【第66話】それぞれの初夜
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ありがとうございます。
20,000PV越えで書きたかったシロップとアニエスの初めて物語です。
◇フィア
魔法科学省の悲しい事件の最中、ソウタさんは私が辱められたと言い、激しい感情を表に出したんです。
あんなに喜怒哀楽を表に出されたソウタさんは正直怖かったです。
でも、ソウタさんの怒りは私のための怒りで、この人は本当に自分に正直なんだと感じることができました。
自分の世界を侵されることを殊の外嫌う傾向があると思うんです。
私のことを口さがなく言われると、烈火のごとく怒るんです。
ソウタさんの側に居られるようになり、この3年の間は確かに私たちにとっても手さぐりの日々でした。
出会いこそ私が15歳の成人を迎え、のっぴきならない状態でしたし、無理矢理にも助けていただいたようなものだったのですが、それが私にとってはやり直せと言われても叶わないだろう幸運の始まりでした。
ご自分で認めた相手は全く疑う事もせずに、すべてを受け入れてしまいますし、私みたいな種族も違う者まで愛情を注いでくれるのです。
もしかするとソウタさんには”種族”と言う概念さえないのかもしれませんね。
本当に夢のような日が毎日訪れ、楽しかったり苦しかったり。それでも一緒に居られる幸せだけは感じない日は無かったものです。
そんなソウタさんですから、貴族となってもおかしくはありません。
大きなお屋敷に住まうようになり、たくさんのメイドさんたちが仕えるようになってもソウタさん自身の性格や人となりは変わることが有りませんでした。
当然ですが、ソウタさんに懸想する女性が出てきても不思議ではなかったのです。
私たちをお世話してくださるメイドさんが専属で四人もついてくださり、シロップちゃんとアニエスちゃんは年も近いことから、姉妹のように仲良くすることができました。
と言うのも、ソウタさんがアリスさんとキョウコさんを伴ってマーケットへ買い物に出かけた時から全てのメイドさんに丁寧な物腰や謙った言葉遣いを禁止してしまったことが始まりでした。
結果的には良い方に転びましたが、前の館の主に仕えていたメイドも私たちと一緒に館に入ったメイドさんたちも常識を覆すような変化を求められましたから。
専門の教育を受けて初めてメイドとしての所作を身に着け、洗練されてきた人たちばかりですから、一時は大混乱になったのです。
主であるソウタさんにどのように話しかけて良いものやら戸惑うばかりのメイドさんたちのご苦労は推して知るべしです。
ところが、シロップちゃんとアニエスちゃんは比較的早くにそうした状況にも慣れ、まずは私と仲良くなることができたのです。
アニエスちゃんは私と同じ歳でしたし、シロップちゃんも一つ若く、私と砕けた口調で話すうちにソウタさんに失言を吐くように咄嗟に失敗をしてしまいましたが、当たり前のように対応されたことで一気に打ち解けることができたんです。
それからは誰よりも早くソウタさんとも友達のようになりましたし、ソウタさんの性格ですから殊の外この二人を可愛がりもしました。
私が朝に弱いこともあって二人は館に入ってから初めてのクエストで私のことを随分心配し、ソウタさんの手を煩わせるのではないかと(実際には本気で煩わせているのですが)想像するにソウタさんに同情してしまったと言います。
本来のメイドとしてみればあり得ないような無謀な潜入によって旅への同行を許された二人でしたが、それで懲戒免職を心配した二人は自分の体を使ってソウタさんの歓心を買おうとしたのです。
ですが、私のソウタさんはそのような申し出を受け取らなかったのです。
これがキッカケになって二人の恋心は明確な恋愛感情へと育っていきました。
他家で同じようなことがあった際にそのお屋敷のメイドさんは屋敷の主に抱かれ、純潔を散らしたことで歓心を買う事に成功したと言います。
同じ女性としてそれはあまりにも悲しい出来事です。やはり自身の純潔は心に決めた人に貰ってもらうからこそ、女性の喜びにつながるのではないでしょうか。
そうした心さえも抑え込み、曲げたくないモノを曲げてまでソウタさんから歓心を買わなければと煮詰まった二人にはソウタさんのしたことはやはり、確かな信頼を勝ち取るに値したのでしょう。
二人はことあるごとに猛烈なアピールをするようになり、ソウタさんが逆に逃げ惑う場面も多々ありました。
そのころにはすっかり打ち解けた私たちはいつも三人でいるようになっていましたし、二人の気持ちは痛いほど伝わってきてもいました。
