に合わなくなりますよ」
「エロそうな履歴は無さそうね、異常なしっと」
「さっきから、無いって言ってますよ」
「つまらないわね、十五、六歳といったら、どうにかして異性の裸を見ようと努力するものよ」
一通り、部屋を調べてお決まりのパンツを被ったり、臭いを嗅いだりしたあと、飽きたのか、虚しくなったのかは、知らないが真面目にワンピースのデザインをやりはじめた。
テーブルの上には色鉛筆と紙に書かれたワンピースの図面。
相談しあってデザインを決めていく。
殆ど、マリアの独断で決めたが、なかなか良い色合いになった。
ピンクと白の横縞のデザインで青春学園にピッタリとあった感じだ。
胸元には、青春学園と入ることになる。
「可愛いデザインですね」
「マリア、センスあるよー」
「そりゃそうよ、この学校の制服をデザインしたのは、このあたしよ」
「本当ですか?可愛いって、評判です」
「いまの時代、制服が可愛いからあの学校に行きたいとかざらにあるからね」
だが、腕についたヒラヒラしたものがものすごく気になる。
「このヒラヒラしたもの着けたら、風の抵抗受けて戦闘服にはなりませんけど」
「良いのよ、可愛くて、男受けが良ければ」
「マリアさんは、毎回そればかり言ってますね」
「当然よ、男と話すきっかけになるし、この歳になると出会いが少ないから、やれることはやるのよ」
適齢期を過ぎた女の危機迫る切実な思いを聞いた。
見た目は可愛いのに、縁がないのは、性格に致命的な欠陥がありそうだ。
「でも、タイムを競うスポーツだから、腕のヒラヒラは、辞めましょう」
「三着注文するんだから、あたしのは、これでいくわ」
「絶対やめた方が良いですよ」
マリアは、頑として譲らないので、
セイラパパは、こっそりワンピースのヒラヒラ無しで注文に出した。