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Contractor with blood(血との契約者)  作者: 小西敬
成り上がり貴族の章
53/161

【第53話】砂糖を吐くもの

いつもお読みくださり、ありがとうございます。

今話は書いていて、口から何度砂糖が出てきたやら。


あっと言う間に13,000PV越えてます。

皆様のおかげです。ありがとうございます。まだまだ砂糖増量ですので、許してください。

 馬車はセンダイを過ぎると内陸に進路を取り、海岸線からどんどんと離れていく。

 景色が牧歌的な風景となり、内陸で農耕にいそしむ集落や牧畜が盛んな平野部を眺めながらホクジョウと言う大きめの都市へと辿り着いていた。

 日本では北上市となる。

 艦○れでは重雷装艦のキタカミ様だ。

 同型艦の大井と仲良しさんだな。

 それはそうと、ここ二日ほど天気に恵まれず昨日は小雨の中の旅で、今日は朝から結構雨脚が強い。

 野宿が大変なことから一昨日と昨夜は街に宿を取らざるを得なかった。

 今日、北行を続けた道中は霧にけぶる牧場で雨を気にすることもなく草をむ赤茶色や黒の毛並みの牛たちを眺めながらだった。

 どの馬車も御者席はしっとりと雨をかぶり、御者席を引いてしまった俺たちは体の芯から冷え切ってしまったよ。

 コウレイさん、タケヨシさんと俺の三人は、みんなに労われ一番風呂を頂くことになった。

 「はぁ~~~生き返る。」

 「ほんとうだな。」

 タケヨシさんと俺はオヤジ臭いセリフを交わし、湯船の中で四肢を伸ばす。

 コウレイさんは石鹸で泡だらけになっており、誰だか判らなくなっている最中だ。

 いつもコウレイさんが体を洗うとミ○ュランマンみたいになるのが不思議でならない。

 本人にそう問うと、「俺は汗をかきにくいからな。」と教えられた。

 タケヨシさんと顔を合わせ、ますますわからない事になってしまった。

 二人で背中を洗いっこしていると、俺がこすっているときにタケヨシさんが聞いてくる。

 「ソウタよぉ。クノエを出てから俺たち、お前さんに助けられてばかりでよ、お前さんが貴族なんかになるものだからちょっと気後れしてるんだよね。」

 「意味が分かりませんが?」

 「そうだなぁ。俺たちは元々シゲさんたちがソウタにくっついてアマクサや周辺に物資の後送をするための旅団の護衛だったじゃねぇか。それがさ、旅するたびに襲われても俺たち何にもする間もなくフィアちゃんとソウタに任せてるだろ?

 ちょっと居心地が悪いというか、活躍できてないなって思うんだよ。コウレイもサチも同じことを考えてる。

 これで家令とか、男爵だとかってちょっとないわ~って自分たちは思ってるんだよ。」

 「元々の役割を考えるとどうしてもな。」

 「俺の考えを聞いてもらってもいいですか?」

 俺自身は護衛班の三人にはイザというときの最後の要かなと思っていること。

 フィアも俺も例えばの話、守る対象から離れてしまうときがあるだろうと実は思っていること。戦いと言うのは流れによっていかようにも展開が変わるアドリブ劇のような時がある。

 みんなに目が届かない時にアンチマジックによる障壁突破をされると取り返しのつかない事態になると考えていて、その被害を最小限にするための保険が護衛班の真の役割だとその重要性について捉えていることを話す。

 護衛対象には今となってはシロップとアニエスも含まれる。

 彼女たちは戦う術を持たないが、俺の大事な妻たちだ。最後の最後、ギリギリの時に護衛班の命と代えても守りたいと思う。

 失礼だとは思ったが、護衛とはそのためにあるのではないかという事を逆に問うてみた。

 「そう言う考え方もあるんだな。いや、ソウタの妻たちの為の捨て石だと言われたことは不思議とは思わない。いっそ、そう言われたことの方が俺たちの役割を明確にしてくれているよ。」

