【第98話】SS Sword Art.
おはようございます。
GW連投8投目です。
お読みくださって、ありがとうございます。
如月だけの話です。
私は私を使ってくれる剣士が現れるとは信じていなかった。
作られてからこの方、惹き寄せられるようにこの剣に宿った私の心は寂寥感と孤独感。そして空虚な抜け殻の様なモノだったのだ。
私を鍛えた刀匠は剣を打ち終えてその翌日には他界してしまったの。
生みの親の死の間際に言われた言葉。
「大事にしてもらいなさい。如月を大事にしてくれるその者は片時もお前を離さないだろう。」
そう言い置いて、私を放ったまま逝ってしまった。
10年が経ち、私を使うような剣に優れた者は現れていない。
このころはまだ私も信じていた。
この広い世界の中ならば、私を求めてくれて、自由に使いこなしてくれる剣士が居るだろうと。
100年経っても私は信じていた。
だって、私なんだもの。そうそう特別な剣士なんて現れないわ。それでも使いこなす者が未だ辿り着かないのはこの世界が広いから。
私の柄を握れば、たちどころに気を失うような魔力に乏しい刀鍛冶や愛好家とか言う者たちが私の刀身を眺め、棟金や凌ぎに触れるのだ。
なす術もなくこの身を辱める者たちに私の心は折れそうだった。
500年経ち、1000年が過ぎても私を迎えに来てくれる者など現れはしなかった。
この頃にはもう、鞘から抜け出ることもなく、誰も私を手に取ろうともしなかった。
神棚に祀り上げられるばかりで、埃さえも拭われることは年に数度のこと。
この屋敷には刀を打つ技術を習うために数十と言う若者が住みこんでいる。
屋敷の主人には二人の娘がおり、器量もいいことから住み込みの若い連中にも大変な人気があったのだ。
しかし、修行の身にあるような半端者に嫁がせる気はないと、屋敷の主は上の娘をトウトのメイドを養成する学舎に送り込んでしまった。
その娘はそれに口答えするわけでもなく、素直にトウトへと旅立っていったことから懸想するような者も居なかったのだろうと思う。
下の娘はまだいくらか幼いこともあり、相変わらず屋敷にいるようだが、彼女がこの神棚のある道場へ来ることなどなかったので、私にもその後どうしているのかは知りようも無かった。
上の娘がトウトへ行き、一年か二年が過ぎたころ、穏やかに時間が過ぎるだけだったこの屋敷が俄かに慌ただしい雰囲気に包まれた。
何事だろうか?自ら動くこともできずにいる私だから、何があったのか知りようも無かったのだ。
屋敷がざわつく中、この道場へやって来る人の気配があったのだ。
刀鍛冶の主と、若い男。
二人の交わす言葉から推測するに、この若い男がトウトへ行った上の娘を嫁に貰いに来たようだ。
主はそれを断ろうともせずに、それでも納得はしていないようで挑戦的な言葉を放つ。
「これは我が家に伝わる宝刀のうちの一振り、”魔剣如月”といいます。先祖伝来の品ではありますが、何代目の当主が打った物かも判りません。
手に取ること敵わず、鞘から抜くこと敵わず。親王陛下の懐刀と言われる公爵様に世界を掴むほどの力量がお有りであれば、この刀に認められれば私は心よりのアニエスの嫁入りに祝福を与えられると思います。」
屋敷の主はこの若い男を「親王陛下の公爵」と言ったのだ。
それであれば判る。
貴族家へ嫁に入る女性の生家はそれを断る権利を持たないからだ。
しかし、精いっぱいの抵抗として私に挑戦させ、恥をかかせようというのだろう。
でも、この男から漏れる魔力はおかしい。
明らかに膨大な魔力を持っているはずだ。それが正しいとすれば、私が主の言うように抜かずの魔剣ではいられないかもしれないではないの。
だって、もう私はこの男に惹かれ始めている。
私はすでに彼の手に渡り、直にその手に触れられているのだが、ジンジンと伝わる魔力は私で恥をかかすどころの騒ぎではないと思うのだ。
〔あなたは不思議な方のようですね。〕
賭けではあったが、伝わると信じて話しかけた。
「恥ずかしがり屋さんなのかい?」
穏やかな口調で訪ねてくる。
私が話しかけても驚きもせずに付き合ってくれるのだ。
「ははは、正直なお嬢さんだな。俺ではまだ足りないかその身体で確かめてみないか?」
私のことを「お嬢さん」と言う。
挑戦的な言葉とは裏腹に、ぜひたのむよ。そう言うような丁寧さが伝わる。
柄を握られ、男から魔力が供給されるのだが、暖かな柔らかいホッとするというのが正しい様な注がれ方で穏やかに入ってくる。
心が芯からポカポカとするほどの魔力が次から次へと私の中に満ちてくるのだが、それが徐々に勢いを増し、私を満足させようと滔々と注がれるのだ。
まだ、もっと!この男から「私が満足するだけ魔力をあげる。」そう言う気持ちと共に心のこもった贈り物が満ちてきている。
私が身震いしているのが判るかしら?
