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Contractor with blood(血との契約者)  作者: 小西敬
ノブレス・オブリュージュの章
94/161

【第93話】ただいまと

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

また、ブクマいただきましてありがとうございます。

GW毎日更新三日目です。

 シルファが俺の娘になることになり、その日の晩から俺たちの馬車に寝ることになった。

 だからといって俺は自重することもなく妻たちと繋がっている。

 「あ、あっ、いいい。」

 如月が最初に捕まり、俺に愛情を注ぎ込まれている間、シルファは固唾を飲んで見守っていた。

 「なぁ、フィアママ、如月ママはソウタパパに虐められているのか?」

 辛そうにも見える如月の喘ぐ表情にそう思ってしまったのだろうが、フィアはシルファの髪を撫でながら違うと言った。

 「シルファちゃん、そうじゃないの。如月ママはソウタパパとああして愛情を確かめ合っているのね。ソウタパパにああしてもらうととっても気持ちがいいのよ。

 そして次の子供が出来るかもしれないの、シルファちゃんの妹ね。」

 解説され、また俺たちの様子を窺う。

 如月はもう、絶頂を迎えるようで背を大きく仰け反らせており、俺と一緒にフィニッシュとなった。

 「はぁ、はぁ、はぁ。」大きく息をつき、荒い呼吸をしながらも気持ち良さげに眠りについていった。

 二度目が必須なシロップも気持ちよさそうにしがみついて一度目を終えるとフィアが「今度は私の番よ。」とシルファに伝えて俺の側へと来てくれた。

 たくさんの愛情をこめてフィアを可愛がると、フィアも大きな喜びを得て一度目に満足してくれた。

 フィアが気持ちよくなっているとアニエスが俺の腕に収まり、俺からの愛情の全てを受け取ってくれた。如月と一緒で一度で満足を得るアニエスもゆっくりと満足そうな表情を浮かべながら眠りに落ちて行く。

 「ソウタさん、ありがとう。」

 いつもアニエスは俺に礼を告げながら休むのだが、それが可愛くておでこにキスをあげる。天使のように微笑んで規則正しい寝息をたてはじめるのがまた可愛いのだ。

 「シロップママ、お、私も気持ちよくなれるのか?」

 「ちょっと違うかな。シルファちゃんはソウタパパの娘でしょ?ソウタパパと繋がって愛情を確かめるのはママしかしないのよ。いつかシルファちゃんがずっと大きくなってからだったらソウタパパが私たちと結婚してくれたようにシルファちゃんを大事にしてくれる旦那さんがシルファちゃんを見つけてくれるわ。

 その時に今のように可愛がってもらうといいわね。今度は私の番ね。」

 正しい知識をシルファに教えてから、俺との愛情を確かめるためにとシロップは楽しそうにひと時を過ごし、シルファの隣で休んでしまった。

 フィアもさんざんに俺との愛情を確かめ合ってから俺の上で気持ちよさそうに休む。

 それぞれの妻たちとの睦み事を最後まで見ていたシルファだったが、みんなが休んでから恐る恐ると言った風に俺の側に近づいてくる。

 「どうしたんだよ?」

 「お、私にもソウタパパみたいに大事にしてくれる人が出来るのか?」

 「そうだな、シルファが大人になるころには迎えに来てくれるといいな。シルファが今のまま、いい子のままに育ってくれれば必ず迎えに来てくれる男性が現れるよ。でも俺はちょっと嫌かな。」

 「なんでだよ?おれを迎えに来てくれるんだろ?」

 「う~ん、可愛いシルファを渡しちゃうのはちょっとやそっとじゃ出来ないなぁ。」

 それを聞いたシルファは俺に飛びついてくる。

 「本当か?おれが大事なのか?」

 「俺の娘だ、変な奴には絶対に渡せないからな。」

 満足を満面に表してフィアの横に並ぼうとする。

 さすがに二人乗ると重い様な気がするんだが。

 しかし、シルファはもう寝息を立てており、どかすことができそうになかった。これらか毎晩これだと俺が大変かもしれない。


 翌朝にまた全員で朝食のテーブルを囲み、妻たちの希望もあってシルファを養子として迎えることにしたことを告げた。

 「じゃあ、シルファ=ヤマノベってことになったのね。一夜にして神国最高の貴族様になっちゃうなんてね。たいへんよぉ~」

 チズルさん、そうやって幼い少女をおどさないでください。

 パクついていたベーコンの塊を咥えたまま、きょろきょろと視線を巡らし、心配そうにしている。

 俺がポンポンと優しく頭を叩くと、それで安心したのかはみ出していたベーコンが口の中へと消えて行った。

 「ソウタパパって貴族だったの?」

 そりゃ、俺より偉い人が陛下しかいないんだから貴族じゃないのかな?

