はじまり
初めて小説を書かせていただきました。
未熟で拙い文章ですが、精一杯やってみようと思います。
よろしくお願いいたします。
「そこにいたよ…とても怖い顔をしてこっちを見てた。」
中学生のたった一言で場の雰囲気が凍りついた。
「今は!?いるのか!!」
私は、冷静さを失い大声をあげてしまった。
私は、鷹田 郁 35歳
小さな町で塾をやっています。
毎年、お盆近くになると
「先生!!怖い話してよ!!」
夏期講習の過密スケジュールに飽きた受講生からの、お決まりのフレーズが聞こえてきます。
「しょうがないなぁ。今日のは特別に怖いぞ!!聞く覚悟あるのかぁ?」
10年前の私は、軽い気持ちで若い頃に経験した恐怖体験を話す事にしました。
今思えば、話すべきではなかったのかもしれません。
「5年位前の春先だなぁ。悪友って言うやつかな?そいつらと幽霊探しに行こうぜ!!ってなった時の話」
当時20歳前後で、怖いもの知らずだった私達は「面白さとスリル」を求めていました。
テレビでも頻繁に心霊特集もくまれており、興味があったのでしょう。躊躇うこともなく、地元で有名な心霊スポットへ悪友3人と私の車で向かっていました。
悪友は、菊山・富士村・千葉の3名
目的地は海辺の廃ホテル。
道なき道を軽自動車で爆走し廃ホテルの前まで来ました。
「ハイビームでホテル照らしてみるべ!!」
悪友の菊山君が叫びます。
促されるようにハイビームで照らしてみましたが、特に何ら変化もありません。
「まあ、そんなもんだろ。」
千葉がボソッとしゃべる。
内心、何も出てこなくて良かったと思っていました。