 「そうさな、さしずめソウタの懐刀って事でいいのかもな。それは悪くない考え方だ。万が一にもその時は嫁さんたちを最優先で守ることにしよう。」

 「ええ、そう言っていただけるとこちらも安心できます。言い方は悪かったですが、俺たちの考え方をご理解いただければありがたいです。」

 「気が楽になった。貴族に使える者の役割と言うのはそう言う時だってあるよな。」

 「そうだな、これを聞いたらサチも喜ぶだろうよ。嫁たちの代わりになって死んでくれって言われたよ!ってな。はははっ。」

 「いや、そこだけ抜き出すのやめてくださいよ!お願いしますよ?」

 「わかってるって。」

 いつの間にか俺とタケヨシさんがコウレイさんの背中をこすっていて、コウレイさんがまたミシュラ○マンになっていた。

 「た、助けてくれ。目に石鹸が入った!お前たちいい加減にしとけよ?」

 まるで小学生の合宿だな。

 なかなか上がってこない俺たちに業を煮やした他の連中が遠慮なく浴室になだれ込んできた。

 この宿の風呂場は大浴場スタイルなので全員で入っても全く問題ない。

 元々泳げるほどの広い露天風呂に20人分も洗い場がある。そのど真ん中を利用して体を洗っていたんだから、シゲさんたちがみんなで来たってまだまだ余裕だろう。

 男湯もそうだが、女湯も全く造りが同じらしい。

 湯船の仕切りが大岩を積み上げたもので、その向こうに対称形で同じ露天風呂があるという事だった。

 同じような風呂に入るとそれはまた、話題が弾むし良いかもしれない。

 大岩の向こうから相変わらずの三人を始め、きれいな姫様たちのくつろぐ声も聞こえ、我が家は今夜もいい雰囲気だ。

 コウレイさんがシゲさんたちにも磨かれ、肌の隙間も見えなくなっているのは記念撮影したいほどだった。もう、末広がりな泡の塊としか表現できない。

 「目が痛いんだって!お湯、お湯をちょうだい。」

 「そら、お湯だぞ。」

 「シゲさん、すまない。」

 コウレイさんのお礼を聞きながら、シゲさんは風呂場中の手桶に備え付けの石鹸全部を溶いて作ったあり得ない量の泡をコウレイさんの頭からひっ被せた。

 「ぐううぉおおおおお!目がいてぇ?」

 コウレイさんの雄叫びに下品な俺たちの爆笑が重なり、洗い場の足元が盛大に泡に包まれてしまったのは言うまでもなく、イクオ君やキヨシゲさんがすっころぶと言う二次災害が発生してまた、爆笑が沸き起こる。

