【第3話】フィア
書きダメがないので、書き上げた傍からの投稿ですが、ちょっとずつ長く続けていきます。
6月20日に誤字修正。
父とアーディを乗せた馬車は、御者の乱暴な操車で慌ただしく走り出し、町のほうへと戻っていった。
その間にもオログ=ハイは何かに追われるように道へと逃れ出てくるようだ。
バキバキと倉庫の崩壊音が聞こえる。
「くっ!、お父様が苦労してここまで漕ぎ着けたというのに簡単にやってくれる。」
奥歯がギリッと音を立てた。
とにかく、オログ=ハイを街にやるわけにはいかない。
様子を探るに、あいつは何と争っているのだろうか?
トロールも上位種ともなれば相当の戦闘力を誇る。正規の軍でもオログ=ハイを屠るとなるとただの一匹にも甚大な被害を覚悟しなければならない。
にもかかわらず、オログ=ハイが相手しているのはそう多くの相手ではないようだ、。
バキバキバキバキ、いよいよ倉庫も限界を迎えたようで棟、梁が崩れ落ちる。
もうもうと舞い上がる土煙の中からオログ=ハイが逃れ出てきた。
後を追うように風が吹いたような気がした。
瞬時ののち、オログ=ハイの太い幹のような右足から血飛沫が舞い上がる。
纏いつくように右足を薙いだ風は左足へと遊ぶように渡り歩く。そして・・・
左足は足の付け根からもぎ取られるようにオログ=ハイから離れてゆく。
ウウォオオオオオオン!
堪え切れない痛みなのだろうか、オログ=ハイはのけぞるように伸びあがり、背中から倒れた。
あの風は、空気の流れのようにも見えはしたが、魔族に物理的に傷を負わせ、その命をも奪って見せた。一体どのような力が働いたというのだろうか。
昏倒したように動かなくなったオログ=ハイは時々、ピクリと痙攣する。
絶命したわけではないようだが、これ以上被害をもたらすこともないように見受けられる。
「あのオログ=ハイをこうも容易く屠る者とは?」
ソウタにしても容易にオログ=ハイに近づくわけにもいかないが、あの謎の風のこともある。
自身に襲い掛かるかもしれない謎の存在は、静寂を保つものの決して緊張を解くような状態でもないようだ。
緑色の血液を流し続けるオログ=ハイは取り敢えず放置しても間もなく絶命するだろう。
しかし、その結果を導いた風の正体は図りかねる。
かと言って安心を得る状態でもなく、葛藤を続けるのももどかしいソウタは恐る恐るではあるが、現状を確かめようと気配を探りつつ近づいて行った。
「あのぅ、ちょっとよろしいでしょうか?」
「うぁあ!?」
戦闘の現場に恐る恐るも近づこうという矢先、真横にいきなり人が現れた。
ほんのわずかに風を感じたように思ったが、そんなことはどうでもよくて、この人はどこから湧いて出たのだろうか。
「あのう・・・」
固まってしまった俺におずおずと遠慮がちに語り掛けてくるこの少女は、「女の子」は肩で息を弾ませ、上気した様子ではあったが俺より頭一つ低い背丈に黒に近い茶色の長い髪。
ルビーのような朱色の双眸。
華奢な痩身の女の子であったが、その身に似合わない大ぶりな両手剣を軽々と片手で構え持っているような非常にアンバランスな見た目の少女であった。
トロールの緑色の体液で刀身は濡れひかり、オログ=ハイが何と、誰と争っていたのかわかった。
「君があのトロールと戦っていたのかい?」
「ハイ、昨夜里へ下りてくるトロールを見つけまして、山の中で何とかしようと思ったのですが、意外にもあのトロールのスタミナが尽きなくて時間がかかってしまいました。」
「一人でトロールを相手に?」
「ええ、私冒険者パーティーには入っていませんので、仲間がいないので。」
しばらく互いの自己紹介めいたものを交わしたのちに、彼女の名前がフィアであること。
ソロで冒険者家業を1年続けていることなどが判った。
話の区切れ目で、フィアは真剣な表情にあらたまり、少しの逡巡の末に小声で訪ねてくる。
「ソウタさんは今夜お暇でしょうか?」
「は?」
食事のお誘いであろうか?