 「こーしゃくだよ。」

 ユイの説明も大概だが、「ほえええ!?」と驚き、納得しているシルファも大概だ。

 「こーしゃにゃ!」

 睦月に”にゃ”が感染し始めている。

 可愛いと睦月を撫でると満面の笑顔だ。

 朝日の中で団欒を楽しみ、今度こそ我が家の戸締りを入念に確かめてからトウトへの道のりを三台の馬車で進み始めた。


 それから10日ほどの旅程を無事に消化した俺たちは懐かしい我が家へと戻ってくることができた。

 砦門にたどり着き、身分証明の冒険者カードを衛兵に確かめてもらうと重厚な門が開かれ、周りの喧騒が聞こえない閑静な街並みへと入りこむ。

 シルファは興味津々と言った表情で貴族の街並みを見回している。

 「ここは全部貴族が住んでいるのかにゃ?」

 「そうだね。貴族の人達とお世話してくれる人だけが住むことができる街だよ。」

 俺の隣に並んで座り、あいだにユイを挟んであちらこちらを忙しそうに眺めている姿は可愛い。

 俺の膝の上には睦月もいるが、ユイと睦月には見慣れた街でもあるし、落ち着いたものだ。

 ゆるやかに坂道を上り、行き着いた先を左に折れて少し。

 広大な敷地を誇る我が家に入るといっそうシルファの瞳孔が開いたようだ。

 「ここかにゃ?すごいよ。」

 うん、久しぶりに見ると本当に凄いな。

 ダイタクヤの屋敷も別格だが、貴族街にあってなお広大な敷地を誇り、デカい屋敷が客を迎えるように佇んでいる。

 「久しぶりに帰って来ましたね。」

 フィアにも懐かしそうな表情が見て取れる。

 車宿りの方に小さなメイドが五人居るのが見えたが、俺たちの馬車に気が付いたのか一人が奥へと駆けて行った。

 アンニさんを始め、たくさんのメイドさんが出迎えのために揃ってくれた。

 アリエッタたちも揃って並んでいるのは見ていて気持ちがいい。

 「おかえりなさいませ、お館様。」

 アンニさんも結婚式の準備は整っているのだろうか?聞きたいこともたくさんあるし、みんなの顔を見るのも久しぶりだが、アスナとキョウコさんが見えないという事は買い物に出ているんだろうか。

 出てくれたみんなに「ただいま」を告げ、妻たちもそれぞれに挨拶を交わしている。

 後ろの馬車から降りてきたスタッフの元へもそれぞれのメイドたちが挨拶に行っている。

 そんな中、俺の元へとアンニさんが訪れ、深いお辞儀と共に笑顔を見せてくれる。

 「よくご無事で戻られました。屋敷の方は変わりなく、みな元気にしておりました。皆さんはお変わりなかったでしょうか。」

 そう言いながら視線はシルファを捉えており、説明を求めている。

 視線をどう思ったのか、シルファが初めて人見知りのようなそぶりを見せる。

 「ソウタパパ、怖くない人かにゃ?」

 俺の上着の裾を掴んでくっついてくる。

 シルファが口に出した「ソウタパパ」にメイドたちがざわついたことが判るが俺がシルファの肩を抱いて食堂に行こうと誘うと、その時点で全てが理解されたようだ。

 こう言うところがメイドと言う職業のただならぬところなんだよな。

 「シルファ様、初めてお目にかかります。このお屋敷のメイド長を務めておりますアンニと申します。よろしくお願いいたします。」

 自分に対して語り掛けられた口調。それが信じられないとでもいうような表情をしている。

 「こ、こちらこそよろしくにゃ。シルファです。」

 ちゃんとお辞儀もできたようで、俺の顔色を窺うが、満面の笑みを見てかシルファにも笑顔が出てきた。

 俺に促され、食堂へと向かうが、道すがらの廊下にも色々と見るモノがあるらしく、忙しそうにしていた。

 食堂に入ると調理師の二人も元気にしてくれていたようで、気軽な挨拶を貰えた。

 メイドたちも揃い、アスナとキョウコさんも姿が見える。目だけで挨拶はしておいたが、二人ともそれが判ったようだ。

 スタッフも揃い、それぞれの後ろに専属のメイドも立っているようだ。

 「みなさん、ただいま戻りました。そうはいっても俺だけは毎週飛んできてましたからご無沙汰でもないですが、妻たちも娘たちも無事に帰ってくることができました。

 このかんは色々とご迷惑をかけたと思いますが、俺たちの仕事柄、こうしたことはこれからもあると思います。しかし、我が家のメイドさんたちを始めそれぞれの皆さんの技量をもってすれば心配には及ばないだろうと思います。

