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【第37話】水平線の向こうからの脅威

ちょっと読み疲れる内容です。

さっそう意識を手放した奴もいます。

 いくら紹介状があるとはいえ、部外者がいきなり司令官に面会できるはずもなく、事務方の偉い人(大尉)に紹介状を預けることになった。

 揃いも揃って13人の大所帯が押しかければ、大概の組織は訝しむことだろうと思うよ。

 見れば老若男女様々の寄り合い所帯の上、アマクサの領軍の兵や技術者が中心のいかにもな集まりだ。

 良く、陳情と言う手段をもって地方都市の有志連合が政治の中枢に訴えを届けるという事があるが、そうした問題提起と十羽ひとからげに扱われたようだった。

 鎮守府正門前で大人しく待つこと1時間、俺たちの話を聞いてくれた大尉殿が慌てふためき、走ってくる。

 俺たちに対し、守衛たちが失礼をしていないか問い詰め、守衛さんたちと俺たち双方がその様な事はなかったと証言することで大尉殿は命がつながったと言わんばかりの安堵の表情を浮かべる。

 守衛さんたちは、俺たちと雑談を交わしながら、温かい茶まで提供してくれたのだ。

 感謝こそすれ文句を言うなどとんでもないと大尉殿に伝えると、大尉殿はどういう訳だか守衛二人に涙ながらに熱い抱擁をプレゼントしていた。

 守衛の若い兵がそんなことで喜ぶとも思えないが。


 大尉殿はシゲさんとサチさんに紹介状の真意を尋ねつつ、俺とフィアをチラチラとみるのだ。

 「・・・あのお二人が・・・」

 内緒話が聞こえるのだが、聖銀の巨人について聞かされているのだろう。

 秘密にしているわけでもないので構わないのだが、フィアに見惚れるのはやめてもらおうか。

 ひと睨みすると、咳払いのようなものでごまかし、姿勢を正す。

 「皆様方に於かれましては長旅、大変お疲れ様です。」

 かしこまった態度で労いを受け、正門を開かれた俺たちは馬車ごと鎮守府へと入ることになった。

 中央の通りの両側にはいくつかの施設が並んでおり、どれが何かは俺たちにはわからない。

 しかし、大尉殿は真正面の迎賓館のようにも見える大正時代を思わせる造りの洋館に向かっている。

 「皆様方は、こちらでひと時お寛ぎいただき、海軍提督にお会いいただきます。」

 しっかりとした応接間に通された俺たちは、革張りのソファーに腰掛ける。

 若干沈みすぎると思われるソファーに座った俺は、フィアが驚かないように背中に手を当て、腰を支える。

 隣に座ろうとしていたフィアが不思議そうにして腰を下ろしたのだが、意味が分かったらしくピトリとくっついて寛いだ。

 浅く掛けたみんなは驚きもしなかったようだが、「うお?」と俺と同様に驚いたのはシゲさんだけだった。

 辺りを見回すと、南側は平滑度に欠けるガラスがはめ込まれた掃き出し窓。たぶん、外に出られるようになっているのだろうと思われる。

 入ってきた東側にはサイドボードも設えられており、高そうな洋酒の類が所狭しと並んでいる。

 サイドボードの中で俺の目に留まったのはグレンフェディックの35年だ。

 いいお値段がするだろう。

 入口の樫の扉を挟んで反対側にもサイドボードがあり、中をのぞくと文箱や封蝋のための燭台、実用性のみを追求したと思われる刀剣類が収められており、見る者の目を奪う。

 対面に位置する西側は壁面の中央に飾り棚が設けられており、海軍旗が壁面を覆い、棚の上には大型の戦艦の模型が飾られていた。

 「!?」

 模型に反応したのは俺だけのようで、他の皆は海軍旗の方がインパクトが強いようだ。

 模型は竣工当時の戦艦大和。

 フィアを肘で軽くつつき、こちらを向かせた。

 「フィア、あの棚の上の船が戦艦大和だ。全長263m、全幅38.9mの俺の世界で当時世界最大の戦艦だよ。」

 「それがここに飾ってあるのですか?」

 「ああ、なんでだろうな。乗員は3300名を超え、70年以上前の戦争で海に沈んだんだ。この前、アマクサの砦を見て俺が言ったことが判るかい。」