「よろしければ今夜、ソウタさんのお部屋にお伺いしたいのですが、ご予定などはありますか?と、お聞きしています。」
「あの?フィアさん?」
「フィアとお呼びください。私はサキュバス種なので誰かに仕え、誰かに支配していただかなければ与えられた寿命も、なすべきことも叶えられないのです。そうした意味からソウタさんにお力添えをいただきたく、こうしてご相談をさせていただいているのです。」
ソウデスネ。
あなたがサキュバス種だとすれば一定の年齢を迎えたあとは生きながらえる方法はそう多くはないでしょうね。
一般的にサキュバス種は15歳になるまでは普通の人族と全く差異は見受けられないのだが、15歳を超え成人すると途端にその違いが明らかになる。
「魔種」と言われる種族は人を媒介とし、成人後の成長を成し得る。
それまでに当たり前の食事を経口摂取することで成長の糧を得ていた淫魔種のサキュバス種は成人を迎えるころから急激に体質に変化が現れ、吸魔種のドラキュラは人の血液を。サキュバスは人の精を得ることで命を長らえ、成長を果たすようになるのだ。
精霊種族の中でも特別に「特殊」と言われる所以であるわけだが、エルフやシルフ、ドワーフなどは成人後も経口摂取による食事でも成長するし、人族の寵愛を受けてその生を全うすることもできる。しかし、淫魔族に限っては口から食べる食事によるエネルギーの獲得を成人後は全くと言っていいほど放棄してしまうのだ。
男性の淫魔族は女性の人族を。女性の淫魔族は男性の人族を伴侶とし、その精を受けることでしか生きることができなくなり、そうでない場合には人の何十倍もの速度で老化し、死に至る。
ゆえに淫魔種はその子孫を反映させることを不得意としており、偶然だろうと半ば強制だろうと機会を得たものだけが、次の世代を残すことに成功するという希少種なのであった。
フィアもすでに15歳を超え、食事による成長が望めなくなっているのであろう。
また、今現在においては生命力が枯渇し、人族の精を受けなければ遠くない将来というよりも、近日中に天に召されることになるのであろう。
「フィアはパーティーに入っていないと言ったな?」
「ハイ、そう申し上げました。」
「成人後はどのようにしてその命数を保つことができたんだ?」
そう、主従の絆を持たない場合の多くは、娼婦のように精を求めることになる。
人族の精であればさえ満足するかのように、貪るように人族に体を開くものも多いこの種族は、場合によっては望まぬ病をその身に隠し持っている場合もあり、最悪の場合には当人にも自覚のないままに人族に対して性病を蔓延させ得る場合もあるのだ。
小さな村がこれらの意味から滅び去ったという事も枚挙にいとまがない。
希少種であると同時に、災厄をもたらす場合もあることから、その扱いはとても微妙なものである。
「・・・ソウタさんがご心配されることについては、十分に承知しております。しかしながら、私は昨週に成人を迎えた15歳ですので殿方との経験は全くございません。命の糧を得る手段が変質してまだ4日ほどしか経っておりませんので、ご迷惑をおかけするようなことがないと断言いたします。美味しく頂いてもらえませんでしょうか?」
「は?」
何を言ってくれちゃってんの?
この娘は自分が生娘であるから、安心して抱いてくれという訳である。
この世界でも性に対する教育は俺のいた世界とそう変りもなく、若いうちには教わることのない知識も年を経るとともに周囲から学んでいくようなものなのである。
妹のアーディも最近そうした知識が周りから耳に入るようで、ませたというか生意気なことを言うようになってきている。やりにくくてしょうがない年ごろだろうか。
「フィアのお誘いは大変に嬉しいんだけど、そんな大事なことを簡単に決めちゃっていいのか?」
キョトンとした顔でフィアが見詰めてくるんだが、俺は何か変なことを言っただろうか?