 旅のお土産は色々とありますが、今回の旅で娘を一人増やしました。

 シルファおいで。

 この子が俺たちの娘になる機会があったので、これからはシルファ=ヤマノベとして俺たちと共に暮らすことになりました。

 オレっこで元気のいい娘ですが、そこが気に入ってますので皆さんも可愛がってやってください。」

 全体から拍手が起こり、シルファがビックリしている。

 それでもちゃんと自己紹介もできて、さらに大きな拍手を貰う事ができた。

 俺と妻たちからのお土産として屋敷の全ての人達に手渡しでたくさんの土産を配った。

 自分たち一人ひとりに一つずつもらえたことが余程嬉しかったようで、アリエッタたち幼女組も飛び上がって喜んでいる。

 アスナも驚いた表情をしており、自分にまで用意されていることがビックリだったようだ。

 幼女組やアスナには年相応の髪飾りやドレスなども妻たちから贈られ、調理師や馬番などの男性たちには薩摩焼酎をはじめ、全国のお酒が配られた。

 アンニさんにはシロップとアニエスからティアラが贈られていたが、真っ赤になって照れていた。

 俺とフィアからはシノブさんに。ユイがティアラを手にもってシノブさんに駆け寄ると、それを見ただけでシノブさんが泣き出してしまい、いいサプライズになったと思う。

 「明日は陛下の元へご挨拶に伺います。次の日から準備を始めて8日後にシゲさんとシノブさんの結婚式と披露宴をここで行いますので、皆さんの協力が大事になります。

 よろしくお願いできますね。」

 「はい、お任せください。」

 「その次は陛下と相談してからになりますが、アンニさんの結婚式と披露宴がここで行われます。その時は陛下やお妃様もご出席くださいますし、更に皆さんの頑張りを期待しちゃいますが大丈夫ですよね。」

 「もちろんです!お任せください。」

 力のこもった返事があり、恐縮したアンニさんが真っ赤になって照れている。

 次々と楽しいイベントが控えているという事は我が家にとってとてもいいことだろうと思う。

 さっそくだが、シルファにも仕事があるしな。


 「ベールガール?それってなんにゃ?」

 お土産も配り終わり、美味しい夕食を頂いてから部屋へと引き上げた俺たちは全員が風呂に入っている。

 シルファの髪を洗いながら顔を見てお願いしているところだ。

 相変わらず毎晩シルファは風呂に入るとユイや睦月たちと同じように俺の膝に仰向けに寝転がり、頭を洗わせるのだ。

 その時に話しかけると互いの顔を見ながら話すことになる。

 「ベールガールはね、花嫁さんの後ろから長いベールが地面につかないように持って歩く仕事なんだ。その時は綺麗なドレスも着られるし、シルファも可愛いだろうな。」

 「そうか!おれやるにゃ。どんなドレスが着られるんだろうにゃ。」

 そう、もうシルファの「おれ」は諦めた。

 話しづらそうで、俺が諦めたのだ。時々には思い出したように「私」と言っているようだから、成長するにしたがって治っていくだろう。


 翌日は早朝から城に上がる準備を整える。

 妻たちは綺麗なドレスを纏い、それなりに化粧もしているようだ。

 こうしてみると本当に俺の妻たちは揃いも揃って美しいと思う。ひいき目もなく自信をもってそう言えるな。

 子供たちも着飾っており、可愛い仕上がりになっている。

 もちろんシルファだってオウスガで買ったセーラー服やオウヒンで買ったチャイナドレス風の子供服も揃っており、ネコミミセーラー服なんて「それなんてアニメ?」になってる。

 今日は菜の花のような春色のワンピースに黄色の大きなリボンを腰に結わえ、紺の髪と良いコントラストになっている。

 全員で馬車に乗り、セントラルキャッスルを目指す。

 ひとり緊張を拭えないのもシルファで、本当に自分がこの国で一番偉い人のところへ行くなどとは思わなかったのだろう。

 お会いすればその人柄にすぐに緊張も取れるだろうが。

 屋敷を出て、どれほども走らずに大きな森の入口へとたどり着き、そこからまた森を潜り抜けると正に城と言ったおもむきの陛下の居城が現れる。

 「こ、ここに陛下が住んでるのかにゃ。」

 しどろもどろになるなんて可愛いじゃないか。髪を撫で、片手で馬車を操車して車宿りに泊まると、ユンカーさんが迎えに出てくれている。

 「公爵様、良くお戻りになられましたね。私さっそく陛下にお伝えしてまいりますので私室の方へおいでになって下さい。」

 言うだけ言うとえらい勢いでユンカーさんが駆けて行かれた。

 50男がそんなに走ると転んじゃうよ?