 「はい。アマクサの砦を見た時とあの船の本物を見た時にはきっと同じ感想を抱くと思いますね。ソウタさんのおっしゃった意味が良く判ります。」

 「ソウタはあの船が何だかわかるのかい。」

 「ええ、シゲさん。俺がこの世界に来る前の世界で、70年以上昔に起こった世界を巻き込んだ戦争があったのですが、その時にこの国が建造した戦艦です。

 当時最新鋭のあの戦艦は列強各国のどの戦艦よりも優れ、あの巨砲から撃ち出される砲弾は数多あまたの敵艦を殲滅するだろうと言われていました。しかし、開戦当時俺の国は敵に奇襲をかけ、初戦を得た時にああした戦艦ではなく航空母艦と言う船で空を飛ぶための機械を多く運用し、それを飛ばして敵の多くを撃ち滅ぼしたため、敵に研究され、戦艦より有効な空を飛ぶ機械によって沈められたのです。

 それを大艦巨砲主義といって、軍部の高官はその威力に縋り付いたものです。

 しかしながら、敵の戦略は的を射、戦艦大和もほとんど戦績を残すことなく海の藻屑と消えました。

 のちの世になって、古きを尊び、新しきを知ることこそ重要だったと戒めにも似た評価を下されたのですよ。」

 全員が俺の話に耳を傾け、意味を理解しようとしていたようだった。

 「さすがは迷い人のお方だ、異世界の誤った歴史について正しく理解しておいでなのですね。」

 どこから聞いていたのかは知らないが、60を過ぎた頃合いのそう背も高くない軍人が部屋に入ってきた。

 しかし、背筋のキッチリとしたこの老人は、ただならぬ威圧感をその身に纏い、部屋に居る一同をして大物であろうと思わせるに十分な迫力を持っていた。

 「この海軍鎮守府で司令長官を務めているイソウロクと申します。」

 深く腰を折る中に作法を感じさせられ、一同も座ったままではあったが礼をする。

 鋭かった眼光が穏やかになり、柔らかく微笑みながら司令長官が南側中央のソファーに腰を下ろした。

 「さて、ソウタ殿が話してくださった異世界の昔話も見識を深めるために誠に意義深いものですが、私の話も聞いていただきましょう。」

 こう切り出した司令長官は紹介状を書いてもらうことになった話の核心について触れた。

 「空軍総司令のアーノルド公爵からどのようにお聞き及びかは判らぬのですが、北の海では不思議なことが起こっているようです。」

 「私たちもそのように聞いております。哨戒艦隊がいくつか消息を絶っているとか。」

 「ほう、空軍の情報網も侮れませんな。そのとおり、ここ2か月の間に四つもの艦隊が行方不明になっております。最初の艦隊は軽巡を旗艦とした小規模の艦隊だったのですが、つい先だって行方が分からなくなった艦隊は重巡2隻に軽巡と駆逐艦を要した打撃艦隊規模だったのですが、未だ帰ってきてはおりません。おおかた沈んだものだろうとみております。」

 「そんな馬鹿な。」

 「さすがはソウタ殿、戦力の程度は理解していただけているようですな。」

 「いえ、それほどでは。北華が何らかの意図をもっての行動とお考えでしょうか?」

 「そうであれば返って容易いのです。北華の侵攻艦隊にも同じような被害が出ており、互いにすわ戦争かと息巻いたモノでしたが、意見の食い違いを整合してみるとそれぞれが全くの邂逅をしないままに行方知れずとなっておりまして、ちぐはぐすぎると感じております。第3の勢力が台頭している可能性も憂慮されるわけですが、近年に海軍力を伸ばした他国もなく、正体が分からないままなのです。」

 ずいぶんともやもやした状態だということが判ったが、それでどうなると言う物でもない。

 「空軍の総司令は何と?」

 あの紹介状には何と書かれていたのかと問うてみると、司令長官が破顔する。

 「それがですな、二通とも”ソウタ殿、フィア殿に任せておけば苦もなく解決するに違いない!故に丸投げしておけ”と書かれておりました。」

 「あいつら!」

 思わず悪態が口を突いて出た。

 公爵も侯爵もクズだった。

 紹介状と言う物がそんな内容で良いのか?という事だ。例えば、このような功績のある者たちが協力を申し出ているとか、あのような実力を持っているので協力を申し出てはどうか?とか、普通そういう助言めいたものを書くものだろうに。

