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【第117話】ヨランダ=ダラゴナという娘(1)

いつもお読みくださって、ありがとうございます。


お時間を頂き、申し訳ありませんでした。

ここからはまた週一ペースで行けると思います。

 自警団からヘッセン子爵が帰ってきたのは俺がバハムートを畑の肥やしにして館に戻ってからだった。

 「ギーフでバハムートの巣から卵を盗んだ者が・・・って、レネゲイドが居ますね。

 もしかしてバハムートはお館様が?」

 妻や子供たちも庭に戻って来てて、メイドさんに淹れてもらった紅茶を楽しむひと時を過ごしているところ。慌てて帰ってきた子爵様だったが、庭先に自己修復モードでメンテナンスをしているレネゲイドを見て悟ったらしい。

 「ああ、お帰り。バハムートはちょっと焼き過ぎちゃって使える所も食べられるところもなかったんだ。」

 「惜しいことをしましたね。」と言うヘッセン子爵に聞くところによると、飛来したバハムートはギーフの高地に営巣していた個体で、10年以上も大人しくしていたそうだ。

 「その卵泥棒かどうかは知らないけど、あ~?、う~ん?なんだっけ?オラオラ侯爵・・・違うか。よれよれ?なんか、そんな感じの侯爵家の馬車をバハムートが必死に追ってる感じだったんだよ。」

 うちの大事な子爵様は、なんでこの人は他の貴族を覚えようとしないかな?という残念至極ざんねんしごくな表情で肩をすくめて見せた。たたいてやろうか?

 「それでしたらダラゴナ侯爵様ですよ。」

 当たり前のように言うのがまた、可愛くないんだ。

 こういうところは家に招く前から変わらない。だって、そんなの覚えられないでしょう?似たような”=”を挟んだドイツ風カタカナなんだから。

 子爵の言うように覚えて欲しかったら漢字で書ける名前にしやがれと言いたいのだ。

 陀羅護那ダラゴナ侯爵ご一家とかさ。ゴメン。やっぱむり。

 「ソウタさんはその馬車を助けるような働きだったのでしょうか。」

 「うん、そう。バハムートを片付けた後にその馬車に乗ってた侯爵息女ってのがまた気に入らない感じでさ。

 いきなり”護衛になれ!”っていうんだぜ?みんなのことが気になって焦ってるときに訳わかんなくて瞬殺してやったけど。」

 「あまり敵を作らないでちょうだい。貴族が盤石であるためには陛下にだけ寵愛ちょうあいを受ければいいという訳じゃないでしょう?

 なんで助けを求めたのか?何が正解だったかは判らないけど、その侯爵家は何かに困ってはいたんでしょう?」

 そう言われればそうかも知れないが、俺には優先順位があったんだよ。

 お前たちが無事でなければ、他は後回しに決まってる。

 「パパは心配し過ぎじゃないかにゃ?」

 「そんなことはない。何に敵意を持ってるか判らないドラゴンが居たんだぞ。自分の家族の無事が一番大事に決まってる。」

 「ソウタさんはバハムートを発見してすぐに追いかけたのでしょう?そしたら私たちは無事に決まっていると思うのですが。」

 「アニエス、それはアニエスたちの顔を見るまで判らないじゃないか。」

 「シルファちゃんが言う通りこれは相当に心配性のパパですね。」

 シロップまでそんなこと言うのか。


 「ダラゴナ侯爵家と言いますのは、古い家柄の由緒ある侯爵家だったと記憶しています。」

 ヘッセン子爵の記憶によれば、ギーフのほぼ全域を治める大領主であり、子爵たちの居たアイチに対しても強い影響力を持った豪族の類だと言う。

 アニエスの実家もギーフのセキにあることから、ダラゴナ侯爵家の庇護下にあるのだという事だった。

 太平洋側に対して特に強い影響を示し、穀物類や山岳地帯特有の野菜などを中京地区から阪神地区に対して安定供給している実績を評価されて、神国の中心がセイトにあった頃にはもう叙爵されていたのだと言う。

 ギーフ北部はトサンと国境を接しており、昔から往来もあって良好な関係を続けているが、この10年ほどは例のバハムートが営巣してしまったことによって、神国南部へのルートが限られたものになっていたはずだと聞いた。

 それに加えて先には北部の相当の範囲が俺に割譲されて、石高こくだかが下がったにもかかわらず、自分たちの努力によって増々の開墾を進めて僅かな期間に穀物類の生産量を回復して見せたのだという事だ。