 俺たちの先頭をユイが歩きながら、ゲオルク様に早く会いたいようで大きな声を張り上げている。

 「ゲオ~?居る~~~~~?」

 部屋に入ればお会いできるというのにユイには待てないようだ。

 将来どっちがどっちに惚れるんだろうかと思うとちょっと笑えてしまう。

 どこの誰かも判らないような輩とは違い、ゲオルク様がユイを求めてくれるならと思うと不思議と腹も立たない。

 私室の前にたどり着き、ノックをすると早速に「ユイ殿か!」そう叫ぶゲオルク様の声が聞こえる。

 妻たちとつい、笑ってしまったが「失礼します。」と声を掛けると、アマーリエ様自らが招き入れてくれた。

 「おお!ソウタ殿、良く参られた。長い旅ではあったが皆さん無事に戻られて何よりですな。これでアマーリエも安心しましょう。」

 「はい、フィア様とのお茶やシロップ様アニエス様との会話、如月様との子育て談義を楽しみにしておりました。あら?そちらのお子さんは?」

 フィアがシルファを連れて一歩前に出て告げる。

 「テオバルド様、アマーリエ様初めてお目に掛けます。此度の旅で出会いまして我が家に養子として迎えましたバステト族のシルファと言います。以後、よろしくお願いします。」

 「まぁ、バステト族でいらっしゃいますの。なんて可愛らしいのかしら。またソウタさんはお嫁に出せないと申されましょう?」

 「は、初めまして陛下とお妃様でいらっしゃいますか?シルファです。お会いできて光栄です。」

 「しっかりしておるのう。これは増々ソウタ殿の気がかりが増えますな。シルファ殿、ソウタ殿はお優しいか?」

 「はい、ソウタパパは私を誰にもやりたくないと言うのです。」

 「おほほほ、やはりでいらっしゃいましたね?」

 お妃様がやっぱりと楽しそうに笑っていらっしゃるが、こっちは本気なんだよ。

 ずっと手元に置いておきたい気持ちなんだが。

 「ソウタさん、もうそんなことを言ってるんですか。だったら最初から側室候補にでもしておいたら良かったのです。」

 「フィア、もう妻は増やさないと言ったはずだが?シロップともアニエスとも如月ともそう話してみんな納得してくれたんじゃなかったか?」

 「私たちはソウタさんがそれがいいと言うから納得しているだけで、フィアちゃんと私は本心ではもっと居てもいいと思ってますよ。」

 「私は十分だと思うのですが。如月ちゃんと私はソウタさんのお考えに従う方がいいと思います。話された内容は人として大事な事だったと思うのです。」

 「あらあら、ここで夫婦喧嘩はよしてほしいわ。」

 「いえ、決してその様な事ではありません。でも男子を授かることも重要だと常々思っているのは私たち四人の共通した考えなんです。」

 フィアはそう言うが、俺自身は我が家に男子が生まれるとは思っていない。

 多分だが、俺自身が家族に男子が混ざることを潜在的に拒否しているんだろうと思っているからだ。

 ハーレムとは違う精神的な嫌悪感と言うか忌避感と言うか。

 娘が増えることに抵抗はないが、息子が出来るという事を全く想像できないんだよ。

 ハッキリ言えばそれを望んでいない。

 最近それに思い当たり、無意識に妻たちとの愛情にも影響を及ぼしているのではないかと考え始めている。

 娘たちが大きくなって婿を迎える時にはその男性は基本的に成人しているわけだから、俺と対等に付き合えるだろうし、たくさんの婿候補の中から俺自身の許せる男性を迎えられることになる訳だから、それについては全く気にしていない。