 「任せておけばいい」とか、相手がリバイアサンとかだったらどうするの?って倒すか。

 リバイアサンぐらい蛇のデカいやつくらいだろう。それも一匹とかだったらレネゲイドの戦闘時間は2分もないだろうな。

 「・・・間違ってないのか?」

 「間違っては居ないのですな。」

 「ええ、リバイアサンくらいの敵であれば、畑からミミズを摘むようなモノかもしれませんね。」

 「は?なんと申された。」

 「いえ、聖銀の巨人があまりにも強すぎてですね。この世で比較できる魔物がちょっといないのです。」

 「ふむ、おっしゃることが本当だとすると、空軍総司令の言う事も頷けます。」

 妄信的に信じてしまうのはこの国の人達の共通した国民性なのか?

 「敵がリバイアサンかどうかについては断言はできかねますが、四つ目の艦隊が消息を絶った時には支援に訪れた艦隊が海域から去って行く魔物を見たと報告しているのです。

 巨鯨とも海月くらげともつかない大きなものだったそうです。」

 なんとなく引っかかるものを感じ、質問を重ねる。

 「相当に大きなものだったのでしょうか。また、例えを聞く限りでは丸みを帯びていたのですね。」

 俺の脳裏にあったのは攻撃型の潜水艦である。

 戦略型と攻撃型の二種類が相手に対するダメージディーラーであり、戦略型は敵国の主要な都市を攻撃する。または、基地や拠点など要所となる場所を地理的に攻撃する能力を有する潜水艦だ。

 攻撃型は自身と同じように海に存在する敵の兵力に対し攻撃を加え、戦力を殺ぐための魚雷やミサイルを搭載し、敵艦隊の殲滅を目的としている。

 そのような海に隠れ住む忍者を想像しているのである。

 似たような特徴を持つ魔物の存在も否定はできないのだが、人為的な悪意を感じてならないのだ。

 しかし、北華にもこの国にも害意を持つ諸外国となるとどこなのだろうか。

 この世界を形作る地勢を理解していない俺としては、魔物でなかった場合の第3勢力について想像することは難しいのだ。

 また、同行してくれたメンバーにも世界情勢に明るいものは居そうになく、司令長官にでも聞くしかないのであろうか。

 「司令長官、北華の北に大きな国家があったように思います。また、トウトより東、海原を越えた先にも大陸があったと思うのですが、これらの国はいかがでしょう。」

 「ローレシアとアイアメリカのことか?ソウタ殿は随分と広い見識をお持ちなのですな。

 ローレシアは北華と同じ教義に基づいた国家戦力を展開しておりますが、北華と特に親しいわけではありませんし、今のところ極寒の海峡を抜けて作戦を遂行するような戦力を有するには至っておりませぬ。

 アイアメリカは広大な土地と豊かな国力を誇り、国家警察を自称しておる国ですな。

 確かに海洋国としても一級であり、無視できない海軍力を有してはおりますが、私たちと事を構える意味が分かりません。」

 確かに。

 アメリカが今攻め込んでくる意図は知れないが、あるとすればアジア方面よりアメリカだろう。

 アジア方面に植民地政策を敷き、国力を増すための奴隷商売などを地球の欧州列強のように考えたとしてもおかしくはない。

 「もう一つですが、西方諸国とその更に西の白人種については何かご存知でしょうか。」

 驚いた。という顔をする司令長官は扉の側に控えていた文官に数人の名前を伝え、急いで集まるようにと指示を出した。

 「ソウタ殿、そなたが考えているようなことが本当に起こるとお考えか?」

 「いえ、可能性の話です。俺の居た世界で戦艦大和が何のために建造されたとお思いですか?”大アジア共栄圏思想”です。結果として間違った政策になってしまいましたが、白人種からこのアジア人種を開放し、アジアは手を取り合って発展すべき。こうした思想に基づいて世界に打って出たのです。」

