表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇がまざるとき  作者: 古山いずみ
第1章 彼女の出会いと生活
5/7

母の記憶  2

今回の話では、何回か視点変更のようなものがあります。読みづらい可能性もありますがご了承ください。

彼は、秀仁は元気に笑う。マリア達は秀仁のことを、あまり良く思わなかった。それも、あたりまえ。異世界人は、どんな危険を及ぼすか分からないからという考え。エリーは、その逆の考え。異世界はどんな危険があるか分からないから、その世界の住人に聞いて危険を回避しようという考え。だが、マリア達も、エリーの考えを察したのか秀仁に少し友好的になろうとする。

そこで、秀仁の提案した「質問しあいまショー」という謎のイベントを始めた。これはお互いが色々なことを質問し、質問された側は嘘無しで答えるというシンプルなものだ。

「じゃあ、俺から質問な。いくつかあるんだが何個かにしぼって質問するぜ。1つ目、エリーたちが不思議な容姿ているのは何故か。2つ目、何処の国から来たか。3つ目、どうして山の中にいたのか。以上だ!」

「では、その質問全てにお答えします。1つ目の質問の答えは、この容姿は私たちの住んでいた国やその周辺では普通の事です。2つ目の質問の答えは、私の母国は緑の国エリシュタン王国。マリアとマルセルは、エリシュタン王国の東隣りに位置する火の国アルマタイト帝国。シーパーは、エリシュタン王国のずっと南に位置する学びの国ガクセルタ女王国。ファンは、ガクセルタ女王国の真反対北の方に位置する武術の国ビオーダ大国。ジェムは、何処に位置するのかすら明記されていない魔術の国チャナル秘国。この5人の紹介は後にしておきます。最後に3つ目の質問の答えは、私たちの転移場所がたまたまこの山のこの場所だったってだけの話です。以上です」

エリーは本当に嘘偽りなく話した。秀仁は何を言っていたのかあまり理解できていない様子で呆然と立ち尽くしている。当然だろう。自分の見たことも聞いたこともない世界の話をされているのだ。それを簡単に理解されても困る。

「私たちは特に質問などはありませんので、自己紹介などの方に移っても良いですか?」

「おう、構わないぜ」

「では、改めまして。私は、エリシュタン王国首領総議会№3、エリアル・ママセルの子、次女のエリス・ママセルといいます。気軽にエリーと呼んでくれて構いません」

エリーが綺麗で歳不相応なほど長い髪を抑えながら一礼する。

「私は、エリス様のメイドをしています、マリアです。よろしくお願いします」

エリーの後にはマリアも自己紹介をする。マリアもエリー同様に一礼をする。

わたくしは、マルセルと申します。わたくしはマリアさんとは違い、ママセル家におよそ100年前から代々使えております。よろしくお願いいたします」

マルセルが自分の事を少し話し、一礼をして終わらせる。

「私は、エリス様専属家庭教師のシーパーです。以後よろしくお願いします」

簡潔に紹介をし終わらせるシーパー。

「自分はエリスお嬢様専属騎士のファンと申します。騎士階級は第4階級蒼の騎士ブルーソードでございます。お嬢様共々以後お見知りおきを」

騎士階級とは簡単に言えばレベルの様なもので、階級によって強さや実績を示され、階級によっては国王の護衛や重要任務を任されることもある。ちなみに、ママセル家は国家に多大な影響力をもたらすことが出来るほどの権力ちからを持っているが故にママセル家の騎士団に入るには騎士階級が最低でも第3階級|銀の騎士(シルバ―ソード)からだがファンの場合は特殊でエリーからの指名で家の騎士団に加入させた後、専属護衛騎士に任命という特殊すぎる経緯。エリー曰く「ファンからは今まで見てきた他の騎士たちからは感じたことのない特殊な魔力を感じたから」。

余談をしてしまったが次はジェムの紹介。

「我は、ママセル家の魔術師団副団長のジェムだ。色々と他の者達とは違うところがあるが気にしないでくれるとありがたい」

エリー達が全員自己紹介を終える。秀仁にはあとでこちらの世界の色々な言葉、制度や存在技術などを教えてもらう必要がありそうだとエリーたち全員が思う。異世界組6人とは対照的にエリーたちは本当に面白いと、秀仁は思う。

「うん!いくつかの質問したいことが出来たけど、エリー達の事は大体理解できた。じゃあ、今から遊ぼうか......って、やべぇ。もう帰る時間じゃん。じゃあ、俺はもう帰んないといけないから。また、会おうな!」