私を一杯に満たして更に送り込まれる魔力は勢いが衰えることもなく、ずっとずっと清らかな魔力として表面にあふれ出しているのよ。
もう、鞘を纏ったままでは入りきらないの。
慌てて鞘を脱ぎ飛ばしてやったわ。
その途端、刃金から染み出る魔力が私を守るように紫の光を纏いながら包み込んでくる。
それで収まらずに私の背中からも硬度を増すための霊力が発動されている。
赤い魔力が纏いつき、私自身の硬さ、粘りを補って数倍にするための魔力防御まで発動しているの。
こんなことができる人に使ってもらえるなら、私は刀として生きて行ける。
〔私のモノになりなさい〕
あっさりと断られてしまった。
もう、妻が居るからと。
〔四人目でもいいわ。〕
私が譲歩するしかなかったが、そんなことなんてどうでもいい。
この男が私を使ってくれるなら、いつも連れて歩いてくれるなら、何番目の妻かなんてどうでもいいの。
ううん、妻じゃなくたっていいし、それは些細すぎる問題だったのよ。
1000年を過ごした屋敷から私のいる場所はソウタさんの腰の剣帯へと変わった。
しかしこの公爵様、トラブルを呼び寄せる性質でもあるのか、トラブルに飛び込む癖でもあるのか、出歩くたびに命を狙われたり襲われたりするの。
でもそのお蔭で私は役に立ててる。
この人は戦のその時にも、敵に対峙しても私に注ぐ魔力に全く変化が無い。
量の多い少ないは相手にもよるんだけれど、私を気遣い、私が傷つかないようにするために注ぐ魔力の暖かさはいつも全く変わらない。
そしてその力を使って私に最高の仕事をさせてくれる。
霊力を纏った私を構え、風よりも早く駆ける。鳥よりも高く飛び、溢れるばかりの敵意を切り伏せる。
槍をかいくぐり、鎧にたたきつければ私の纏った霊力が敵の体を無抵抗に潜り抜ける。
敵の剣を迎えに行けば豆腐に包丁を入れるようなモノだ。
全ての物を切り飛ばし、全ての者を切り伏せる。
たとえそれが古からの生物の頂点に立つエンシェントドラゴンであってもだ。
私と同じ1000年を超えてソウタさんの元へと集ったレネゲイド。
この聖銀の巨人はソウタさんの世界で生まれこの世界に来たという事だったが、一度動いてからと言う物1000年の間、誰の言う事も聞かず眠り続けたというのに、ソウタさんにはすぐにも応えたという。
それ以来、フィアちゃんとソウタさんの二人が乗ればこうしてエンシェントドラゴンさえも地に落ちる。
私もこいつの相手がしたかった。
そうすれば・・・
グウォオオオオオ――――――!