 「ソウタ、お前たちは何の話をしてるんだ。」

 完全に置いてきぼりになっているシゲさんやフィアたちは重い話だということが伝わっているようで、茶化したりはしないが良い話ではないのだろうという雰囲気を察しているようだ。

 「シゲさん、申し訳ない。ただの想い過ごしだったらよいのですが、事態が悪い方へ転んだ時のために確認しておく必要があるのです。

 俺たちの先祖が経験した辛い体験をフィアにさせるわけにはいきません。胸騒ぎが本当だとするなら、バスターランチャーが間に合ったことは一つの福音かもしれませんが、それでも世界中で多くの命を散らすかもしれません。

 司令長官、文官団だけではなく技官の方々にも相談があります。」

 「相分かった。すぐに呼集を掛けるとしよう。先に文官たちと確認作業を行ってくれるか。作戦指令室へ移動してもらう。皆さんも他人事ではありません、一緒に移動してもらえますか。」

 「戦乱の兆しがあるのでしょうか?」

 明らかに不安そうなサチさんの言葉だ。

 俺は不安を煽ったりしないように言葉を選びながら説明を加える。

 「海軍の艦隊が襲撃を受けたというのは聞いた通りです。しかし、誰が襲ったかは判っていません。

 そこで、魔物が襲ったのだとする場合と、誰かは判りませんが人が襲ったのだと考えた場合とに分けて考えようとしているのです。

 魔物が襲ったとした場合、それはどのような魔物なのか?何かの予兆なのか?どのくらいの規模なのか?をこれから確認しなければなりません。

 それでも、大概の場合は魔物を討伐すれば解決するでしょうし、レネゲイドがあれば容易い部類になると思います。

 半面、これが人による襲撃であったとした場合はどうでしょう。近隣の諸国は海軍力に秀でた国がないとすれば、大陸の列強という事になります。それらがどのような思惑で軍事行動に至るのか?自国の国力を増すために資源のある国を占領したり、安価な労働力を得るために弱小国に攻め入り、その国を隷属化したうえで奴隷を集めるかもしれませんね。

 初戦で相対すると考えられる国の国防力を測る。勝てそうだと思えば攻めてくるでしょうし、そうでなければ別の国を狙うでしょう。

 どのような目的の元に行動しているかは判りませんが、我が国のためには良くない場合が考えられます。

 それで、世界中にある列強の最近の動向などが判れば自衛策も立てられ、敵対する相手を絞ることもできるでしょう。と、言う事です。

 お分かりいただけますか?」

 「はぁ。判りますが、この国はそのような危機に直面しているとお考えなのですか?」

 「いいえ、それを確かめようというのです。いたずらに不安を煽るようなことは控えましょう。」


 それから1時間ばかり、俺たち(フィアと二人)がこれまでどうして来たかを大まかにかいつまんでおさらいした。

 下士官の一人が外から部屋に入り、準備が整ったことを告げると俺たちは一様に席を立ち移動を始める。

 同じ建物内ではあるが、二回ほど階段を下り、奥へ奥へと進む。

 魔道具を用いた照明が煌々と灯り、地下の廊下は昼間のように明るかった。

 最奥にある重厚な扉が開け放たれ、そこに幾人もの上級兵士たちが揃っていた。

 先に文官たちとの話し合いという事だから、情報将校と言ったところだろうか。

 「みな、集まってもらってすまない。緊急で確認しておきたい事案が発生しているために集まってもらった。こちらにいらっしゃるのはあの、聖銀の巨人の搭乗者とそのスタッフの方々だ。」

 どよめきが起こった。

 「我らが艦隊に起こっている不可解な遭難事件について情報の共有と対策の立案を検討したいのだ。イウロペの白人種たちの動向とローレシアの最近の動向、加えてアイアメリカの情報を持つ者がいたら話してくれるか。事態は猶予ならぬ状態にある。