「ソウタさんは初物をいただくことに何か抵抗でも?」
「チガウ、そうじゃなくてな、小さい時から思いを寄せていた幼馴染がいたとか、近所に住んでいるかっこいいお兄さんに憧れていたとかそう言うのあるだろう?」
「ないですよ?」
「・・・」
会話にならんわこれ。
「今日あったばかりの俺なんかでいいのか?明日もっと良いやつにあうかもしれないだろう?」
「そうでしょうか?契約を交わしてご主人様になっていただけるならともかく、今日の食事に事欠く私ですので、助けると思っていただければそれ以上は期待もしていませんし、さくっとお願いします。」
元気に頭を下げるこの子を見るからに、夕食程度にしか考えていないようだ。
俺の貞操観念が間違っているのかと思い始めるところだ。
「フィアの考えは分かったよ。でも、連れて帰ってさぁ、いただきます。ってわけにはいかないんだよな。」
どう考えても普通に連れて帰るわけにはいかない。
「ただいまー。ちょっとそこで会った子に頼まれたんで今からいただいてきます。」
って、完全に死亡フラグだ。俺の人生がそこで詰んでしまう。
「ええ、ですから今晩お部屋に伺います。」
「俺の住んでるところ判るのか?」
「少し屈んでいただけますか。」
今一会話の噛み合いが悪いんだが、言われたとおりに目線を合わせる感じで屈んでみた。
「っ!?」
突然のキス。ちょっとくっついた?みたいな短いものだったが、瞬間に唇を噛まれた。
僅かに出血したようだが、フィアは自然な流れでそれを舐めとってしまった。
「何してんだ!」
「・・・」
「おい、どうしたんだ?」
自分でキスしておいて、突然に黙り込んでしまった。
「随分変わった血をお持ちなんですね。いえ、でもこれでどちらにいらっしゃっても大丈夫です。では、今夜ソウタさんのお部屋に伺わせていただきますので、よろしくお願いします。」
フィアは、そう言い置いて唐突に姿を消した。
僅かに風の揺らぎのようなものを感じた時にはすでにその姿を消してしまった。
「・・・なんだったんだ。」
薄く煙の立ち上る倉庫のあった場所。
瓦礫と化した建造物は、もはや見るも無残な状態であった。
これから刈入れの時期を迎える田畑には重大な被害はないものの、倉庫が出来上がり、備蓄場所が確保されてこその耕地拡大計画だっただけに、収穫後の保管場所には早急な対応策が必要になるだろう。
そうそう、トロールの肉って旨いんだっけ?
革は軍に卸した方が高いか?
瓦礫と化した倉庫と田んぼの間を通り抜ける広くない道を通行止めにしているオログ=ハイの死体を始末するところから始めないとな。
領地軍が検分に来たり、町の連中がトロールの解体に集められたりと日が落ちるまでその後始末が続き、俺が屋敷に戻れたのは夜も随分と更けてからのことだった。
お父様もお戻りになり、自室でお休みになるという事で多くを話すこともなく今夜は解散となった。
アーディはこの時間にはすでに夢の中へと旅立っており、俺は一人でこのデカい屋敷のことさらに大きな応接間で一人、寝酒を楽しんでいるところだった。
麦酒も保冷庫には入っていたのだが、あちらのビールとは違い何とも言えない苦みというかエグミがあって俺の口には合わない。
氷も貴重品ではあるのだが、そこは格式のある我が家という事で遠慮なく米の酒を冷やし、ちびりちびりと舐めるように楽しんでいた。
米の穀倉地帯であることから、日本酒と全く同じ製法で作られる酒が楽しめるのだ。
冬は燗をつけるとまろやかに楽しめるし、この時期はまだ冷酒というのもおいしく頂ける。
一合ほども飲んだところで簡単に片付け、部屋へ引き上げることにした。
二階への階段を上がるところでそういえばと思い出したのがフィアである。
我が家のことも詳しく教えてはいないが、本当にやってくるのだろうか?
