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Contractor with blood(血との契約者)  作者: 小西敬
成り上がり貴族の章
71/161

【第71話】エッチな旦那様

割烹でも報告しておりますようにたくさんの方に目を通していただけ、本当に感謝しております。幾人かの読んでいただいた方からのお言葉にも励まされます。

ありがとうございます。

 今日の妻たちは少しばかりおめかししている。

 先だって入手したそれぞれに似合いのドレスや子供たちに似合っている可愛い洋服を着こんでいるのだ。

 お妃様に御呼ばれし、揃って登城することになっていた。

 フィアが如月のことを話し、一夜にして生まれた睦月を見たいと仰られたことで城の陛下たちの私室へと伺うことになっていたのだった。

 アンニさん監修のもと、ドレスアップの済んだみんなは華やいでいたし、愛らしさに満ちていた。

 立派な馬車に乗り込み、城に向かうと自分が手配した馬車が使われていることに満足の表情でユンカーさんが奥の間へと案内してくれた。

 「そちらのご婦人が如月殿であるか。随分とおさ・・いや若々しいご容姿であるが、抱いておられるのがご息女の睦月殿で?」

 あんた、今言い間違えただろう?

 「お初にお目にかかります。ヤマノベ公爵の四番目の妻となりました如月と申します。いつぞやは剣の姿のままにお目通りをいたしまして失礼をいたしました。」

 立派な口上を述べる如月はやはり1000年の齢を重ねた知性を溢れさせていた。

 「そしてこれはヤマノベ公爵との間に設けることが叶いました愛娘まなむすめ、睦月でございます。御前にお目通りが叶いまして光栄にございます。」

 「如月殿、なぜ”ソウタさん”とお呼びしないのですか?」

 お妃様が如月の物言いに対し、疑問を投げかける。

 「え?このような席でそのような内向きの物言いなどできるわけが無いではありませんか?」

 「そうでしょうか?私もここではソウタさん、フィアさん。シロップちゃんにアニエスちゃんと呼んでいますよ。」

 「私もアマーリエもここではみなさんに名前で呼ばれているよ。私たちはここでは陛下でも妃でもなく、仲の良い者で会話や飲食を楽しむ友人の一人ですからね。」

 「はぁ、良く判りませんが承知いたしました。それではアマーリエ様、その後のお子様のご様子はいかがですか。」

 名前で呼んでもらえたことに大変満足そうな表情をし、答えてくれた。

 「はい、もうすぐ安定期に入りますわ。フィアさんに伺ったとおりに運動する準備もしています。」

 如月とお妃様が生まれ来る子供に話を弾ませていると、シロップとアニエスも爆弾発言を行った。

 「ソウタさん、私たちも月のモノが止まってもうすぐ安定期になります。これで念願のママになることができます。」

 とっても自慢げに発表してくれたシロップだったが、だったが、あなたもアニエスも夕べ揃ってナニをしましたよね。しましたよね?

 問い詰めると「だって、気持ちいいし。」とのたまう。

 危ないことは止めるようにと、厳重注意となった。

 「そんなの詰まんない!」と不満たらたらの二人が恐ろしすぎるんです。

 「まあまあ!シロップちゃんもアニエスちゃんも私と一緒にママになるのですね。どうしましょう。お子たちが大きくなったら楽しくなりそうですわ。」

 「そうだな。ユイ殿も我が家に嫁いでくれることになっているわけだし、国を挙げて祝いたいくらいだよ。」

 いや、それは結構です。俺のハートが耐えきれないと思うのです。

 それからも楽しくなる予感に満ちた将来をテオバルト殿とアマーリエ様を中心に話し合うと盛り上がり、笑い声の絶えない時間を過ごした。

 俺自身のHPの減少と正比例するかのようだったが。

 陽も傾き、夕暮れ時となり城を辞してと思ったのだが、テオバルト殿しんのうへいかがここで夕食を一緒にと誘ってくれた。

 城の料理人の腕も確かで、楽しみだと伝えると陛下も満足そうな表情をしてくれた。

 ただし、食後に相談があると仰られた陛下の表情は私室で話す友人の表情ではなく、国のトップを務める責任のある立場の目をしておられた。


 正統派フランス料理とでも表現したら良いような目で楽しみ、驚きに満ち、舌で楽しむ独創に満ちた料理だった。

 「タレーランという稀代きだいの厨子によるノスタルジックなコース料理なのだよ。我が城の調理師長が見聞を広めるために読み漁っていたというソウタ殿の世界の資料にあった調理法なのだそうだ。」