 情報統制を解除するので、今ここですべての情報を審議したいと思う。」

 何故部外者のいるここで?という最高機密を共有しようという司令長官の表情は真剣で、文官団にも緊張が伝わる。

 「では、私がイウロペの最近の動向をお伝えします。」

 最初に口を開いたのは細面の短髪が似合う日に焼けた浅黒い肌の文官だった。

 こんな健康的な文官は知らないが。

 「イウロペの列強各国は最近、ローレシアと緊張状態が続いております。と言いますのも、ゲーマニアンが政権交代の選挙で狂信的な民族主義を打ち出した政党を担ぎ上げたばかりに、国全体に白人優越主義が蔓延っており、一等臣民、二等臣民などと先祖にさかのぼって選民思想による人種選別を行っているようです。

 これに反対する周辺国もあったようですが、ここ数年のうちにそうした国は攻め込まれ、ゲーマニアンに併合されるか完膚なきまでに殲滅されてしまっております。

 事態を憂慮したイウロペの各国はゲーマニアンを刺激しないように協調路線を取り始めており、インディーラ方面へ資源搾取のために侵攻を開始しております。

 ところが、インディーラはローレシアに資源を提供し、庇護下にあろうとしているため、現在はローレシアとゲーマニアンの間で緊張が高まっているような状況です。」

 聞きしに勝るヤバさだ。

 これをうけて、更に日に焼けた文官が口を開く。

 「我が国を取り巻く越比えっぴ諸国連合圏は今のところ具体的な緊張状態にはありませんが、ご存知の通り北華は我が国と常時臨戦態勢にありますし、西華はローレシアがイウロペと緊張状態にあることから西側に防衛拠点を構築しております。

 タイ以西でもインディーラからの移民に神経をとがらせております。ゲーマニアンがインディーラにちょっかいを掛けようとしていることが周辺での緊張につながっております。

 最近では西華の海軍力がとみに強化されておるようで、越と領海を巡って幾度か小競り合いがあったことを確認しております。今のところは西華が越を上回ると言うほどではありませんが、近いうちに軍事力が拮抗するものとみております。

 この裏にアイアメリカの暗躍も見えており、技術供与や武器供与が公然と行われております。対価として海洋航路の越による確保と海底資源の優先的な提供が行われていることを確認しています。」

 最後に口を開いたのは筋肉質で武官では?と思える偉丈夫の男だ。

 「アイアメリカは私の担当となっております。ここしばらくは大きな政変などもなく落ち着いた様子を見せておりますが、先ほどの報告にあるように国力、特に資源の備蓄または消費にかなり積極的で、情報筋によりますとアイアメリカから東進し、ゲーマニアンの勢力圏を脅かす計画があるそうです。アイアメリカの祖国であるイングリーンランドがイウロペで孤立していることに対する救援策ではとの見方が強いようです。

 飛龍による攻撃部隊を効率的に移送し、敵地にて反復攻撃を行う施設を開発し、運用を開始したとの情報を得ております。

 もう一つの情報では海中を進む兵器も開発しているようで、敵に気取られず接近し、殲滅するようなものだと聞いています。これは我らの装備では探し当てることも叶わず、脅威と言わざるを得ません。我が国近海に来られますと通商破壊などが懸念され、ほとんどの資源を国外からの輸入に頼る我が国の生命線が脅かされることになります。」

 「手遅れです。」

 俺の強い一言に偉丈夫の文官は語気を強める。

 「なんだと!」

 「手遅れだと申し上げています。アイアメリカは我が国の近海で実用化に成功した潜水艦による海軍への攻撃を始めています。これからも被害は増え続けるでしょう。」

 水を打ったように静まり返る作戦指令室。

 「せんすいかんとはどのようなものだ。」

 冷静さを保っている司令長官が俺に尋ねる。

 「水に潜る艦と書いて”潜水艦”です。この艦は攻撃行動に移る際に海に潜り、海中から魚雷を発射して敵艦を攻撃します。魚雷はこちらの海軍と同じ打ち放しでしょうから、発射直前の狙いは潜望鏡と言う水面に覗かせる筒をせり出させ、視界を確保したうえで未来位置を調整して撃ってくるでしょう。