昼間の出来事がどうにも真実味に欠いているというか、サキュバスに気に入ってもらえるというイベントがあったというところだけが交わした言葉も含めてぼんやりとしているのだ。
「まぁ、来たときは来たときだろう。」
自分なりに腑に落ちてはいないものの、からかわれたのかもしれないし、本当にやってくるかもしれないし、いずれにしても自分に損はないのだからと、納得することにした。
ほろ酔い加減で自室の前にたどり着き、部屋の扉を開けた時に屋外の樹木独特の香りが部屋の中からあふれ出てきた。
「窓が開いているのか?・・・っ??」
本当にサキュバスが来たのか?という驚きとも確信ともつかない戸惑いが、ドアの残りを急いで開かせた。
そして、見たものは・・・明かりのついていない部屋の開かれた窓に肘をつき、両手に顎を乗せ、夜空を見上げている少女。
入り口のドアが開いたにもかかわらず微動だにしない少女。
俺は自分の鼓動が少し早くなっていることを自覚しながら部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。
「フィア、いつからいた?」
最初から誰だかわかっていたというような落ち着き払った態度でフィアは顔をこちらに向け、僅かにほほ笑んだようだった。
月明かりしかない部屋ではその表情のすべてを読み取ることは難しい。
しかし、フィアは確かにほほ笑んでいた。
柔らかい笑みを浮かべるフィアはようやく窓際を離れ、腰を起こしてこちらに向き直った。
「ソウタさんこんばんは。遅くまで大変でしたね。」
まるでいつもそうしているような挨拶を口にし、いつもそうだと言わんばかりに俺のベットへと歩み寄る。
「ソウタさんもお疲れでしょうから、早く済ませてしまいましょう。」
決定事項を予定通り実行するのだと言えばそうなのであろうが、丈の短い大人しいデザインの白いワンピースを着たフィアはベットまでたどり着き、さも当然といった仕草でその衣装を脱ぎ落した。
「お、おい?」
瘦せギスではないが、15歳の少女の肢体はよく鍛えられた張りのある様子で、堂々とした態度から下世話な思考ではなく、スリムな裸体は一幅の絵画のようであった。
一糸まとわないフィアがするりと俺のベットに潜り込んだとき、俺の意識が戻ってきた。
「おい、本当に今からその、なんだ、なさるのか?」
状況を分析する思考が働かないうちに状況が進行し、状況が整っている。
こんな安易なことでいいのかという疑問と、この種族独特の現象についての理解があっても背徳感というか、犯罪臭というか、道義上のルールというか色々がすっ飛ばされているように感じる。
「日中に申し上げましたように、私も成人を超えており今後、自分の生を全うするためには今日のようなことを今後も続けていかなくてはなりません。お情けを頂ければ明日の糧となりソウタさんのお役に立つ機会も与えられるかもしれませんし、本来の主従契約がなされればよりお役に立って見せることも可能です。」
小悪魔のように俺のベットから視線を向けるサキュバスは多分本音を聞かせてくれているだろう。
それが判っているからこそその期待には応えたいと思うが、日本人だった俺がこの世界を理解し、適応するまでに経てきた時間と経験を斜め上に吹っ飛ばすような今の状況を正しく理解して行動するべきか判断に迷うところである。
「私たちサキュバスは契約を結ぶことで契約主と同じ寿命を得ることができますが、そうした主人を得られない場合はこうして相手をしてくださる人族の魔力を精として分けていただくしかないのです。また、ソウタさんのようにサキュバスに精を与える方は、ご自分にとって益があるかを試すことができます。」
フィアが言うとおりであるならば、このお試し期間中にそのサキュバスを気に入れば主従契約を結ぶこともできるし、気に入らなければサキュバスは別の主人を求めて離れていくという。
いずれにしてもサキュバスには生きながらえる手段であり、契約主となる相手にはその能力を自分の手に入れることができるという事になるのだろうか。
「わかったよ。とりあえずは一晩頼むことにしよう。」
この世界にやってきてから俺もそうした経験はないし、久しぶりのことに興味がないわけじゃない。
ただ、お相手が15歳というのだけが心のハードルを越えることを拒んでいるのだ。