 どうりで所々で大皿にこれでもかと盛りつけられた料理が並んだわけだ。

 食べているときから前の仕事で得た知識がそうではないかと言っていたんだ。

 小皿に食べる順番で盛られた料理が配膳され、温かいまま提供されるようになる前は大皿にこれでもかと盛られた全部の料理がテーブルに並び、その豪華さを見せつけるのが正統派フランス料理だったのだ。

 ところがそれでは全ての料理が冷めてしまうと、当時ロシア宮廷に勤めたフランス人のシェフであるタレーランがこのスタイルを提唱したのだという事だった。

 それは優雅であり、温かさを損なわず、もてなしの心を伝えることができると以降のフランス料理のスタイルを完全に変えてしまったという。

 心の籠った夕食を全員で堪能し、食後のお茶になるころに陛下から相談を持ち掛けられた。

 「ソウタ殿、神国の資源と言うのは有効な関係を結んでいる諸外国から輸入する量が国内で消費される総量の多くを占めているのはご存知だろうか。」

 日本もそうで有るが、この国は埋蔵まいぞう資源と言うモノがとにかく少ない。鉄鋼関連の鉱石や化石燃料など、他にも乳製品の全てに穀物類も実に多くを輸入に頼っている。

 「よく存じ上げております。それらを加工し、輸出品として外貨を獲得することも重要でありますし。」

 「話が早くて助かるよ。そうしたえにしを結んでいる外国と言うのも越比方面が特に多く、経済的に自立した国が少ないのも特徴なんだ。

 経済支援は常に行っているし、援助に必要な手間暇と言うモノがある意味この国の重荷になりつつあるんだ。

 技術支援、経済支援は専任のスタッフが毎年増えてくれ、外国に興味を持つ若者などが積極的に飛び出していってくれている。しかし、西華や北華に始まりインディーラ、ローレシアなどの大国やイウロペの中ではゲーマニアンのナチ党など、越比方面に対して結構な圧力があるのだよ。

 私たち自らがそれらに対し武力でまかり通れば侵略に当たるかもしれない。

 この国の宣言として侵略戦争をいましめている手前、越比の各国には武力による圧力にも自国で対処してもらいたいのだ。

 なにか良い知恵を貰うことはできないだろうかと思うのだ。」

 随分と国際的な話を持ちだされる。

 国内の安定が図られれば次は対外関係という事なのだろうか。

 フィアがワクテカしているのが気になってしょうがない。

 今の我が家は如月の生んだ睦月は未だ生後数週間だ。加えてシロップとアニエスも子供ができてしまった。ユイにしたところで生後半年なんだからフィアだってウロウロしてもいいのだろうかと考えてしまう。

 「お話は十分に理解しましたし、大事なことだというのは理解しましたが、ご覧の通り全員に子供ができて、実際に身動きが取れないのも実情でございます。お時間はかかりますが出来ることから手を付けていこうと思います。その様な始め方でも構いませんでしょうか。」

 「もちろんだとも、我が家同様にめでたいことが多いのは結構なことではないか。その合間に私たちと一緒に考えて欲しいのだが、できることがあるときは遠慮なく実行に移してもらって構わないよ。」

 そう言う事であればと陛下の依頼を受け、全員でゆっくりと我が家へ戻った。

 それからの数週間はひたすらに情報収集に努めた。

 海軍や空軍へも出張でばり、それぞれが集めている情報を串刺しで検討する。

 いつぞやに海軍で情報将校たちから聞いていた世界情勢はそのパワーバランスは大きく変じてはいないものの、強者弱者のコントラストが強まっているように思われた。

 西華の海洋進出もより強まっており、東方と南方への進出が活発になっている。

 北華や西華に特徴的なのは古い民族であるという自負がそうさせるのか、領有権の曖昧なものはすべて自分のモノだと言える厚顔あつかましさにある。

 過去の歴史書に触れられてもいなかった海洋群島の所有権を思いついたように主張し、歴史さえ改竄かいざんしてしまうのだ。そして力で周囲を黙殺してしまうのが常套じょうとう手段だ。

 神国の神代かみよの時代からの離島のいくつかも西華や北華、比較的親しい間柄の南華でさえも過去になかった歴史を昨日きのう作って、最初からあったように言う事が出来るのだ。