 「なに?なんなの!」

 隣の女湯からチズルさんやアオイさんの声が聞こえる。

 「ソウタさん!そっち、行ってもいいですか?」

 「バカ!いい訳ないだろ!!」

 仕切り越しに実況解説をしてやるとみんなしてこちらに来たいと言いだした。

 「だめ!やめてくれ。」

 どうにかこうにか女性群の群れを仕切り越しに押しとどめ、速やかにコウレイさんにきれいなお湯をぶっかけ、撤収準備を済ませた。


 夕食の時間になり、大広間にみんなで集まるとまだむくれているコウレイさん以外はホコホコに温まったいい顔が揃った。

 俺が手を合わせて「いただきます。」を言うとみんなが揃って後に続き、一人前ずつに仕分けされたポータブルの網焼きに自分の肉を載せ、好きな焼き加減でほおばる。

 よく焼く奴がいれば、表面を炙ってレアでタレにくぐらせている者もいる。

 俺以外は。

 フィアが一切れ焼いてくれたのを俺の口に突っ込んだのがきっかけで、シロップもアニエスも様々な焼き加減の高そうなお肉を我先にと俺の口に入れようとする。

 「も、もういいから。自分たちの分を焼いて食べなさい。」

 「ええ~?もうちょっと!」

 いや、本当にごめんなさい。

 アニエスの箸を取り上げ、俺好みに焼けた一切れを「あ~ん」してやる。

 嬉しそうに咀嚼し、また口を開ける。

 雛か?その隣と俺の向かい!一緒に口が空いてるぞ。

 がんとして口を閉じようとしない三人に次から次へと焼いては食べさせ、焼いては食べさせ、焼いては食べさせ・・・

 「いい加減自分でやれ!」

 「いい加減にするのはてめぇだ!暑いから外でやりやがれ!この馬鹿たれどもが!!!」

 おれはそれ、りふじんだとおもいます。


 就寝時間まで大広間で今後の行程の話や、フダホロでの行動方針などについていつものように話し合った。

 商業ギルド経由で届けたナッサウ家の謀反についての書状は親王陛下や周辺に相当に大きな動揺を与えたようだった。書状から現在内偵を進めているとあったが、陛下の城に勤める家令やメイドたちの中にもナッサウ家から派遣されている者たちが大勢いることから、秘匿したままに事を進める難しさが伝わってくる。

 俺たちに任せたい事案だったとユンカーさんの意見も添えられていた。

 とはいうものの、俺たちがエイゾに向かっているのも同じように厄介な案件であることから、早期の解決を期待している様子も伝わってきた。

 トウトを出てから既に25日目を終わろうとしているが、旅程は度々のナッサウ家の妨害によって遅れに遅れている。

 本土最北端、セイシンのツカルにまでたどり着くにはまだ三日は必要だ。

 8日間ほどの遅れだろうか。

 書簡はもう一通あり、フダホロがやはり資金援助の延長を求めてきたとのことだった。この知らせは全文がユンカーさんによるもので、投資対効果の実績報告書と現在の状況。

 今後の開発計画などが盛り込まれた投資計画書が添付されていた。

 見るからに立派な過去の実績と今後の展望がちりばめられており、ここに書かれた様に実行されていたなら、どうして更なる資金が必要なのか?十分な開発から旨みのある還元があったと思われる実績報告とのチグハグとした更なる要求。

 書いている本人も矛盾に気が付いていないのだろうか。

 それぞれの施策が行われた場所をフダホロの地図と重ねてマーキングし、監査を行う場所などについても順序や監査項目について詳細に取り決めていった。

 カモフラージュに真実を隠されないように投資が集中的に行われたであろう場所や、施設管理を任せているらしい外部委託先などの本拠地、素性を抜き出してまとめておく。

 表紙に「監査手順書」と書き込み、親王陛下より預かっている本物の封蝋用の指輪から作られたレプリカを押印した。これが現場優先の裁量と言う奴の一つだ。

 親王陛下から親王陛下をかたることを正式に認められているという事だ。

 地球では会計監査局や税務署、監査法人などが裁判所の許可の元で企業を強制的に家宅捜索するのに似ているかもしれない。

 その許可を出すのが司法ではなく、国家権力の長と言う違いはあるが。

 いずれにしてもちょっと急ぐ必要があるようだ。

 こんな事態でもカニやウニは忘れていないのだろうか?一通目の手紙に紛れ込まされた陛下よりの直筆の親書には「カニとウニ、楽しみにしてるから。」と添えられていた。

 文末にお妃様より、旅の無事と早い帰還を祈っております。とありがたく書き添えられていた。

 ため息と共に解散となり、それぞれが割り当てられた部屋へと引っ込んでいく。

 三人の嫁たちと俺は一つの部屋にまとまり、二人ずつが並び、頭を寄せるように敷かれた布団へと潜り込んだ。いや、全員が俺の布団に潜り込んだ。

 フィアの体はアニエスより少し幼く、シロップより少し大人びている。

 三者三様の体を思う存分貪り、まったく乱れていない三つの布団セットと、何があったのか判らないような惨劇の刻まれた一組の布団が明日には出来上がるだろう。

 フィアは非常に積極的に愛情を受けるタイプで、シロップはまだ経験も浅いこともあるだろうが、いつも布団の中では小鹿のように震えていることが多い。

 それでも精いっぱい俺の愛情を受けとろろうとしがみついてくるのが何とも言えず初々しいのだが、それが可愛くてつい、余計に愛情をこめてしまう。

 アニエスはどちらかと言うと大人を気取りたいようで、お話に出てくるようなお姫様が幸せに結ばれるというようなシチュエーションがお気に入りだ。

 一度は二人きりでさんざんに可愛がって見てあげたいものだ。

 すましたお姫様が寝乱れる様も見てみたいじゃないか。


 一組だけ乱れてしまった布団を残し、朝食を食べるために食堂に向かうとエンジニアスタッフは全員が揃っていたが、護衛班が遅れていたようでまだ揃っていないのだ。

 昨夜の風呂場での話し合いから、護衛班独自のミーティングが遅くまで行われたのかもしれない。横から口を挟むべきでないそれぞれの立場もあるだろうし、軽口にしていい様な話題でもないかもしれない。