なんて紳士ぶったものの翌日の朝、久しぶりの達成感をその身におぼえながらもいつも通りの時間に起床する。
眠りに落ちる時は俺の隣で何とも言えない満足そうな表情で眠る少女がいたのだが、目覚めてみるとベットにその姿はなかった。
「夢だったか?」
そう独り言ちてベットから抜け出した。
しかし、フィアはいつ出ていったのだろうか。
ただ、その気配を感じ続けている。
窓は閉まり、部屋にいないことは間違いないのだが、フィアの気配を感じるのだ。
まぁ、フィアが必要だと思えばまた現れるであろうし、こちらの一助になるようにと手助けもしてくれるのだろう。
今は思慮を重ねる時ではない。
昨日の騒動についてお父様と今後の対応について詰めていかなければならない。
まずは身だしなみと食事だ。
アーディも昨日は怖い思いをしたろうし、そのフォローも必要かもしれない。
洗顔を済ませ、階下へ降りると食堂にはお父様もお母様もすでに席についておられ、アーディもいつものように笑顔で迎えてくれた。
「おはようございます。アーディもおはよう。昨日は怖い思いをしなかったかい?」
自分の席に向かうとメイドが席を引いて掛けさせてくれた。
途端、アーディが怪訝な表情を浮かべた。
「お兄様、香水をつけておいでですか?微かに涼しげな香りがしますが?」
咄嗟に肩が跳ね上がるのを止められなかった。
それはきっとフィアの匂いなのだろうか?いつもそんなことを言われることもなかったし、香水を使うこともないので、間違いなくいつもと違う何かを感じたのだろう。
「い、いや、気のせいではないか?昨夜は帰りも遅くなったので風呂にも入っていないのだよ。森の匂いでも移ったのかもしれないな。」
自分でも見当違いなことを口にしているとは判っているのだが、下手な言い訳を口走ったものだ。
フィアは昨夜の出来事の後、ソウタの就寝を確かめこの邸宅の周囲に茂る木立の中に身を置いていた。
「あの方は・・・どういった方なのだろう?」
そう、肌を合わせ情けを受けるのは実のところフィアにとっても羞恥の極みではあったのだが、種族特性からそうせざるを得ないし初めての相手がソウタであったことも何の不満もなかったのだ。
が、受けた精を吸収して気が付いた。
自身の中にあるステータス。自分の能力値がけたたましく向上していたのだ。
特に敏捷、体力、魔力値。
個人の能力を表す指標として「ランク」がある。
これは様々なステータスの蓄積と向上によって1から10まで変化する。
ステータスには「体力・魔力・器用・敏捷・筋力・耐久」があり、それぞれが経験を重ねることで1から20まで向上する。全てのステータスが21になるときにランクが1上がり、ステータスは1に戻る。
例えば敏捷以外が20に届き、敏捷がいつまでも20にならないと魔力や器用が21になる経験を重ねても敏捷が20になるまで魔力も器用も上昇しないのだ。
昨夜までのフィアのランクは「2」ステータスの内容はこの通りであった。
ランク2
体力8
魔力10
器用18
敏捷3
筋力17
耐久20
一夜明け、今のステータスは次の通り。
ランク3
体力1
魔力3
器用1
敏捷3
筋力1
耐久1
そう、ランクが更新されているのである。
しかもランクが更新された際にすべてのステータスがオール1になるハズにもかかわらず魔力と敏捷が3と一歩余計に加算されている。
特筆すべきは敏捷だろうか。ランクが上がる前にステータス3で、ランクが3になっても3という事は、一晩で20もの加算があったことになる。
最初は戦闘経験を経てそれだけの貯金があったのでは?とも考えたのだが、これまでの戦闘においてステータスの蓄積はせいぜいが2、3の上昇幅にしかなっていなかった。
昨日の昼間にソウタの血の匂いを覚えるために交わした口づけの時にも思ったのだが、経験のない「馴染む」感覚があった。
業腹ではあるが、既知の間柄であるこれまでに縁を結んだ両親であったり、成長の過程で世話になった祖父母よりも血の近さ?または血の深さを感じている自分に感慨を覚えるしかなかった。
お読みいただき、ありがとうございます。
今後の展開もシリアス系ではなく、軽い掛け合いでソウタとフィアの関係を築いていきたいと思います。
重いシーンは自分が読み手として苦手意識が強いので、どこまでもライトなノベルになるように肝に銘じていきたいと思います。