ソウタさんが貴族になり、より高みに登るためには有力な貴族やその係累の側室などを娶って力をつけなければならないと他所からの知識を真に受け考えていました。
しかし、それはこれまで毎夜を共にしたソウタさんが場合によっては見ず知らずの女性に取られるような物です。
自分で解決できない懊悩を抱えながら、そう言うモノだと割り切ろうとしていたのに、ソウタさんはやっぱり側室はいらないし、居なければならないモノでもないと仰いました。
嬉しかったです。
私とさえ仲良くできればそれで満足だと言ってくれるソウタさんのその気持ちに涙が止まりませんでした。
その喜びに浸りながらシロップちゃんとアニエスちゃんがそうした立場だったら、私も一緒に居られるのにと言う考えが脳裏にあったのです。
◇シロップ
私たちは余りにも気安く接することを許されている公爵様が、どれほどのお方であるかさえも知らずに淡い恋心を育てていました。
どちらの貴族様とも違うソウタさんは、私たちにとって少し年上のお兄さんのようでもあり、学舎で人気の先輩のようでもあったのです。
なにせスタイルやルックスに不足がないうえに気軽に話すこともでき、誰もを大事にしてくれるのですから誰もが好意を抱くはずです。
私も貴族様に手を付けられるのならばソウタさんが良いと憚らずに言えるほどには憧れが大きくなっていました。
ただ、その本当のご苦労を垣間見たのは吸血鬼との戦いの時でした。
フィアちゃんは恐ろしいほどの長剣を振るい、速さと剛力を誇るという吸血鬼に全く臆することもなく切り掛かって行きます。あんなに大きな剣なんて見たこともありませんが、それを拾った棒切れでも振り回すように軽々と扱い、吸血鬼に刃を振るいます。
タイミングを合わせ、ソウタさんも果敢に攻め掛かり、ソウタさんの縦横無尽の魔法を載せた剣の閃きに目を瞠るばかりでした。魔法の効果によって剣に載る閃きは色を変え、どれだけの魔法が使えるのかとあきれるばかりでした。
お二人の息のあった剣戟によって吸血鬼は討ち取られ、勝利を得ることができましたがイクオ様の言われたとおり、目の前で繰り広げられた剣による戦いは互いの命を刈り取るためだけに行われたもので、相手の死を確信した剣を自らが振るうのです。
容易く人が死に、暴力に溢れているという言葉通りの光景が繰り広げられました。
自分の知らない世界の中にあって、息の合ったソウタさんとフィアちゃんは互いの呼吸さえも知り尽くし、優雅に舞い踊るような戦い方をしていました。
これが長年連れ添った夫婦と言うモノなのでしょうか。
勝利を掴むまで少しの乱れもない、手を取り合ってのその光景に自然と涙が出てしまいました。
仲良くさえすれば、近づきさえすればフィアちゃんのように寵愛を受けることができるかもしれないと安易に考えていた自分を切り伏せられたように思ったのです。
私の入る隙間なんてないように思えました。毎朝ソウタさんの手を煩わせているフィアちゃんだってソウタさんと命を預け合って隣に立つことができているんです。
私には誇るようなこともなく、ソウタさんの隣に場所を頂くにはその場所は余りにも遠くにあるように思えてしまいます。
それでも、一歩を踏み出さなければたどり着くことができませんから、私はこの二人の側に居続けたいと思います。
転換点が私にやってきたのは、思いもかけないソウタさんの言葉からでした。
「メイドはメイドと言う職業で、騎士やエンジニアと何ら変わらないお仕事だよ。」ツクバから帰って食堂でソウタさんにこう言われ、私の仕事がソウタさんにとっては当たり前の職業であったと教えられ、自信をもっていいんだと思う事ができました。
それからと言うモノ、自分の仕事に自信が付き、仕事が一段と楽しくなりました。
アニエスさんと私が楽しそうに仕事をするとその他のメイドさんたちも思うところがあったのか皆が仕事に対して真剣に取り組むようになりました。
皆が驚いたのはそうして屋敷が賑やかになって翌月のお給金の時でした。
「なにこれ?誰のお給料なの?」そうです。ソウタさんから頂いた給料は全員が見たことのない様な金額だったのです。
住み込みでご飯も頂けているのに毎月結構な額を頂いていた。それだけでも破格の扱いをしてもらっていたのに、私の給料は3倍になっていました。
皆も同様で、アンニさんはソウタさんに何かの間違いでは?と尋ねに行かれたくらいです。
「間違ってません。それが皆さんの仕事に対する正当な対価です。」と言われたそうで、ウルウルとした表情のアンニさんを初めてみました。