 この15人はそれぞれの生業も役割も違う上に、元々は出自の違う様々な人間の寄り集まった所帯だから、等しい価値観を分かち合う困難さをよく理解しなければいけないのだと思ったのだ。

 「うぃ~~っす。寝坊してごめんな。」

 そう言いながら、片手であいさつしながら食堂に現れたのはタケヨシさんだ。

 「コウレイさんとサチさんは?」

 「ああ、すまない。夕べな、ソウタの言葉を聞いてからサチとその言葉を話し合おうって事になってな、ちょっと真剣に話し合ったのと酒を飲んでたのもあって二人ともまだ起きられないんだよ。

 実は俺もちょっと辛くてさ、もう一度横にならせてもらってもいいか。」

 「はい、判りました。じゃぁ今日はゆっくり休んで、明日から特急のように移動しなきゃいけないので、協力をお願いしますね。」

 「あ、ありがてぇ。」

 朝食のほとんどを口に入れずに白いご飯と味噌汁だけを食べたタケヨシさんはそれだけを食べきるとまた部屋へと引き上げていった。

 この日やったことと言えば監査手順書をより詳細に煮詰めていったことと、地図との照らし合わせ、シロップ、アニエスとカニやウニの我が家への分配など。ついでに昼寝の時間にフィアをつまみ食いした。

 夕刻になって復活してきたサチさん、タケヨシさんとコウレイさんに「迎え酒」という名目でシゲさんたちが山ほどのお酒を飲ませていたので明日が心配になる。

 しかし、こうして何もせずに過ごす一日と言うのも終わってみれば貴重なものだったと思う。

 外に出るでもなく、無為に一日を潰すと客観的に物事を見つめ直すことができたり、今後の作業の手順を整理できたり、シロップを朝から頂いてみたり、夕方に雨の上がった夕焼け空を見ながらアニエスを頂いたりと有意義な時間を堪能し、英気を養うことができたのだった。

 「おめぇだけだよ、怠惰に過ごしやがって。」

 夕食の時にシゲさんにお叱りを受けた。解せぬ。

 朝のうちにレネゲイドの整備を始めたエンジニアスタッフ班は夕方になるまでひたすらに整備と調整を繰り返し、いつでも全力出撃が可能な様に手入れをしてくれていたのだと言う。