私を佩刀しドラゴンの監視を行っていたソウタさんとフィアちゃん。
気を失っていただけだったエンシェントドラゴン。
まだ朦朧としているようだが、息を吹き返したドラゴンはかなりご機嫌が悪いらしく、山をも砕く強力な尾を地面に打ち付けている。
尾が打ち付けられるたびにまるで地震のような衝撃が伝わるが、ソウタさんはフィアちゃんの抱く娘とフィアちゃんを仲間たちと共に障壁で守りに入った。
岩さえも溶けると言われるドラゴンブレスがソウタさんの仲間たちに浴びせかけられたが、ソウタさんの障壁はそれをものともしなかった。
まったく呆れるわ。
エンシェントドラゴンのブレスさえものともしない障壁。そんなものがこの世にあったなんて。
「如月!」
あの人が私を呼ぶ。
私はそれに応えればいい。レネゲイドのように。
そうすればソウタさんは私を最大限に上手く使ってくれる。
空間を越えて私に届く声と、魔力。
大きく、暖かく、包み込むようなあの人の魔力。それがソウタさんの手から直に伝わる。
柄をソウタさんの手に飛び込ませれば私の中に膨大な量の魔法力が充填される。
グングンと充溢される魔法力。
私を右手に流すように構え、倒れるほどに低く前傾姿勢を取ったソウタさんはまだ私に魔力を供給する。
強ければ強いだけ私を保護する紫の霊力による保護は強力になる。
「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」
こっちが心配になる程の魔力が籠められ、ソウタさんを確認すると、口角が吊り上がっている。やる気なんだ。
高まる期待、私がドラゴンをやる。
一片の不安もないのはあの不敵な笑顔を見ればわかる。
こんな高揚感は初めての経験だった。
〔き、気持ちいい!やれるわよ!〕
ソウタさんを木端のように薙ぎ払おうと、ドラゴンの尾が大地と並行に殺人的な速度で迫り来るが、直径で3mはあるだろう尾の付け根に私と共に渾身の力を籠めて立ち向かった。
ギャイン!という超硬度のぶつかり合いが起こった。
しかし、私には衝撃のかけらも感じられなかったの。という事は、私を守る霊力が勝っているという事。
一瞬、視界が暗転したが、再び明るくなった時にはドラゴンの尾が遠くへ転がっていくところだったわ。
付け根から無くなった尾が信じられなかったのだろう、ドラゴンが驚愕の表情でソウタさんを見た。瞬時に逃げようとしたのだろう翼をはためかせたのだが、ソウタさんの握力が私に「行く!」と告げた。
〔最高よ!まだまだいけるわ。私、今最高に気持ちがいいわ。〕
体中から喜びが湧き上がる。
さっきまでに倍する魔力がさらに追加されるの。
こんな、こんな幸せが私にやって来るなんて!私の中の全てが押し広げられるような感覚。これが成長するという事?
長さ、太さ、厚み、奥行き、表現できるすべてのサイズが今までと違う感じがする。
本気で決めに掛かっているソウタさんの魔力は私を「守る」力ではなく、私を「活かす」ためだけに指向されている。
「切る」その一点に集中された意識は私と完全にシンクロしている。
私を右手に流し、力いっぱい駆けだしたソウタさんはドラゴンの背中に迫っている。
判る。
ソウタさんはドラゴンの右翼を狙ってる。
そして私はそれを切ることができる。
あとはやるだけ。
少しの跳躍と共に背中に足を掛け、どういう理屈だか鱗に滑りもせず、急こう配を駆け上がる。
そして裂帛の気合と共に切り上げられる私。
当然のように私はドラゴンの右翼を切り離して見せる。
ソウタさんの動きはそれで止まるわけではなく、下から上に切り上げた動作のまま、その背中で私を使って反時計回りに一回まわってから、速度を上げて左の翼も切り下してしまう。
これでドラゴンが飛ぶ手段がなくなった。
しかし、怒りに任せたドラゴンは猛り狂った雄叫びを上げて首を回してくるようだ。
まだ回転を利用しているソウタさんは背を向けたままにもかかわらず、左足から背を上る。右足が宙を舞うように飛び、背に着いたとたんに蹴り降ろす。
押し出された身体が宙を進み、私を連れてその咢に迫ろうとしている。
〔危ない!〕
ソウタさんが左手の拳でドラゴンの顎を殴りつける。反動で進行方向が右にぶれるが、それを狙っていたかのように私が初速を得てドラゴンの右肩へと潜り込んだ。
紫の霊力は炎のように噴出し、私自身に抵抗は感じていない。
しかし、手応えだけはあるの。水平に振り抜こうとするソウタさんの意志と、私の願い。
そして籠められる暖かな魔力。
全てがエンシェントドラゴンの首を切り飛ばそうとしている。
私とソウタさんの意志が完全に一つになったと思った。
その結果、ドラゴンの首は宙を舞い、私たちはエンシェントドラゴンを屠って見せた。
〔あなた!ねぇ、ドラゴンを討ってしまったわよ。〕
「やっぱり、如月は最高だな!」
褒められた!神棚に飾られていた私は誰にも褒めてなんかもらえなかったのに。
最高だって言ってくれたの。私が最高だって!