 南華は勢いに任せ神国の離島の一つに上陸したが、一晩でレネゲイドに叩き出されてしまっている。それから数度にわたって挑戦してきたが、五月蠅うるさくなったと感じた俺が南華まで行き、軍港に居る全ての軍艦を一つの港に一発ずつのバスターランチャーで蒸発して回ったのだ。

 歴史書の改竄を認め、訂正と謝罪をしない限り二度と海洋への軍艦の出港を禁じる。と完全な武力でおどしつけたところ一晩と経たずに頭を下げに来た。

 根拠のないことに拘っているとそのうちに国が地図から無くなるぞと念を押して、正常な経済活動をする限りにおいて南華の安全と平和、他国からの侵略に対し無条件に武力を貸与たいよし敵国の殲滅に協力することを安全保障条約として書面化し締結した。

 北華が世界から消えたところで困るのは地図から無くなっても誰も困らない、どうしようもない国ばかりだからな。

 北華そのものは海洋進出はとっくに諦めてしまっており、かつてアイアメリカと神国が争った際に出遅れ、技術に隔世かくせの感が認められるようになってからはどちらかと言うと南華に対し嫌がらせをするのが日課となっているようだ。

 地続きになっているから鬱憤うっぷんを晴らしやすいのか、コストがかからないだけなのかみみっちぃ仕事に精を出している。

 南華から要請があれば書記長だかクラス委員長だか町内会長と言う俺の知らない人をかえりみることなくこの世から消してしまうだけのことだ。10分もかからないだろうしね。

 南方の諸島群には西華が占拠し、越国や泰国、比国などがこれまでに漁場としていた島と近海を要塞化して立ち入り禁止としてしまっている。

 要塞化されたところでレネゲイドにとっては踏んで潰すだけのお仕事だが、神国とも経済的に浅くない関わりを持つ国だけに力任せとはいかない事情があるのだと言う。

 南華はあんなに簡単に恫喝どうかつしたのにと思わないでもない。

 カウンターパートナーとしての影響力の違いなのだろうかね。

 「どうにかして穏やかに南方諸島群から手を引かせたいのだが。」

 そうはおっしゃるがそれはかなり難しいと言わざるを得ない。洋上交通を遮断してみましょうか。

 陛下との協議を続ける中でアジアだけは何とかしたいという思いを固めるに至った。

 世界平和なんて大言壮語を語るほど己惚うぬぼれてはいない俺だが、やはり近い場所に問題が山積されているのはよろしくない。

 いずれ俺たちの家族が苦労を背負しょい込むのならば早めに手を打っておきたいと思うだろう?

 別の手段としてアジア圏の協力体制と自衛手段を強化していくこともあるのではないかと意見を検討してもらう。

 それをきっかけにどのようなことが可能かという事に議論を尽くした。

 簡単には地上戦力としての旭北や空軍として昂暉を貸与することも考えられたのだが、これはみすみす技術力の優位性を失うことになると言え、例えば越国が一枚岩でないとしたら昂暉が西華やアイアメリカに渡ってしまう可能性を示唆している。

 しかし、大戦略と言う観点で見れば軍事力をいかに用兵するべきか、戦略や戦術などをどのように運用するかという事を知ってもらうことで現有の戦力を最大限に活用することも逆転の可能性をもたらしてくれると思われる。



 かなりの将校や士官の人達がアジア各国へ飛び、合同戦力の強化や戦略の策定に走っていた。各国では戦術を煮詰めて有効な戦い方や隣国との付き合い方について相互交流を持って話し合っていった。

 ある種、いつかの大東亜共栄圏だいとうあきょうえいけん思想につながらなくもないと感じながらその推移を間違いないように見守って行った。

 そうしてしばらくの時間を過ごした時だったが、国内でもちょっとした問題が発生していたらしい。

 富士の裾野すそのには広大な樹海が存在し、日本でも豊かな自然が誇られていた。

 ここには迷い込むと出られなくなるという深い森もあるし、豊富な水脈や肥沃ひよくな大地もあるのだが、その分、魔獣や魔物たちの存在も濃いのだ。

 セイリョウの土地にその魔物たちが溢れ、かなり広範囲に人的な被害が発生したという事だった。

 領軍の奮闘によって被害の押し込めには成功したようだが、突然の大量発生には原因があるのだろう。それについてはまだ判っていないという事であった。

 陛下から緊急のクエストが発令された。くだんの魔物と魔獣を討伐し、速やかにその被害を終息してほしいと言う物である。

 俺にとっては国政を担うより数段簡単で、向いていると思うのだ。

 移動をどうしようかと悩んだ挙句あげくに選択したのは元の馬車であった。今回は妊娠が判ったばかりのシロップとアニエスを連れて行かない事にして絶対安静を申しつけてある。