元々が他のお屋敷よりも高給でマーケットなどでは同卒のみんなに羨ましがられたり、奢らされたりとやっかみの的になっていたんです。もう、とてもじゃないですが正直に言う事ができません。
それからしばらくするとソウタさんと皆さんはエイゾまでのお仕事に出ることになりました。当然私もアニエスさんもご一緒します。
ソウタさんのお仕事は遠くへ行くことが多いので、旅の途中で見るモノ、聞くものの全てが新鮮で一介のメイドには一生経験できないような色々な体験をすることができます。
私たちの勤めたお屋敷は環境もいいですし、ソウタさんはお優しく、フィアちゃんとも仲良くしていますし、やっぱりもっと近づきたいです。
自分の心はやっぱりソウタさんの側に行きたいと言っているんです。
そんな気持ちをフィアちゃんは気に留めてくれていたと言います。
フィアちゃんもアニエスさんと私がずっと側に居てくれたらいいのにと言ってくれます。
この気持ちをソウタさんに届けることはできるでしょうか。でも、強力なフィアちゃんの後押しもあって、道中は様々な新しい挑戦をすることができました。
毎朝のフィアちゃんの着替えはアニエスさんと必ず二人で行きます。
一人がフィアちゃんのお世話をしている間に私たち二人は交代でソウタさんの着替えも手伝う事にしました。
これで私たちもソウタさんと触れ合えるようになり、猛アピールができるようになりました。
ソウタさんは若干戸惑っていらっしゃいますが、そんなことは構いません。
そんなある日の朝でした。
私がフィアちゃんの着替えをしていると後ろから「ん?んん!」とアニエスさんのくぐもった声が聞こえてきました。
何かあったのだろうかと振り向くと、ソウタさんに私は抱き上げられ、そのままキスをされました。
驚きのあまりに今までにない近距離でソウタさんと見つめ合ったままキスを続けています。ソウタさんの瞳は優しい色をしています。
ほぼ黒に近い虹彩がこの距離では少し鳶色にも見えました。
自分がソウタさんにキスされていることも忘れて瞳に見入ってしまっていました。
どれだけそうしていたかは判らないのですが、ソウタさんはゆっくりと私を床に立たせます。私がちゃんと立てているかを確認してから脇から手を抜かれました。
ハッとなった私はソウタさんの唇の感触を思い出そうと手で自分の唇を確かめてみましたが、思い出せるのは少し鳶色に見える瞳の色だけでした。
もったいなさすぎる。
そう後悔に包まれていたのですが、その日の晩にはもう一度キスもしてもらえました。
フィアちゃんに誘われて馬車に呼ばれると、ソウタさんはアニエスさんと私に椅子を勧め、話をされます。
「シロップとアニエスには今夜から俺の妻となってもらうことにした。」
「え?」ソウタさんの仰ることが信じられません。
「ご寵愛を頂けるのは気が向いたからとかじゃなくて?」
「ははは、俺はそんなに不誠実に見えるかな。フィアが言うんだ。二人はずっとこれからも一緒に居たいんだと。
思いきって馬車に潜り込んだり、誰よりも屋敷で頑張ったりしているのを見れば俺だって二人を大事にしたいと思うよ。俺にとっても二人は手放したくない女性だと思う。
だからこそ、ちゃんと妻になってくれたら俺にもフィアにもとても幸せなことなんだけどシロップはどうかな?」
「ほ、本当ですか?私を貰ってくれますか!?」
「ああ、もちろん。可愛い嫁が増えて嬉しいよ。よろしくな。」
突然に初夜となって、自分が何も知らないことに緊張しました。
メイドになるための学舎で習ったことはほとんど何も役には立たなかったのです。
まるで恋人が寄り添うようなキスから始まり、私のことだけを見つめながら求めてくれたのです。
肩や背中までゆっくりと解きほぐすように撫でられると少しずつリラックスできました。
それから全然頼りない私の胸も十分に構ってくれました。それだけでもう、どこかに行きそうになったのですが、メイドの衣服をすべて脱ぎ落され下着だけになった私は顔から火が出そうでした。
フィアちゃんもアニエスちゃんも私のことを見てるんです。こんな子供体形にソウタさんがどう思っただろうと考えるだけでも恥ずかしいのに、フィアちゃんは私の手を取り微笑んでくれてます。アニエスさんはソウタさんのすることを興味津々で確かめています。
そんなことを全く気にされる様子もなくソウタさんは私の体に夢中になってくれています。
さんざんに可愛がられると昂って来た私はもう、周りのことなんて気になるどころではなくなり、ソウタさんにしがみついていました。
痛かったんです。