〔いや、いや!もっと褒めて!子宮がキュンキュンしちゃうわ。やっぱりあなたの子が欲しいわよ!〕
そう、判ってしまった。
私の経験値が途方もなく積み上がってしまっていることに。
体ができているのが判る。
だって、子宮がソウタさんの子を欲しがってる。
今まで無かったその器官を使って強い子孫を残す。
愛情を通わせることができる血と肉のある体が手に入ってる。
いつ言おうか!いつソウタさんに飛びついたらいい?
ソウタさんの剣は舞うような剣。重心の移動や勢いを利用した振り回し。
そして脚力や腕力を利用して巧みに相手の剣筋を躱し、翻弄する。
歌を歌うように、流れに身を任せるように、音楽に合わせるように縦横無尽に一か所に留まらない剣技を見せる。
そのダンスに付き合う事になった私は男性の踊りに合わせる踊り子のような物。
着せてもらうドレスはどんな固い物に対峙しても私が傷つくことなんてない。
トサンにソウタさんの妹に会いに行った日、私はソウタさんの前で人の姿になって見せた。
生意気な口調が災いして、ソウタさんの予想とは大きく違った容姿だったらしいが、それとソウタさんが与えてくれる愛情に関係はなかったらしい。
その日の晩には愛してもらえたから。
他のお嫁さんたちと全く同じに愛してもらえた。私の体に夢中になり、私の全てを受け入れてくれて、大事にとても大事にしてもらえたわ。
そうして授かった愛情は次の朝までに形となった。
私に注がれた愛情が剣の姿になった時に、私の中で雫のように結晶化する。
これが零れるだけで私の出産が終わるの。
私の隣にカタンという小さな音と共に鞘から柄までで60㎝ほどの小太刀が転がった。
これが将来の姿なのね。
すぐに小太刀が光に溶け、人の姿の赤子が代わりに現れた。
この子が睦月。
私もすぐに人の姿になり、睦月を抱き上げるとソファーに掛け、自分の子を見つめる。
ふっくらとした顔つきだが、ソウタさんに似ているだろうか?
髪はどうしようもなく私の髪そのままだった。紫の柔らかい髪質でゆるいウェーブが掛かっているようだ。
少しぐずり始めて、慌てて乳を飲ませてみるとさっきソウタさんが口に含んで愛してくれたのと一緒の母乳の飲み方をする。
これには笑うのを堪えるために大変な苦労をさせられてしまったものだったわ。
陽が上りしばらくするとソウタさんの目が覚めたようで、私たちに気が付いたようだったが、ちょっとだけ叱られてしまった。
今度から一人で産むのは止めてくれと。
そんなこと言ったってあっという間だったのにね。でも、どうしてもと言う真剣な表情にはちょっとだけキュンとした。
叱られてうれしかったのはともかく、フィアちゃんとユイちゃんには早速興味を示してもらえて、ソウタさんから睦月と言う名前を貰った。
ソウタさんの世界の戦舟の名前だそう。
如月と言う私の名前も睦月と同じ戦舟の名前で、睦月より先に生まれた同じ種類の船だって言うの。聖霊族の仲間として、母として睦月より先に生まれた私の名前に続く意味のあるいい名前だわ。
次は弥生で卯月で皐月で、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月なんだそうだ。
って、いったい何人産ませるつもりよ!?