 こいつを見つけるには潜望鏡を発見するしか当面は手段がないでしょう。

 MADシステムがあれば正確な位置をつかめるんだがな。」

 そういえば、レネゲイドには磁気探知システム(MAD)が搭載されている。


 作戦の大綱は後で詰めるとして、アイアメリカの潜水艦はレネゲイドが捕まえられるかもしれないという前提で話を進める。

 ただいつまでもという訳にもいかない点と、技術格差を埋めるための努力が必要だ。

 ということで続けざまに技官団との会合を始めた。

 「磁気とは何だ?」

 「そこからか。」

 アイアメリカやゲーマニアンとの技術格差は相当に大きなものがあると覚悟した方が良さそうだ。

 「技官だけでは無理です。技術開発に携わるような研究員を呼んでいただけませんか。ここで一気に対策を組み立ててしまいましょう。」

 「なにお!我らだけでは国難を打開できないと申すか?」

 「はい。はっきり申し上げて私たちの技術者の方が10年以上先を行っております。あなた方の下で働く研究員の中にはそうしたものに目鼻が利くものもいるでしょう。

 そうした人たちに一刻も早く対応策を実現してもらわなければなりません。どうか、同席して内容の理解に努めてください。」

 まあ、憤るのも仕方がない。お前たちでは役に立たないといっているのだから。

 しかし、事態は急を要するとしか言えない。

 数人の若い技官が集められ、このメンバーに訳が分からないという表情だ。だが、構っている暇はない。

 「皆さん、鉄が磁石に引き寄せられるように作用することはご存知でしょうか?大丈夫そうですね。

 潜水艦を探すという事は海中を航行しているこの磁石を探すようなものです。

 そのために必要な技術的分野をお教えしますので、可及的速やかに実現してください。

 そしてもう一つ、今の技術は受動的に敵を探るものですが、次は能動的に敵を探るための技術です。

 海中に音波を撃ち出し、周辺に反射して帰るエコーの中から敵を炙り出す技術です。

 班分けしてそれぞれが集中的に取り組んでください。中心的な役割を担う方は両方に気を配り、共通する技術は早い方を採用し次々と別の課題・問題に取り組んでください。

 結果的に出来上がってから途中で止めた研究を進め、両方を評価してさらに改善します。

 より良い方を取り入れていくことで性能を後から高めるのです。まずは手段を入手し、よりよい方法を後から模索することが重要です。

 次にアイアメリカは海上に展開できる飛行場ともいえる船を開発しているそうです。

 飛龍の部隊を搭載して敵地周辺まで迫り、反復して攻撃を行う事ができるそうです。新機軸ではありますが、いつかは誰かが開発するモノです。

 そしてそうした新しいものには必ず対抗策も磨かれていくでしょう。大量の飛龍に対抗する三式弾を開発していただきます。

時間があれば電探を開発して敵の接近を知りたいところですが、喫緊の課題ではないのでこれは後に回します。」

 ここまでを一気にしゃべり切り、辺りを見回すと若い技官の目の色が変わっている。

 対して高官の技官団は開いた口が塞がらないと言う表情だ。固くなった頭では完全についてきそびれたようだ。

 「で、では、さっそく開発にかかれ。昼夜を問わず24時間を3交代で回せ!要員を確保しろ、資材をけちるな。

 すべての駆逐艦を戻すんだ。戦艦はすぐに改装準備、主砲に三式弾が入るように口径を揃えるんだ。46センチに統一せよ!

 空軍に連絡、飛龍哨戒部隊を借りる手筈だ!ソウタ殿の名を出せば100や200は借りられる!かかれ!」

 いや、100は無理だろ!

 心の中で盛大な突っ込みを入れたのは言うまでもない。

 技官の皆さんは3交代らしいが、俺はどうなるのだろう。

 「司令長官、私も協力はするのですが体が一つしかありません。どんな順で皆さんと共にしたら良いでしょう。」

 「うははは、心配はいらん。朝の8時から夕刻の5時までは磁気探だ。そこから深夜2時まではソナーで、朝までは三式弾に携われば無駄がないだろう。」

 殺す気か?

 フィア、何とか言ってやれ!

 「・・・」

 いつの間に寝たんだよ。

今話もお読みいただき、ありがとうございます。

前書きでお知らせしました通り、堅苦しく読みにくい内容だったと思います。

緊張感の演出だと思っていたのですが、本気で読みにくい。

伏してお詫びいたします。申し訳ないです。

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