とても優しくしてもらってはいますが、それでも初めては痛かった。痛くて逃げだしそうになりますがここを超えて行かないとソウタさんの隣に居る場所を貰うことはできません。そう思うと体が硬くなってしまい、更に痛みが増した気がします。
「シロップ、こっちを見て。」
ただ我慢するようにギュッと目を瞑り耐えていた私の髪を撫でながらソウタさんが声を掛けてくれる。
ようやく目を開くと、とても優しい鳶色に見える瞳が私をのぞき込んでいた。
「シロップ、俺を選んでくれてありがとうな。貴族の嫁となると色々と面倒もあるかもしれない。でも俺が守り切って見せるからずっと側に居てくれるよね。」
微笑みながら話しかけられ、涙がいっぱい出てきた。
私は自分の選択を間違っていなかったと心の中に広がる暖かさに振るえていた。
「はい。末永くよろしくお願いします。ソウタさん、来てください。」
やはり痛かったが、それは私に刻まれる愛情なのだと理解することができた。そのあとどうなったのかは良く判らないのです。
私だけ勝手に気持ちよくなってしまって、眠ってしまったみたい。呆れられてないことを祈るしかありません。
◇アニエス
あの日、食堂で私たちの働きを認められてから私はハッキリとソウタさんを求めていたと思う。
ソウタさんが快適になるには?それしか考えずに仕事に取り組んだ。広い目線で深く考えながら。
誰がこの仕事をすれば誰が喜んで、それがソウタさんにとってより良いことか。
直接的なものばかりではなく、間接的にも全てが良くなればきっとソウタさんにとって良いことになるだろうと信じて取り組んだ。
また、そんなことを考えながらする仕事は全く辛くなかった。
「シロップとアニエスには今夜から俺の妻となってもらうことにした。」
二人で馬車に呼ばれ、こんな風にソウタさんに言われると、シロップちゃんは俄かには信じられなかったようだ。
でも、ソウタさんは私たちをちゃんと嫁にしたいという気持ちを伝えてくれて私も二つ返事で喜びを伝えた。
シロップちゃんに問いかけ、そのあとにソウタさんは私の目を見て聞いてくれた。
「アニエスは俺の妻になってくれる?」
「はい!よろこんで。」
そんな返事しかできなかったのは、後になって思うとちょっとだけど悔しい。
もうちょっとカッコよく返事ができればよかったのにな。
目の前ではシロップちゃんがソウタさんに可愛がられていた。
初めての経験に不安にならないようにとフィアちゃんはずっとシロップちゃんの手を握ってくれている。
物語で読んだようなモノとは違い、ただひたすらに暖かく優しさにあふれたソウタさんの営みは初めてのシロップちゃんにも良かったようで、今夜が初めての経験にも関わらず気持ちが良かったらしい。
ぐったりとお休みしてしまったシロップちゃんはとても満足そうな表情をしている。
私もそうなれるだろうか。
自分の番になったと思うといやが上にも緊張が高まる。
しかし、ソウタさんは私になかなか触れようともせず、ただ手を握ってくれている。
「アニエス。俺が公爵になったばかりに俺の妻となれば跡継ぎのことなど色々と言われるかもしれない。また、フィアと仲良くしてもらう必要もあるし、これからずっとこの三人は一緒に居ることになる。
よろしくお願いするよ。」
「そんな心配をしないでください。私もシロップもフィアちゃんが大好きです。ソウタさんを愛し続ける自信もあります。私を可愛がってくれますか。」
いつもこうだ。言ってしまってからもっとソウタさんの心に留まるような言い方は無かったかと後悔してしまう。
「アニエスにそんなことを言われてしまうと俺の理性が失われそうだよ。」
そう言い、私を強く抱きしめてくれた。
髪を撫でられながら優しいキスをしてくれた。
そこから始まって私の方がシロップより年上だからか、より積極的に求めてくれる。
メイドになるための学舎ではこんな愛され方なんて教えてはもらえなかった。もっと貴族様と言うのは自分勝手に気持ちよくなって、私たちがどんな様子かは基本的にどうでもいいのだと教わったのだ。そんな中でも貴族様に喜んでもらうための演技指導みたいなものもあったくらいで、顧みてもらえないのは当たり前のことだと教わってきたのだ。
しかし、シロップを見るからにどちらかと言うとシロップが真っ先に気持ちよくなっていたようだった。
そして私も。
背中を優しく撫でられると体中がゾクゾクとして、首筋にされたキスには鳥肌が立った。
お腹の奥の方がキュンと締め付けられるような快感が体中を駆け巡る。
まだメイドの衣装は着たままではあるが、たくし上げられた衣装の裾から入ってくるソウタさんの手がどこまでも優しく私の気持ちのいい場所を探し続けているようだ。