お屋敷の中で紹介され、その後に親王陛下にもご挨拶することができた。
フィアちゃん、シロップちゃん、アニエスちゃんとも仲良くできている。
みんな私がビックリするくらいの順応力で私も睦月も受け入れてくれたわ。
フィアちゃんなんて1秒とかからずにワクワクとした顔をユイちゃんと一緒に向けていたものね。
ソウタさんのお嫁さんにしてもらってからと言うモノ、一時として静かな事が無い。
そして神国中を旅してまわるのね。
その間には一言では言えないほどのことがあるし、見るモノも聞くものも初めての物が多かったり、食べるモノだってそう、何といってもソウタさんが向こうの料理を作ってくれるんだから当然、食べたことなんてないわね。
私、最近こんなに賑やかにばかりしていると、これまでの1000年を思い出せないこともある。
ソウタさんに手に取ってもらった時が私の生まれた時だったんじゃないかって思ってしまうほどにそれよりも前のことが思い出せないことがあるの。
それが幸せなことだって判ってるんだけど。
あと、心配があるとすれば兵士との戦いの時や「黄泉越えの翼」を討伐したとき。
あんなにソウタさんの心が乱れ、傷つき、血を流したことは無かった。相手の兵士にさえ心で涙を流しているときもある。
心が壊れてしまうんじゃないかって時もあるし、屋敷に帰るまでずっと考え事をしてる時もあるわね。
少しずつ心を癒しながら、また旅に出て心に大きな傷を負うことだってある。
毎回こんなじゃ、本当に心を痛めてしまうわ。
私に流し込まれる霊力が叫んでいるときもある。その心はそのままフィアちゃんにも流れ込む。
私たち二人が直接ソウタさんの心に触れることで、その傷の大きさを知り、それを聞くことでシロップちゃんもアニエスちゃんも同じように心を痛めているの。
でも、四人でどうしたらいいか話し合うことでソウタさんの心は癒され、かろうじてのバランスを保っているよう。
娘たちに心を砕き、私たちがバカなことをすると笑いが起こったり、ため息をつかれたりするけれど、それで心の出血に瘡蓋ができて、いずれ癒えるの。
だから、アニエスちゃんもシロップちゃんも恥ずかしくても構わずにバカをするし、甘えたりもする。
フィアちゃんは・・・多分天然ね。交感でソウタさんの考えていることや気持ちは正確に判っているとは思うんだけれど、それを無意識の行動で癒しているんだと思うの。
理論も考えもたぶんないんだわ。
でも、本能でその傷を癒そうとしているんだと思うの。時々に突飛なことや発言をするけれど、それは的確にソウタさんの傷を塞ぎ、瞬時に癒している場合も多いわ。
そこはさすがと思うのね。
私たちそれぞれが色々な事を悩み考えながら、ソウタさんを愛していると思ってる。
それは努めて行う事じゃないけれど、四人ともそうしなければならないと思っていて、やる・やらないじゃなく、やるためだけに嫁になったようなものだ。
その努力が愛情という訳ではないが、そうすることで大きな愛情が返ってくるから、自ら進んで道化てみたり、ワガママを言ってみたり、甘えてみたりしてしまうのよ。
そしてソウタさんはそれも良く判っていてくれる。
だから、私たちを大事にしてくれて毎日のように愛情を示してくれる。
互いが努力とは違う毎日を積み重ねて、危ういバランスを保つ天秤をどちらかに傾いたりしないようにしているようにも思える。
それが夫婦ってモノじゃないかしらね。
ソウタさんの心の傷がとっても大きいから、癒すための妻も四人必要だったんだわ。
そうとしか思えない時も多いもの。
ソウタさんの剣技は流麗にして可憐。
舞い踊り、風のように通り抜け、雷のように突き抜ける。
歌うようにリズムを刻み、氷河のように静かで、瀑布のように破壊的なその剣技は私、如月と共に有る。
そう、私を抜き放ち、私を振るい、私で調伏する。
しかし、私を包む霊力はいつも優しく、その瞬間は私がソウタさんの愛情を独り占めにしているの。
剣であることを誇りに思ってるわ。
昨日もブクマ増えてます。
ありがとうございます。
連休明けからは、今まで通り、最低週一ペースになります。




