#3-2.街や村を創ろう!!
・タウンメイキングシステムについて
まずは概要から。
タウンメイキングシステムとは、街や村などが近くにない既存の平地・廃墟・ダンジョンなどを開拓し、人の住むことのできるタウンマップへと育てていくことが可能になる、中級者~上級者向けの新システムです。
これまで特定の場所にしかなかったタウンマップですが、このシステムの導入により、プレイヤー自身が利便性の高い場所を開拓して狩りや移動の拠点としたり、自分だけのお城を建てたりすることができるようになります。
沢山の人が住まう事の出来る大都市にすることも、自分たちのギルドだけの隠れ家にすることも思いのままです。
実際に開拓を始めるためにはどうすればいいか。
まず、開拓者となる為にはユーザーギルドのマスターである事が最低条件となります。
既存のギルドでもいいですし、専用にギルドを作ってもいいでしょう。
ギルドマスターとなったならば、まずはリーシア王城にて暮らす『国王陛下』にお話を伺ってみてください。
どの土地を開拓するかによって必要な資産や大まかな物資、人員などが説明されますので、それを参考に集めるといいでしょう。
土地の取得のためには『国王陛下』からの購入が現段階では一番手っ取り早いですが、そのほかイベントでの成果や日常的な活動による報酬などでも獲得できるようになります。
廃墟マップなどは一部改修するだけでそのままタウンマップとして流用することができる場所もありますが、多くの場合、開拓のためにはまず土地を切り拓き、平地にしてから家屋などの建築物を建てていくことになります。
当然ながら多くの人手が必要になります(ギルドマスターが条件なのはこの為)。
ギルドの人員だけで足りなくなってきた場合、作業内容別に専用に人を雇うといいかもしれません。
特に農夫や大工、料理人などの生産系、商人やスミスなどの商人系のタウンワーカーは欠かせません。
街と街とをつなぐための転送陣を使用できる転送NPCも重要な存在となってきます。
いずれも、報酬によって雇ってもいいですし、理想を共にする同志として共同経営するもいいでしょう。
どうぞご自身の都合にあった人員配置を。人が多ければそれだけ早く開拓と建築が進みます。
尚、開拓候補地は元々はモンスターの湧くマップである為、当然ながらこの対処も必要となってきます。
モンスターの強さは場所によりけりですが、そのままでは開拓してタウンマップにしてもモンスターが出現してしまいます。
これでは落ち着きませんし、人も寄り付きません。家屋なども荒らされてしまいます。
この為、特別な設定付けが必要な場合を除き、モンスターを排除する為のアイテムを用意する必要があります。
ここで重要になってくるのが『リスポーンブレイカー』という新規追加アイテムの存在です。
モンスター『黒の魔導士』や『クレイジークリスタル』などがたまーにドロップする紫色の宝玉ですが、これはプレイヤーが自分で作成することも可能です。
作成条件などはアルケミスト・ギルドに配布済みですので、後々そちらから獲得していただけるとよろしいかと思われます。
縛りプレイがお好きな方は自力で考えてみてもいいかもしれません。
このアイテムは、開拓された土地に設置することでその周囲2ヘクタールほどがリスポーン禁止区域として設定されるようになります。
あくまでリスポーンを禁止するだけのアイテムなので既に存在しているモンスターは自力で倒さなくてはならないのが注意点です。
実力に見合わない土地を開拓しようとしても無理という事ですね。
その辺り、よく吟味するといいでしょう。
開拓地やタウンマップの所有についてですが、これは開拓したギルドのマスターのものとなります。
村長でも領主でも顔役でもお好きなように名乗って構いませんが、富の分配などは開拓に参加したプレイヤー全員にいきわたるように設定されています。
所有者が持つ最大の権利として、土地の分配権というものがあります。
これは、新規に開拓地、あるいはタウンマップでの居住を望むプレイヤーに対し、土地を譲る、貸与する、あるいは販売する事が出来るようになる権利です。
所有者は最初に土地を購入しているわけですから、これを他のプレイヤーに与えることで自分の街の住民にすることができるという仕組みです。
高級住宅地を目指して高額な価格設定をしてもいいですし、多くの住民を集めたければ無料で貸与してもいいでしょう。
その辺りの采配は所有者自身の都合にもよってきますので、いろいろ考えるといいかもしれまん。
レッツ、タウンメイキング!!
司会の説明が終わるや、拓かれていく世界を感じてか、プレイヤー達のざわめきが大きくなっていく。
説明中こそシン、としていたが、それが終わるや、緊張から放たれたような感じだ。
俺自身、小さいため息が出てしまっていた。意外と、いろいろできそうなシステムだったというのもある。
「ワクワクしてます……?」
隣に座る白ずくめの金髪は、はにかむように俺の顔を覗き込んでくる。
「ああ、世界が、変わるな」
今まで限られた、狭い範囲しか拠点にできなかったのが、これからは自分たちで拠点を自由に構築することができるようになったのだ。
これまで遠出になるからと敬遠されがちだった狩場やなんかにも脚光が当たるようになるかもしれない。
もちろん、必要な資産だとか人脈だとかで手間がかかるのだろうが、今更面倒くさい事が増えたところで、このゲームのプレイヤーにそれを嫌がる奴は少ないだろう。
皆『面倒くさい』を楽しんでいるのだから。
-Tips-
国王陛下(人名)
リーシア北の王城にて勝手に生活しているプレイヤー。
血筋などは全く関係なく、ただのロールプレイである。
手先が器用なのか、手製の王冠やマントなどを身に着けており、見た目だけなら確かにそれらしい。
ベータテスト時代から自分を「王である」と名乗っており、当初はただの変人と目されていたが、
王としての威厳ある立ち居振る舞いと、時々『視察』と称してリーシアの街をうろつく姿が名物となり、いつしか国王として住民に受け入れられるようになっていった。
当初は勝手気ままに城内をうろついたり、時たま迷い込む冒険者などと雑談をかわしたりする日々を送っていたが、次第に『運営サイド』や『運営さん』に目をつけられはじめ「王様だというなら」と、片棒を担がされる形で関連した「王様らしい仕事」を押し付けられるようになる。
これにより以前よりは城内を訪れる者は増え、彼としては多忙な日々を送るようになった。
尚、本人は「これで王様らしくなれるのならば」と、満足している様子である。
広い城内ではあるが私兵や従者などは居らず、慎ましやかな一人暮らしである。
「一緒に暮らしてくれる妃や配下の兵士募集中」という張り紙が城の門前に張られているが、今のところ報われていない。