 しかし、俺自身はその割譲された土地を利用するつもりもないので、資源の一切は元の持ち主の好きにさせている。

 「率直に申し上げて、勤勉且つ友好的な侯爵領でありまして、今回のような事が遺恨を残すことになりますとご領主様にも決して良くはないと思うのです。

 侯爵息女がトサンからのお帰りの際にお寄りになるのでしたら、少しは歓心を買うのもいらぬトラブルを起こさぬためには必要になるのかもしれません。」

 「ほらごらんないさい。アニエスちゃんのご実家のためにもご機嫌を取っておいて損はないと思うわよ。

 トサンとの間の通商に影響が出ても、やはりマイナス要素が大きいと思うのよ。」

 そうは言うが、あの状況であんな物言いをされれば俺じゃなくたって気分は良くないと思うのだが、俺の対処が間違っていたというのだろうか。

 「とりあえず帰りに寄ってくれれば、それなりに歓待はするよ。」

 如月にそう約束させられて、この日は解放された。



 ワタクシの家は貴族家でもかなりの家格を持った家柄だと聞いていた。

 ダラゴナ侯爵家。このギーフのほとんどを領地として治めていると聞いてるんだけど、私が領主でもないし、生まれた時からそうだったのだからどれほどのモノなのかも判らない。

 親王陛下が交代されて、今の陛下に変わったのだってワタクシが8歳の時だし、お父様やお爺様、いいえもっと先のご先祖の方々から続いているって聞いてるんだから、昨日貴族になったようなヤマノベ家とは比べられたくはないわ。

 ヤマノベと言う公爵がどのような功績を上げていきなりにも叙爵されたのかは知らないけど、由緒あるダラゴナ侯爵家は善政を敷いて長く領民たちを導いてきたからこそ今日があるんだわ。

 馬車の向かう先はトサンの西の港、フセモク。

 お父様がトウトの陛下から依頼されたドラゴンの卵の採取とカラフトの研究所とかへ送るお仕事だった。

 お父様の指揮する部隊が領地北部の山岳地帯に営巣しているバハムートの巣を発見し、監視すること約一年。

 ようやくにもバハムートが卵を産んだという知らせが入り、お父様たちは大喜びだったの。すぐにも領軍を率いてお出かけになったお父様は酷い怪我を負って戻って来られた。

 家人たちが慌てふためく中、医師や薬師の手配をお母様と手分けして行い、お母様の一喝で取り敢えず落ち着きを取り戻した家人たちだったが、勇猛にして温厚と親しまれたお父様の大事に相当に取り乱した様だった。

 家臣たちや領軍の中にも大怪我を負った者も、変わり果てた姿になった者も多くいてバハムートに挑むという事がどういう事なのかと改めて思い知らされたことになった。

 それでもお役目を果たしたとばかりにお父様は割らずに持って帰ったバハムートの卵をワタクシに託されたの。

 「ぐっ、よ、ヨランダ。この卵をトサンのフセモクまで運んで・・ゴホ、運んでくれぬか。陛下より、賜った大事なお勤めぞ。ガハッ!はぁはぁ、急げ、急ぐのだ!」

 「でも!?お父様のお身体が!」

 「ヨランダ、お父様のお言いつけですよ?すぐに支度なさい。」

 「お母様!?」

 「フセモクまでは片道で半日と少し。そして道中には陛下の覚えもめでたいと言うヤマノベ公爵様の領地があります。

 帰りにそこに寄るのです。訳を話し、ご助力を頂くのです。

 ヤマノベ公爵様は稀代の大魔法使いでいらっしゃるうえに、神殿神官の数十人分に値するリジェネレーションを行使されるそうですから。

 明日には戻れましょう?お連れすること叶えば、お父様や家臣などたちどころに治ります。」

 そうか!聞いたことがある。

 かの公爵様は誰にも真似のできない威力の魔法を全種類極めていると。

 であれば!

 「お父様のご用事、きっと果たして見せます!そして公爵様にお越しいただきます。」

 もう一度、お父様の様子を確かめる。

 一刻の猶予もないだろう。できれば、行き道で公爵様にお願いし、卵を届けている間にもこちらにいらしてほしい。

 どんなムリかは判ってはいるのですけれど、真摯にお願いすれば!