 レネゲイドをシゲさんに預け、宿の裏にある広場で始めたメンテは好天に恵まれたこの機会を逃すなとかなりのメニューをこなしたと後から聞いた。

 その裏庭では旅団の共有財産であるタオルやシーツ、手拭いなどが大量に洗濯され、シロップが洗濯物を干す作業に一生懸命だったのだ。

 足りない背を一生懸命伸ばし、たくさんのタオルやそれぞれの寝室に使っているはずのシーツを干している姿は眩しいモノがあった。

 「手伝うよ。」

 「本当ですか?ありがとうございます。」

 シロップと手分けしてハンガーにタオルを掛け、俺が物干しに掛けていくと短時間で片付いた。

 「シロップは他に何をするの?」

 「生活車両の掃除をしなきゃいけないんですよ!ここ数日天気が良くなかったじゃないですか。今日はうんと綺麗にしておきたいです!」

 そうか、偉いぞ!と髪を撫でるとホニャンと暖かい笑顔になった。

 おでこにキスをすると、はわわ?と真っ赤になってしまったので手を引いてお布団に連れ込んでしまったのだ。

 昼にご飯を食べる習慣のないこの世界でも、俺たちはいつものように軽食を摂る。

 昼食後に俺たちが昨夜から借りている部屋をのぞくと、フィアが俺たち二人の洗濯物をひとりで畳んでいた。

 「俺も手伝おうか?」

 「いえ、そんなに量もありませんから、大丈夫ですよ。」

 俺に背を向けながら必死に自分のシャツを畳んでいるフィアを見ていると、自然と背中から脇へと手が回る。

 「ひゃん?何してるんですか。や、やめてください。」

 つい。ついだが、いたずら心に火が付いてしまい、背中からフィアを抱きしめてしまった。

 陽が少しずつ傾き始めたころ、宿の人達が夕食の準備をせわしなく行っているわけだが、大食漢ぞろいの我が家のために追加の食材としてかしイモやパスタを茹でたりしているアニエスを見かけた。

 「アニエス、そんなにたくさんの芋をどうするの?」

 「はい、芽の出そうなところを摘み取ってかしたら、バターをたっぷり載せてみんなで食べるとおいしいですよ?」

 土のついた芋を一生懸命洗っている姿に、手が赤くなってると手伝いを始めると、タライに水を張った中から芋を取り出し、ひとつずつ手分けしてタワシでこする。

 タライに手を入れるとアニエスの手を間違って握ってしまい、お互いに見つめ合ってしまった。

 冷水で冷たくなってしまった手を水から引き上げ、両手で包んで温める。

 しどろもどろになりながら、どうやって手を取り返そうかと思案中の赤面したアニエスを見ると、「なんだこの可愛い生き物は?」って感じでお持ち帰りしてしまった。

 そんな馬鹿なことを繰り返しているうちに干しきれなかったシーツがいくつかと、畳み終わらなかったシャツが何枚も。食卓に上りきらなかった芋もいくつもあったためにシゲさんに俺が叱られたわけだ。

 うん。確かに俺が悪かったかもしれない。

 だが、俺は謝ったりしない。

 それが許される立場が今の俺だからだ。

 「しゃらくせぇ!お前が好き放題するから嫁さんたちの仕事が捗らないだろうが!」


 「申し訳ございませんでした。」


 食堂で嫁たちに頭を下げている俺は、絶賛土下座中であった。

 それぞれには別に怒っているわけではないのだが、やってることの腰を折られた訳だから、申し訳ないのは間違いない。

 「シロップ、アニエス、それとフィア、色々と申し訳ない。」

 「いえ、私たちが困っているのはそれが問題ではなく、そんな事実があったという事が皆さんに知れてしまっていて、恥ずかしいという事なんです。」

 アニエスが頬を染めながらもそれだけ言うと俯いてしまった。

 シロップはもう、夕焼けよりも真っ赤になって口を開くこともできない。

 「ソウタさん、シロップちゃん、アニエスちゃん、何にお困りですか?」

 「「「は?」」」

 「じょ、嬢ちゃん?いま、ソウタが羽目を外しすぎてみんなが困ったよな?って話だったんだが。」

 「そうなんですか?ソウタさん、ダメじゃないですか。何かお困りでしたらまずは私に言ってもらわないと困ります。」

 全員がフィアを見つめ、ポカンとしている。

 「フィアちゃんも困っただろ?ソウタが真昼間からイチャイチャして仕事が片付かなかっただろ?」

 「いいえ、いつものことですから余裕を持って家事をやってますよ。ソウタさんに愛してもらうのはいつも嬉しいですから。」

 「はぁ~・・・・」

 全員が大きなため息をつく。

 ためらうことなく申告するフィアは、ここに居る誰よりも落ち着き払い、何が問題なのか心底判っていなかった。

 そしてそうでなければいけないのだとシロップとアニエスに自覚させることになって、俺にはもう少し、人を労わることを自覚させられることとなったのだった。

 フィアの全く動じない性格と種族特性なのか、貪欲な性欲は包み隠すこともなく、本人から全肯定されると、それに一言物申そうという考えを持った方が負けだと強くみんなが自覚することになったのだった。

 「これだけは、おれはわるくない。」

旅の合間のバカバカしい話でした。

いつもこうだという訳ではございませんよ?いや、休みなんてめったにとらないので、こうしてキッチリ休むのもリフレッシュになるんじゃないかと言う提案だったりしたはずなのに、あれ?おかしいな?

お口から砂糖が。

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