そう言い残して秀仁は山を下りて帰っていった。

次の日、エリー達は山の中で見つけた少し小さい小屋に自分たちの世界から一緒に転移された数少ない物資などを運びしばらくはそこで暮らすことになった。辛い生活の始まりかと思いきや、その小屋には汚れていて、多少の破損はあるが軽い修復である程度使えると思われる生活必需品がある。テーブルにイス、ベット、水道、ランプ、暖炉兼釜戸等々。エリーたちの荷物の中に混じっていた調理道具と、小屋にある調理道具を合わせれば十分に調理できる道具が揃う。

「これだけ道具があれば十分にお料理が出来る。エリー様、楽しみにしていてください!」

マリアがとても張り切っている。食材の事は考えていないのだろうか。

「ならばわたくしはこの山全体を見てまいります。生活の役にたつやもしれませぬので」

マルセルが山の状態の調査。この山ならば、館と比べ4倍ほどなので本気で走り抜ければ、5分で1周は余裕だろう。

「ならば私はママセルさんに同行します。この山の生態を調べながら、記録と採集したいですから」

シーパーは未知を目の前にして学習欲が現れたようだ。一度現れた学習欲は、知り尽くすまで消えないだろう。

「自分は、安全のためお嬢様の近くにおります。恐らく、ジェム殿もここに残ると思われますので」

「その通り。我はこの小屋の周辺に念のため結界術と敵感知魔法を施しておこうと思う」

ファンとジェムは、エリーと小屋に残り各自の役職通りの働きをするらしい。

各自やることが決まり、仕事に取り掛かる。仕事が終わったら各自、自由行動となった。エリーは小屋の整理だけだったのですぐに仕事が終わったので、ファンと話し合い散歩に行くことに決めた。


※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  


「シーパー様、調査の方は順調でございますか?」

「マルセルさん、様はやめてくださいと何度も言っていますよね?エリス様のように上の存在ではないんですから」

山の探索チーム。2人は一定のペースで歩いている。シーパーが止まるとマルセルも止まることからシーパーに合わせている感じだろう。基本止まらずに、流してみているだけで大体の植物などを覚え環境を調査出来るシーパーは恐らくとても頭が良いのだろう。

「そうでございましたね。以後気を付けます」

シーパーはエリーの配下同士での上下関係は無しにしたいようだ。


※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  


「う~ん。どうやったら美味しくなるでしょうか、今のマリアには分かりません...うー、エリー様に張り切って宣言してしまったからもう取り消せません。頑張って美味しくするしかなさそうです」

マリアは料理をしている様だ。だが、異世界での慣れない食材や火元で美味しくできなく苦戦している。

「うむ、我はここに火薬草を入れればいいと思うぞ。火薬草なかったか?」

ジェムがアドバイスする。

「じぇ、ジェムさん?!何でここに....あ、それよりも火薬草でしたよね。あった気がするので入れてみます」

火薬草を袋から取り出しするつぶして粉上にしてから料理中の鍋に入れる。ちなみに、ジェムは仕事が終わってから、小屋周辺をフラフラ歩いていたらいい匂いがしたから来たそうな。

「あ、美味しいです。ジェムさん、ありがとうございます!これでエリー様にお出しすることが出来る」


※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  


「秀仁、来ないのですかね....」

エリーは、秀仁が来ないかな、と思っている。そんな心の声が漏れてしまった事に気づきとっさに口元に手をあてる。

「流石に、昨日来たばかりですからね。お嬢様は、秀仁殿に会いたいのですか?」

エリーに向けてファンが少し悪戯に笑いながら問う。

「べ、別に、必ずというわけではないのだけれど、色々教えてほしいと思っています」

即答する。毎日にでも来てほしいと心の中では思っているようだ。それを言えないのは、異世界に何も持たずに来たばかりで不安が沢山あるだろう皆の事を思っての事だろう。皆をまとめる者としての責任という名の鎖がエリーの事を縛っているのだろう。

「もうそろそろ皆仕事が終わるころだと思うので、小屋に戻りましょうか」

「はい、お嬢様」

小屋へ戻る道を歩いている時。エリーとファンは、嫌な予感がした。小屋へ急ぐ。でこぼこの歩きずらい道を懸命に駆けながら。

2人の嫌な予感は間違ってはいなかった。エリー達が来た方と反対側で、ジェムの攻撃用魔術が発動した。予め仕掛けておいたものだろう。ファンはそれを見た途端に、その方向目掛けて剣を構えながら走っていった。エリーもその後ろを追う。

小屋の前では体長3メートル程の大きな熊が暴れていた...痕跡があった。熊はエリーよりも少しだけ現場に到着したファンに討伐されたようで、心臓部に剣の刺さった跡がある。マリアは小屋の扉付近で震えていて、マルセルはいつもと変わらず冷静を保っている。シーパーは....