 「すぐに馬車の準備を!」

 桐の箱に詰め物をした卵の入っている容器のふたを確かめ、館の正面へ走る。


 「もっと、急いで!」

 もう危険なほどの速度で馬車が駆けている。

 それでも焦燥感を拭えない。公爵様のお屋敷でお時間がかかるようでは間に合わないかもしれない。フセモクまでに盗賊でも出たら?迎えの船が来ていなかったら誰に預ければよいのか判らない。

 後ろ向きな考えに囚われて”どうしよう?”がグルグルと回り続けるのよ。

 私の乗る馬車には執事が一人付き添ってくれている。

 ヤマノベ公爵様の情報を仕入れておかなければ、機嫌を損ねてしまう事もある。

 ガタガタと車輪の音がうるさいくらいに車内に入りこんでくるが、公爵様の元で失敗しないようにと執事にがなり立てる。

 「ヤマノベ公爵様と言うのはどんな人なの!?」

 「お嬢様、申し訳ございません。良く聞こえないのですが・・・」

 ドスン。

 車内で執事とワタクシが飛び上がる。それほどまで速度が出ていて、ほんの小さな路面の凹凸でも馬車が跳ね上がる程だ。

 当然互いの会話も成り立っていない。

 そんな時だった。

 御者を務めている領軍の兵士が車内に大声で怒鳴りつける。

 「お嬢様、ドラゴンです!」

 どうして!?見つかったの?

 まだトサンとの国境までこのペースで飛ばしても四半刻はかかるわ。

 四両編成で前から二両目のワタクシの乗る馬車を挟むように護衛の兵たちが乗り込んだ馬車が守ってくれている。

 だが、それは盗賊などに対しては頼もしい守り手ではあるが、ドラゴンに対しては・・・

 「急ぐのよ!後ろなんて見なくていいからとにかく駆け降りて!!」

 山肌を縫うように、転がり落ちるように四両の馬車が暴走する。

 それぞれの馬車をく馬たちの目が血走っている。よだれが飛び荒い息を吐きながら背後から迫り来る恐怖から逃げようとしているようだ。

 緩い右カーブを駆け抜ける時、陽の光が遮られ鼓膜が破れるような咆哮が降ってきた。

 ギシャ―――――!!!

 最後尾の馬車にドラゴンの強靭な双脚が叩きつけられた。

 とてもあっけなく馬車が砕け散り、馬たちが崖下へと落ちて行くのが見えたの。

 ドラゴンも怒りに我を忘れているのか、あれじゃ卵が四両目に積まれていたら助からないじゃない!?

 立ち木に邪魔され、ドラゴンがいったん高度を取る。

 次に山陰に隠れるように強い左カーブを曲がる。しばらくは山林の間を縫うような道が続き、ドラゴンも容易には近づけないようだ。

 グゥオオオンンン!

 逆上したかのような咆哮が木霊し、ブレスが放たれた。

 一瞬で前方の木立が燃え上がり、火のトンネルを潜り抜けるようになる。

 馬たちが暴れそうになるのを兵たちが無理矢理にもねじ伏せるようになだめ、さらに鞭を入れる。

 周りを見渡すと針葉樹が減り、広葉樹が目立つようになってきた。

 もうすぐ山間を抜けるだろう。そうすればヤマノベ公爵領だ。

 しかし、このままではドラゴンを連れて街中に入ることになる。

 どうしたらいい?

 突然に目の前に現れるトンネル。

 これを潜ればすぐにも視界が開けるだろう。ギーフとトサンをつなぐ国境のトンネルだ。

 轟然とトンネルに飛び込み、ひたすらに速度を上げる。

 兵士たちも馬たちも恐怖から逃げることで一杯になってる。

 トンネルの出口が見えたと思ったら視界が一気に開けた。

 目の前にはダイタクヤの新しい街が広がり、街道が一直線になる。ドラゴンは稜線を越えなければならず、いったん距離が開いたと思う。

 そう思ったのだが、気休めでしかなかったのだろう。すぐ側から咆哮が降ってくる。

 もう、パニック状態になっている馬はダイタクヤで止まろうともせずに暴走している。

 猛スピードで駆け抜ける馬車を止めることも出来ずにトサンの平野部に差し掛かる。地面にドラゴンの陰が落ちているのが見えるし、殺気じみたプレッシャーが背後にあることも判る。

 後方を確かめようと窓からのぞくと、一気に高度を下げてくるドラゴンが見えた。

 「来るわ!」

 もうダメだと思った。車列のすぐ上空に覆いかぶさるように死を運ぶ怒れるドラゴンが見えるのだもの。

 しかし、ブレスも強靭な双脚に生えた爪も馬車には届かなかった。

 ドムドムドムと言う聞いたことのない音が背後から聞こえ、すぐにドラゴンが悲鳴を上げた。

 そして馬車から離れ、急上昇を始めるの。

 何があったの!?

