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競輪場にコイケエーコ

 


 七月になり、暑い日が続いた。

 明日は、水谷監督が居るので競輪場でまともな練習ができそうだ。

 鼻唄を歌いながら学校所有のワゴン車にピストバイクを積んでいった。

 楽しみで仕方なかった。

 朝七時半に、競輪場に着き水谷監督が乗ってきたワゴン車からピストバイクを降ろした。


 大垣競輪場をホームバンクにしてる高校は犬垣高校と猿田高校と青春学園の三校である。


 タイヤに空気を入れる。この時タイヤに入れる空気の気圧は十五位になる。

 練習用のタイヤといえ、親指位の太さしかない。それを、前、後輪に入れる。


 ピストバイクを担ぎ、裏通路を通って敢闘門近くの壁にピストバイクを立て掛けて待機した。


 水谷監督は、山田の所の監督の教え子で、この前のことを怒られてるみたいだった。あの時まだ、監督要請されてないのにである。

 ペコペコと頭を下げる水谷監督。


「水谷監督、怒られてますね」


 笑うマリア。


「その原因は、マリアさんですよ」


「マリアが、顧問なのに部員として同化してたから、叱られてるんですよ」


 水谷監督は、叱られたあとバンクに入って周回練習するように指示をした。


 今回は、一列なって一周したら、内側に待避し最後尾に着く練習をすることになった。


 敢闘門で、お願いしますと一礼し左方向をしっかり確認しバンクに入る。

 同様に、クリップバンドを締めて、準備が出来たら、後方を確認してからバンクの白線の中を走る。


 隊列を作り、周回を重ねていく。

 まだ、九時だと言うのに、バンクに照りつける日差しは、予想以上に暑い。

 また、日焼けしちゃうなぁと思いつつ先頭になり、名一杯引っ張った。


 三十周が終わり、少し休憩を挟んでタイムトライアルをすることになった。


 周回練習。

 千メートルタイムトライアル。

 ハロン(二百メートルフライングダッシュ)

 この二種目は、私達が競輪選手になるために必須である。


 犬垣高校が先に千メートルタイムトライアルをする。

 一年生からやるようだ。

 スタートラインに二人並んで、内側の人からスタートし、約十五秒後もう一人がスタートする。


 見ていたかったが水谷監督に呼ばれ、千メートルの走り方や色々注意点を聞かせてくれた。


 やはり、監督は素晴らしい。

 私は、監督を尊敬の眼差しで見つめて信者ようになっていた。


 後頭部に衝撃を受ける。


「なに、ぼーっとしてるの?準備しろって聞こえないの」


 マリアのチョップで我に返る。


 ヘルメットをかぶりグローブをはめ、

 気合いを入れるために身体中を叩いた。


 スタートラインに居る山田と栗井がペイサーをやっている。一年生の仕事のようだ。


 私が先行スタートでセイラが後追い。

 ゆっくりと、ペイサーをする栗井君の所へ行き、お願いしますとサドルを持ってもらう。


 この時後輪を持ち上げてもらい踏み出すペダルの位置を合わせる。


 初めてのタイムトライアルなので緊張もあるが、みんなの力がどれくらいなのか解るのが楽しみでもあった。


 ハンドルから手を離して身体を起こし、

 深呼吸をして過度な緊張をとる。


 栗井君が後ろから、がんばれと声を掛けてくれた。


 構えての合図でハンドルを握り腰をあげる。スタートで、ハンドルを引きつけながらペダルを踏みスピードが上がっていく。


 二百メートルライン手前まで立ちこぎし腰を下ろしあとは、脚との我慢比べだ。

 もがき続けて、六百メートルが過ぎ、残り一周。

 一気にペダルが重くなり、太ももが悲鳴をあげる。

 それでも必死に回しながら耐える。

 ラスト二百メートルは、限界が来て、たれてしまった。

 走り終わると立ってられな位の状態になりスピードが落ちるのを待ち、内側の芝生に転がった。

 ロードレースしてたけど持久力が無いなぁと思い知らされた。

 何秒だったんだろう。

 マリアは、ラスト走者で今、一人で走っている最中だった。

 必死にもがき続けるマリアに、力無く応援した。


 千メートルのタイムは、

 ほたる、一分二十一秒、

 セイラ、一分二十三秒、

 マリア、一分二十九秒だった。


 このあと、ハロンの走り方について説明があり、他校の生徒の走りを良く見るように言われた。


 ハロンは、二百メートルフライングダッシュと言う。走り方は、バンクの上段からスピードを上げて行きバンクの下りをかけ下ろし二百メートルのタイムを計る。


 ハロンも終わり、次は五百メートルタイムトライアルを三本やりそのあと周回三十周して終わりとなった。





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