 まぁ、ベットに縛り付けるつもりもないので屋敷では自由にしているだろう。

 お妃様の元へお茶しに行っていると考えるのが正解だろう。随分と仲良くなっており、彼女たちと一緒に居るとお妃様の気も若くなるようで、陛下からの受けもずいぶんと良い。

 それで元の馬車に乗り込んだのはフィアとユイに、如月と睦月だった。

 このメンバーならばこの馬車でも十分くつろげるし、慣れた馬車も良いモノである。

 如月に聞いたところによると一度子を成すと一年は次の子を産めないそうで、旅に出た最初の晩はフィアと如月を存分に可愛がった。

 夕食も俺が準備し全員で食べたのだが、如月には好き嫌いもなく、フィアと一緒に楽しそうに食事をしていた。

 それぞれがおっぱいをやる相手に食事をさせ、布団に入ってからは俺がおっぱいを貰っていたのだ。

 「ふぁ、んんん。ちょ、そんなにしたらまた小太刀ができちゃう。ああ、ああん。」

 「大丈夫だ。何人生まれても問題ない。」

 「やっ、んん!も、もう、あなたってば。んんん?」

 小柄な体を抱きしめ、二人で満足した。

 如月がグッタリしてしまい、俺はグッタリしていないのでフィアを抱きしめ、眠るまでの間に何度も愛し合った。

 フィアはいつでも笑顔で迎えてくれるのが安堵できる。

 もう数え切れないほどのキスをしているのに、キスするときだけは恥ずかしそうにねだってくるのが何とも言えず可愛いのだ。


 朝、目が覚めるとフィアも如月もすでにベットにおらず、よだれ攻撃をしてくる娘二人に腕や胸をびちょびちょにされて寒かった。

 こんな目覚め方は初めてかもしれない。

 外から肉を焼く匂いやスープの香りが漂ってとてもいい雰囲気だ。

 妻たちが朝食を作り、任せられた子供の面倒を見ながら目覚めるなんて、偉くなったものじゃないか。

 そんな気分で馬車の外を眺めると、どういう訳か炊き出しが始まっていた。

 俺の妻たちから食事を貰っているのは付近の住民たちのようだったが、それぞれが食材を持ち込み、フィアたちが調理しているらしい。

 なんでそんなことになったのか?

 服を着てユイと睦月を抱いてから馬車を出ると、如月とフィアが挨拶をくれる。

 「あら、あなた、おはよう。」

 「ソウタさん!おはようございます。」

 「これはいったいなんだい?」

 周囲を囲むようにしているご近所さんは、俺が現れたことで少しばかりの緊張感が生まれたようだ。俺なんてどれほどのモノではないのだがな。

 「先だってからの魔物騒ぎでご自宅などが壊れた方が多いんですよ。それで片づけをしていると食材だけはたくさんあって、調理ができなくて困っていたそうなんです。如月さんと相談して二人でご飯を作ってました。」