その間もさんざんにキスをされ、脳が軽くマヒしているように感じるころにようやく下着だけの姿にされた。
学舎で学んだ話とは全然違い、むしろ気持ちよくなっているのは私の方。ソウタさんは常に私が気持ちよくなることができるように最大の努力をしているみたい。妻になるというのはこういう特典もあるのかと、それが思い違いでないと信じたくなります。
そうこう言ううちに私の意識はもうあやふやになってしまってて、いつの間に下着が外されていたのかも判りません。
やっぱり痛かったのは間違いありませんが、ソウタさんを感じられて心が満たされるという実感をものすごく嬉しく思いました。
自分から愛し始めた人に受け入れてもらえ、一つになる瞬間が来るというこの体験を自分が経験できるなんて幸せしか感じられませんでした。
メイドになると決めた時にそうした気持ちに蓋をしていたはずだったのに。どこかの貴族様にどうされるか判らないと聞いていたはずだったのに、自分の気持ちを伝えることができてそれが受け入れられて、こうして愛される。
そんな経験ができただけでも満足しなければなりません。だけれども私はソウタさんと言う伴侶を得、これからは貴族の嫁としての立場を考えなければなりません。
ソウタさんのことですからまだお嫁さんが増えるかもしれませんが、フィアちゃんが認めた人しかそれは叶わないことでしょう。そうした意味では私たちは相当に幸運だったのではないかと思わずにはいられません。
いよいよ私の意識も怪しくなってきて、それでもソウタさんは私の様子を見ながら愛してくれていることが判るともう、それだけで満足してしまう。
私がこんなに気持ちよくなっているときに、ソウタさんは同じように満足してくれているのだろうか。
今度はもっとソウタさんにも気持ちよくなってもらいたい。
そんなことを考えながら私は意識を手放してしまった。
◇フィア
この日は私にとっても特別な日でした。
二人がソウタさんに受け入れてもらえるようにとさんざん努力した甲斐があったのですから嬉しくないはずがありません。
いつもは私が愛されて眠りにつくはずの場所に私の気に入った姉妹たちがいるのです。
シロップちゃんもアニエスちゃんもソウタさんに気に入ってもらえ、愛情を注いでもらったおかげでしょうか、とっても幸せそうに眠っています。
ソウタさんのことですから、一度愛した女性をもう二度と手放さないでしょうし、二人は私と一番の仲良しですから、こうしてベットを共にできるお嫁さんが増えてくれて満足です。
二人が幸せそうにしてる側でソウタさんは二人の寝顔を確かめ、髪を直したりしているのがおかしいです。
「フィア、こんなことになってしまったが、フィアはこれで良いんだよな?」
「ソウタさんは嫌でしたか?」
「この二人ならイヤはないさ。でもフィアが勧めてきたこととはいえ、これで妻が三人になった。もうこれで十分だからな?誰かを気に入るたびに嫁にしろとか言い出すのは止めてくれよ。」
笑いながら言ってるんですから、本気のお願いではありませんね。
ただ、ご自身の身の程と言うのを気にする人ですからこれ以上無理は言わない方が良さそうです。
「判りました。でも、私の願いを叶えてくださって本当にありがとうございます。」
そう言って抱き付くと、心底嬉しそうな表情をするのがソウタさんだ。
嬉しい気持ちを嬉しいという表情で表してくれるこの人は、私の最高に最高な旦那さんで良かった。
もう私はスッポンポンになって抱き付いている。
だってソウタさんはさっきからずっと裸です。私が追い付かなきゃいけませんからね。
「脱がす楽しみが・・・」
ソウタさんの言葉なんて耳に入りません。
「二人のオムネはどうでしたか?」
「うん?うん、それぞれにちょうどいいんじゃないかな。フィアのが一番いい様な気がするよ。」
「あん?ちょ、ちょっとまだんんん?話が!?」
「もうまてません。」
「あ、ああ、んんんんーーー!」
もう何が何だかわからないほどに愛されました。
結構二人の初めてに気を使っていたので、疲れているかと思っていたのにどうやらそんなことは無かったようで、めちゃめちゃに可愛がってもらえました。
私の体でソウタさんがキスしていない場所なんて無いかのようなたっぷりと時間をかけた行為でもう溶けそうです。
そのあとに私の食事もちゃんとしてもらえ、ぐっすりと一緒に休むことができました。
私の企みが全部うまくいって、最高の気分です。
ノクターンは嫌よ。
そこまでじゃないよね。