 どうせその頃には娘は婿と一緒に暮らすだろうしね。

 しかし、俺の息子が生まれてしまうと寝室に男性が入ることになる。育児と言う大義名分で。

 そのことが俺の中ではうとましい出来事だと無意識に考えているのだ。

 この話はまた今度という事にし、旅の間にあったことをお伝えした。

 ダイハンから以西での拳銃狩りで得た成果と、押収した銃器をどうするかと言う点についてユンカーさんも交えて話し合ったが、基本的な銃器については王城で国の管理下に置くこととし、特殊な兵装は俺が運用することとなった。

 俺たちの仕事上、特殊兵装は場合によっては有効な手段となるだろうからだ。

 大口径砲を中心にチェインガンやガトリングガンなど大規模殲滅兵器や広範囲制圧用の殺傷兵器を中心に手元に残ることになった。

 それぞれの特徴や使用方法などについては城に置くことになる兵器のレクチャーをすることになったのだが、ハンドガンやリボルバーの拳銃にライフル銃や軽機関砲などが該当する。

 数がある者は訓練された兵が運用することにし、アーマライトAR-15など狙撃用途や突撃兵が建物内で使用するウージーミニ機関銃などはごく一部の特殊部隊が装備することとなった。

 仕分けや運用に関する詳細は後日という事にし、次は親爺の墓参りで得られた件について話をまとめた。

 「世界の綻び」についてどうしようかという事だ。

 俺自身が「迷い人」である訳だが、あの「中島」のように思わぬパワーバランスの乱れが生じることも「迷い人」が引き起こす可能性があると実際に身を持って経験したからだ。

 俺も大概のパワーバランスの頂点におり、言ってみれば危険人物なワケであるが、陛下やご家族とこのような関係にある以上、相互互恵ごけい関係にあると言えるし、今も仲良く二人で遊んでいるゲオルク皇太子とユイが婚姻関係になればある種、それが保険としての効力を発揮することになる。

 言い方は悪いが俺が差し出した「人質」という側面もあるって事だ。

 まぁ、陛下も俺もそれを望んでいる時点で陛下にとって俺は危険な制御不可能兵器ではないわけだ。

 であれば、これ以上の流入を避けるという事は陛下にとっても利があるという事になるわけで、吟味するまでもなく綻びを閉じてしまいたい。

 陛下は統計的な手法を用いて過去からの異物流入の経路に偏りがあるかなどを調べてくださることになった。

 不思議と外国でのこうした迷い人流入の記録や報告がない事は現時点でもわかっていると聞かされ、神国特有の現象であることも判った。

 アイアメリカの新艦隊構想も神国からもたらされた情報が形になったもので、イウロペのゲーマニアンが戦車を発展させたのも数百年の歴史の中で神国から伝わったものであることが判っているという。

 それを発展させ、有効に活用できるものを作るまでになったのは純粋に各国の研究や努力の成果なのだと教えてもらった。

 過去に海を渡った技術によって神国が一時期は侵略の的になったなど、えらい皮肉の利いた話だと思う。

 これについては綻びを閉じることと、それによって俺が帰る手段を失う事がイコールとなるのだと陛下が探りを入れてきたが、直ちに閉じてしまいたいという俺の気持ちを聞き、心底安堵されたようだった。

 妻たちはその話を聞きながらも、もう疑う事も無いようで素知らぬ顔をしていたものだ。

 つい、アニエスの髪を撫でてしまい、アニエスが苦笑いをしていた。

 「アニエス様はソウタ様が居なくなることをご心配されたのですか?」

 アマーリエ様はたった今、それを危惧されたようだったが、アニエスは落ち着いたもので、「昔はとても心配しました。」と言い切ることができた。

 アマーリエ様はそれでもまだ、心変りがあるのではないかと心配されているようだったが、その様な心配は必要ないと言い切ったのもやはりアニエスだった。

 「私もソウタさんが迷い人であることと里心が付くのではないかという事を冷静さを失うほどに考え、シロップちゃんと共に不安に思ったことがあったものです。

 しかし、最初にその機会が訪れたのはエイゾへ陸伝いに渡った時でした。もう、エイゾの地に入るというときに一瞬だけソウタさんの世界とここが繋がったのです。

 整備された鉄道に早馬の何倍も早い列車が迫り来た時にソウタさんは向こうの世界に行くのではなく、私たちの安全を守ろうとなさったのです。

 繋がりが絶たれた時にソウタさんはこう仰いました。”もう大丈夫だ。”と。その時に判ったのでございます。

 ソウタさんの大事なことは向こうに帰ることではなく、私たちが無事であることだと。

 それからでございます。その様な不安を覚えることそのものが無駄なのだと。

 ソウタさんは私たちの側に居て、私たちと共に有ること。ともに死が分かつまでを楽しもうとしていることを確信しましたので、今はそのような不安を覚えることもございません。」