 「そうか、それも困った人のためだな。おし!俺も腕を振るっちゃるぞ!」

 朝からフィアたちのやっていることに刺激を受け、俺も及ばずながら力になろうと思う。

 如月も上手に野菜などを刻み、スープにしている。寸胴鍋ずんどうなべを二つ置き、片方が出来上がると配膳し始め、その間にもう一つの鍋を煮込んでいる。

 何だか卒なくこなしてカッコいい。

 フィアは焼いた肉をそぎ切りにして千切り野菜とマヨネーズソースみたいなものを焼いたパンにはさんでケバブみたいなサンドイッチを作っていた。

 見た目に旨そうで俺も食べたい。

 ユイと睦月を厨房になった馬車の前に急きょ作った椅子を合わせたベットに寝かせ、フィアと如月から出来栄えに許可を貰った。

 「みんな、食材を持ってきてるって言ったな?」

 如月が頷いて見せる。

 「誰か鶏肉もってないか?」

 そう声を上げると年寄りと言うには早い様な爺さんが両手いっぱいのもう締めてある鶏を捧げ持って見せる。

 「よし!旨い物食わせるからな!」

 それを聞いた住民たちは歓声を上げた。

 いつかの熱がまだ保たれている油を張った鍋を次元断層から出して空いているコンロに掛け、ショウガの風味と大蒜ニンニクの香りを立たせた鶏肉を揚げに揚げた。

 カラアゲの大盤振る舞いだ。

 更には小麦粉を卵で練った麺生地を熟成させるためにレネゲイドの住まいに似た、違いとすれば時間が比較的ゆっくりと過ぎる空間で生地を寝かせ、丸めた自慢の麺生地を取り出した。

 粉を打ち、麺棒で薄くのばしたものを中華包丁で細く切り刻んでいく。

 更に粉を打ち、手で揉みこむと縮れた様子の中華麺が出来あがった。

 鶏ガラと貰ったネギや根菜に葉野菜からとった出汁を塩や醤油ベースの煮詰めたタレと合わせて茹でた麺を投入するとそれはもう、ラーメンだった。

 これを食べてくれるみんなの表情が和み、お替わりを求める者も居る中で、フィアも如月もその列に並んでいたのが嬉しかった。

 多くの人達に喜んでもらえ、フィアたちが気に入ってくれたラーメンにはまだまだバリエーションがあると言うとそのテンションもうなぎ登りだった。

 「ジュ!」っと言う音を響かせてカラアゲがラーメンに投入された。されたと言っても投入したのは俺なのだが、これはチャーシューの代わりの肉だった。

 コショウをかなり効かせ、特徴的な辛さを上乗せしている。醤油ダレで煮込み仕上げるチャーシューと違って、下味を付けてはいるものの液体のスープに入ってしまうとインパクトが薄れてしまう欠点を補うテクニックとして香辛料を効かせ、その肉にスープが染み入るようにと包丁を入れていたのだ。

 これが図に乗り、もう一度列に並ぶ人たちが現れた。フィアも現れた。

 如月も空になったどんぶりを持ってフィアと並んでいた。

 楽しそうな表情で頷くと、二人もとても楽しそうな表情をする。

 「あなたって、本当に貴族と言うには異色すぎるわよね。」

 「はい。ソウタさんは異世界から来られただけではなく、その時にはいろいろな食材を取り扱う仕事をしていましたから。こんな珍しい料理も簡単に出来てしまうのですよ。」

 フィアから説明を受けている如月と言うのも面白いのだが、それを周囲で聞いているご近所さんも「ほうほう」と頷いているのが何とも面白い。

 朝から料理を振る舞って昼頃にみんなが堪能したのか、散り散りに解散していったので、荷物をまとめて移動を続けることにした。

 一人一人が帰りしなにとても感謝してくれ、また機会があればと互いに笑い合って別れることができた。

 これを機に貴族に対する物の見方が少しでも変われば、陛下のお役に立てるのかもしれないと話し合って馬車を進めていた。

 セイリョウの中心に向かうにつれ聞いていた通りに魔物や魔獣の密度が濃くなるようで、サイクロプスやオーガなどの巨人系や、オルトロスにケルベロス。ヒッポグリフなどの獣系が大挙して押し寄せてくる。

 それでどうだという訳でもないのだが、引切り無しに湧いて出る魔物たちにいささか面倒な気分になる。それでも真面目に魔法で駆逐しているのは大規模に殲滅すると自然破壊も無視できなくなるからなんだ。

 フィアと如月には娘たちの面倒を見させ、俺が自身で討伐と馬車の運航を両立している。

 魔法による攻撃は特別な手続きが必要なわけもなく、頭で思うだけで発動してしまうし、馬車の扱いはほとんど無意識で出来る慣れた作業なのでひとりで魔物を蹴散らしながら進んでいるような状況だ。

 魔力の回復量が今のところ使用する攻撃魔法を上回っているので、疲れもしないし苦痛でもない。ただ面倒なだけだ。

 巨人系の密度が薄くなり、カーバントルやコカトリスと言った幻獣系に主力が移ってきた。といってもやることには変わりがないし、労力も大して違わない。

 幻獣系の方が魔法耐性が高く、より高出力な攻撃魔法が必要になるのだが、格上の魔物はそれはそれで絶対数が減って来て密度が下がるので、一体の攻撃力や耐性は上がるが、数が減るので結果として使用する魔力量には変化がないという事だ。