「この熊、私たちの元居た世界の熊と比べてみると全然違う。歯の本数、形状、骨格...多分、内臓とかも作りが違うんでしょうね」

異世界の熊に対しての知識欲で萌えている。今にも涎の垂れそうな顔だ。そんなシーパーを他所にジェムは熊の死体を運んでいく。マリアも落ち着いたようだ。日も暮れてきたので小屋に戻る。熊は裏に臨時で建てた倉庫に入れてある。

「エリー様、こちらが今日の夕食のピリ辛シチューです。どうぞお召し上がり下さい」

マリアが、エリーの前に夕飯のシチューを差し出す。昼間作っていたものだ。火薬草を入れたことにより、少しだけ辛味がついたようだ。皆が美味しそうに食べる様子を見てマリアも嬉しそうにしている。

(この世界は、私たちが元居た世界よりも少し不便ですけどとても平和な世界。マリア達も今までよりなんだか元気にしているように見えます。私があの世界から居なくなったことによって、少しは変わるとよいのですけれど...)


※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  


「おい、どうなっている!!昨日の夜からエリーが山に居ないだって?!どこに行ったんだ、早く探せ!!あの子は大事な大事な俺の娘だぞ!」

「申し訳ありません、エリアル様。ただいま、ママセル家全騎士及び手の空いているメイド等に捜索させているところです」

エリーの父、エリアルは6人が異世界にいるとはつゆ知らず「山から出るな」の条件を破ったことに対して怒っている。帰る際には、山の登山ルートの入り口にいる者他達に一声かけてから帰りますとエリー自ら言った事、エリアルは忘れていない。故に怒っている。約束はたとえ命を懸けても絶対に守る、それが魔術師と魔導士、共通の掟。エリアルは魔術師だ。エリーやジェムは、魔術師でもあり、魔導士でもある。2人もこの掟には従う。だが、それを破った。それは、魔術師(魔導士も)失格だ。恐らく、エリーがぬけぬけと帰ってきた日には罰則が与えられることだろう。


※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  ※※  


翌朝、エリーは鳥の声を聞き、目を覚ました。

「あ、エリー様おはようございます」

「おはよう。みんなもおはよう」

「「「おはようございます」」」

エリーが挨拶をすると、皆から挨拶が返ってくる。そして、テーブルにはすでに朝食が並んでいる。マリア達はエリーが起きるよりも少し前に起き、朝食の用意をしたようだ。できたばかりの、スープの香りが小屋中に広まっている。

「エリス様、朝食の準備は少し前に終わったばかりなので出来立ての物が食べられますよ。マリアちゃんが朝早くに起きて作っていたのですよ」

マリアは誰よりも早く起きたようだ。

朝食は、昨日のシチューの具と同じ材料で作られている。パンもまだ温かい。焼きたてなのだろう。エリーは外にある水道で顔を洗い、自分の分の朝食の並べられている席に座る。

こうして、何日か経った。

「秀仁、全然来ませんね。私達の事忘れてしまったのでしょうか?」

「....っ!エリス様、この山の中に人間と思わしき生命反応がある。身長、体重等のおおよその記録が取れている。色々な記録と照らし合わせた結果『秀仁』の可能性が高い」

「ほ、本当ですか?!い、今すぐにここに連れてきましょう。マリア、よろしくお願いします」

「はい、お任せくださいエリー様。すぐに秀仁様をお連れ致します」

朝食を食べ終え山の様子を確認していたジェムからの報告に、朝食中なのを忘れ勢いよく立ち上がりたまたま近くにいたマリアに秀仁を連れてくるように言う。マリアも即座に対応する。マリアは物凄い速さで支度をして小屋を出ていき、秀仁の元に向かう。でこぼこの道を、ママセルの作った地図を持ち全速力で駆け降りる。

山のかなり下の方、街が見えてくる辺りに行くと秀仁がいた。疲れているのか木陰に座り込んでいる。

「秀仁様。お久しぶりです。覚えていますか?マリアです。エリー様の指示のもと秀仁様をお迎えに上がりました」

「お~マリアか!まったく、何処に居たんだよ。この間いたところにいねーから探し回ったんだぞ!まあいいや。エリーのいるところまで連れて行ってくれ」

「では、マリアの肩におつかまり下さい」

秀仁は少しためらいながらもマリアの肩につかまる。

次の瞬間、目の前には小屋があった。エリーたちの住んでいる小屋だ。近くにジェムがいて足元に魔法陣んが描かれていることから考えて、マリアの事をジェムが転移魔術で呼び出したのだろう。

「マリア、お疲れ様です。秀仁、ようこそ私達の家へ。今日はゆっくりしていって下さいね。お話したいことも沢山ありますから」

「あぁ、実は俺も今日はエリーに話というかお願いがあって来たんだ」

次話、秀仁から驚きの隠せないようなお願いをされる!


なんか、次回予告的なものやってみると面白いですね。これからもやっていこうかなと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