 アマーリエ様も「ほぅ。」とため息をつかれ、安堵をなさったらしい。

 「ソウタ殿。ソウタ殿は神国国民になってくれたのですな。アマーリエ、ユイ殿が我が家に嫁いでくださり、更に繁栄をする神国をソウタ殿が見捨てるわけが無いであろう?」

 その通りだと思う。

 俺がアマーリエ様にも微笑みながら頷いたことで、この話もお終いとなった。

 昼も過ぎたとユンカーさんが軽食を運んできてくださり、どうやって作ったのかと聞きたくなるくらいの美味しいコンソメスープや香りの立ったガーリックトーストをつまみ、それからの時間はユンカーさんとアンニさんの結婚式の日取りなどを話し合った。

 こっちの暦に大安吉日という概念がないことから、まつりごとの都合や陛下のプライベートな予定。式に出てくださる貴族の方々などの調整を行って決めることになったのだが、遅くとも一月後までには式を執り行う事が決められた。

 ユンカーさんとしては気恥ずかしさもあってか、始終恐縮しつつ、言われるがままに返事をしていた。それが可笑しくて妻たちもにこやかな表情だったものだ。

 「ユンカー、ようやく年貢を納める決心がついたのだな。私など待たされすぎて結婚式が先か葬式が先かと気を揉んだものだ。

 早く跡取りを設け、私を安心させてくれよ。子爵家のままでは許さんからな。息子は伯爵に着けるよってその気で精進せよ。」

 「そのような。もったいなきお言葉です。死ぬ気で世継ぎを用意してごらんに入れます。」

 「だから、それではイカンと申しておろうが、洒落にもなっておらんぞ?」

 笑いが起こり、俺も同意した。

 「アンニさんを早速未亡人にしてしまうおつもりですか?それですとこの婚礼は公爵として容認できるものではありませんよ。」

 ニヤニヤとしながら話しているんだから、ユンカーさんも冗談だとわかっている。

 「まだ、人生の半分でございます。ヤマノベ公爵様には心配ご無用と申し上げます。」

 さらに笑いが起こり、アマーリエ様にも揶揄からかわれたりと楽しい時間になった。

 「そうであった、忘れぬうちにソウタ殿に話しておかねばならんことがあったのだ。来週にも式があったであろう?私も出席する故に席を用意しておいてくれぬか?」

 「はぁ?シゲさんとシノブさんの式にもお出になるのですか?」

 「なんだ、ダメかの?」

 「いえ、その様な事はございませんが内々の式になるハズでしたので。」

 「また私をのけ者にしようとするのだな。何とも寂しい物ではないか、のうアマーリエ。」

 「左様です。私もヤマノベ公爵家とは浅からぬ縁があると考えておりましたので、次に何を着て参加しようかと楽しみにしておりましたのに。」

 って、スタッフの結婚式にまで参加する気だったのか。今後も続くんだから、何度もあることだろうに。

 「お気遣いを頂きまして大変ありがたく思います。それでは全くの内向きの式ではございますが、ご招待申し上げますのでゲオルク様ともどもお越しになっていただけますか。」

 「そうか!かたじけないの。楽しみにしておるよ。」

 こりゃ、シゲさんたちも大変だ。

 帰ってからアンニさんにも協力を仰ごう。


 「そいつぁ本当のことかい?なんでワシなんかの式にまで陛下が出てこられるんだよ。」

 「お、お館様、シゲ様と私のお式なんですよ?ここでやっていただけるだけでも大変なことですのに、陛下とお妃様までご出席くださるというのはどういった意味があるのでしょうか?」

 シノブさんもすでに緊張が始まっているようだ。

 アンニさんもなんで陛下まで?と困惑気味だ。

 あなたのお式も当然いらっしゃいますよ。そう伝えたんだが、「そうだった。」と途方に暮れたような表情をしていたものだ。

 今度の式にはゴーランド連邦代表とナノハさんを招待している。

 せいぜいがここまでだろうと考えていただけにちょっとサプライズすぎる。

 その代わりと言っては何だが、陛下の一声で神国教会の神父さんが来てくださることも決まり、城からの楽団の派遣も決まったために良い式にはなりそうだ。

シルファがお屋敷に入り、陛下へのご挨拶も済みました。

結婚式の予定も決まりましたようで、帰るそうそうから忙しいようですね。

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