 それもファフニールやワイバーンと言ったドラゴンの系統に変わってくると、さすがに一体の力量と言うものも格段に上がってきた。

 対するためには攻撃魔法の威力を上げるのも一つの手段だが、そうすることによって俺の使用する魔力量が上がると持久力の点で面白くないので、次元断層経由で宇宙空間に次々と放逐ほうちくしてやった。

 無重力、無気圧、絶対零度で生きていられるのかは知らないが、片端から冥王星軌道よりも外側に飛ばしてやる。

 帰ってくるならその時にまた痛い目に遭わせてやるし、逝った場所で死ぬなら手間もかからず都合が良い。

 ダ○ソンの掃除機で叩いて吸うようにドラゴンも蛇も龍も吸い込んでやると、いよいよ神格を持ったような奴らが現れ始めた。

 エーギルと名乗る髭モジャの巨人がラーンと言う女神にょしんを伴って立ちはだかった時は冗談かと思った。

 「我が名はエーギル。妻ラーンと共にその方らをらしめる必要がある。まっことくだらぬことに労を砕き、己の身を保身するその様、まさに見苦しきことこの上なし。

 この世の大事に何をしておるのかと問わざるを得ぬな。

 ラーンの投網で小賢しきものを捕え、このあぎとでかみ砕いてくれるわ。」

 「喋る前に行動を見せろよ。」

 目の前の二人を次元断層で飲み込み、異次元に拘束した。

 言われなくても判っていることを言われるほど腹立たしいものはない。

 それが判っているから陛下は心を砕き、大ナタを振るって見せたのであろうが。神に連なる者が何を言うのかという事だ。判っていたなら、なぜその導きたる行動を示せなかったのか?遅きに失するとはこのことだろう。

 すでに樹海の最奥部さいおうぶにたどり着いたのだが、二人より格上の勢力はいないようで、俺たちを見るなり魔物たちは逃げ惑うように何処いずこかの世界へと立ち消えて行った。

 結論として存在の定かでない神々にも今世いまよのあり方については憤りを感じる者たちがいるのだろうと思わせられるが、奴らのやり方もまた、稚拙ちせつでしかないのだろうかと思わざるを得ない。

 勢いに任せてここまでやってしまったが、終わってみれば空虚な思いも感じないではなかった。

 そして俺の魔力量も気力も体力も全く減ることは無かった。

 あっけなく、そう、何の手応えもなく終息してしまい、樹海のただ中に訪れた静寂に俺もフィアも如月も馬車の外に出て深呼吸をするしかなかった。

 「ソウタさん、私が以前言ったとおりに神をも滅ぼしてしまいましたね。でも、エーギルもラーンも海の神だったと思うのですが、なぜこのような場所に居たのでしょうね。」

 フィアに聞いて初めて知ったが、あの二人は海神の類らしい。

 富士の樹海に海神が二人。

 何のことだかさっぱりわからないな。

 「フィアちゃん、ソウタさんが神をも殺すというのは?」

 「如月さんはソウタさんのお力を見てどう思いました?仮にも神である二人をその懐に飲み込んでしまいました。私と契約を交わす前から尋常でない魔法を使い、底の見えない力を発揮して見せたのです。」

 「そうね。私の中に流し込んでくれる命の力も全く法外としか言いようのないものですわ。私を存分に振るうその霊力はそんじょの魔法使いや魔法剣士であれば死に至るようなモノなのです。」

 「あのう、色々と考察してくれるのはいいんだけど、俺をバケモノか何かと一緒にしないでくれると嬉しいのだが。

 フィアや如月には俺はどのようにその目に映っているのかすごく不安になるのですが。」

 二人は互いに見つめ合い、揃ってこちらを見る。

 「「精力絶倫のとってもエッチな優しい旦那様です。」」

 完全にハモッただとぉ!?

 それぞれの腕の中で俺の娘たちが賛同を示すようにキャッキャと楽し気に騒いでいる。

 バケモノよりはなんぼかマシなようでホッとしましたよ。

深い信頼関係があるようで、ソウタもホッとしたことでしょう。

とうとう全員に子供ができるようです。

お前よ、書く方の身にもなれってんだ。子供の名前一つとっても考えるの大変なんだぞ!?

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