 次に近づいてきた轟音は生きているものの発する音ではなかった。

 ギ――――――ンという耳障りな甲高い音をさせて光り輝く何かが車列を追い越していった。

 その輝きはあっという間にドラゴンに追いつき、さっきの連続する音を放ちながら、見ると光の魔法を放っているらしかった。

 それはドラゴンに致命的な傷を負わせられるのか、鱗や双翼、尾までもちぎり飛ばしている。

 なんという力なのだろうか。

 大きなダメージを負わせることに成功したらしく、ドラゴンが先の方の畑に墜落したの。

 地震かと思うほどの振動が伝わって来て、悶えるドラゴンがブレスを放った。

 煌めく炎は岩も鋼鉄さえも溶かすと言われている。あれを受けてはダメ!そう思った矢先にドラゴンから放たれたブレスは信じられないが、光る何かに跳ね返された。

 信じられないことだが、確かにブレスは跳ね返され、それを放ったドラゴン自身を焼き始めている。そして転げまわるドラゴンを焼き尽くさんとばかりに炎の色が変わった。

 白熱していると言っていい。日中に見る太陽のように白い炎はドラゴンにまとわりつき、見る間にドラゴンの無敵の鱗さえも炭に変えているのだ。

 自分の目が信じられない。

 そして光り輝く何か。焼けただれたドラゴンに対峙するように地上に降り立ったソレは磨き込まれた輝きを放つ人型の巨人だったのだ。

 ドラゴンより僅かに高い身長を持ったその巨人はまるで竿のように長い剣を右手に持ち、左手には別の機械を持っている。

 泰然と屹立する巨人はドラゴンから目を離さず、その行方を追っているようにも見える。

 ドラゴンは既に焼き尽くされようとしており、自棄やけにも見える吶喊をする。

 しかし、巨人は数度剣を振るい、ドラゴンの腕を落とし、首を跳ね飛ばし、両足を切り裂いてしまった。

 その容赦のない攻撃でドラゴンは沈黙したようだ。

 馬車は脅威が去ったと判断した御者たちによって速度を緩められ、今にも死にそうな表情の馬たちもパニック状態を脱したようだ。

 巨人に近づくにしたがってその大きさに息を飲む。

 天を突くような雄々しい出で立ちと、強さを象徴するような長大な剣。そして陽の光の全てを反射するほどに磨き込まれた体躯を誇り、討ち取ったドラゴンを土魔法で畑の肥やしに変えていたのだ。

 一難去ってまた一難とならないとは言えず、街道を塞ぐように畑から上がってきた巨人はその位置から魔法を発動し、ドラゴンの死骸を畑に埋めて行ったの。


 道を塞がれたワタクシたちの馬車は巨人の遥か手前で停車せざるを得ず、巨人に襲われれば一捻りにもならないだろうが、兵士たちが私を守るためにと車列の前方に展開してくれた。

 巨人はワタクシたちを襲う気が無いのか跪くように身を屈めてくれる。

 驚いたのは次の瞬間だった。巨人の胸が開き、その中から一人の青年が出てきたのよ。

 この巨人は人の操るモノだったことを知る。それと同時に操り手の青年を観察し始める。

 黒目黒髪の人だ。こんな特徴を持った人は見たことが無かったが、黒髪は年齢を若く見せる。

 顔を見る限りはきっと20代の半ばぐらいだろうか。

 表情からも敵意はないように見えるし、ドラゴンさえも赤子の手をひねるように切り伏せられるような強大な力を御し得るのなら、この者に守らせるのが良いと考えた。


 「そちらがどういった方かは判りませんが、取り敢えずバハムートも討つことができたのでこれで失礼させていただきます。そちらも道中はお気を付け下さいね。」


 この者がどのような身分を持つ者かは知らないが、実戦的な立場にあるのであればせいぜいが騎士爵程度だろうと思う。


 「待ちなさい!その方にわらわたちの護衛を命ずる。ありがたく拝命しなさい。」

 「お断りします。」


 貴族然とした物言いで護衛の栄誉を与えようとしたのに、被せるように断りを入れられたの。こんな失礼な奴を私は見たことが無い。

 助けられた自覚はあるが、無位の者とも思えるようなこんなやからに悪し様に扱われるのはワタクシの身分が許さない。

 それなのにこの男はワタクシに謝罪するどころか、さっさと巨人の中に帰って行ってしまった。

 「バカな!?ワタクシをダラゴナ侯爵家が長女、ヨランダ=ダラゴナと知っての軽口であればそなたが誰であろうとも赦しはしないぞ。」

 自分の氏姓うじせいを名乗り、謝罪を要求しようとしたのだが、巨人の中から出ようともせずに反論をくれる。

 「ダイタクヤの領主館におります。ソウタ=ヤマノベと申します。ご覧になっていらっしゃいますのは聖銀の巨人です。お帰りにはぜひお寄りください。」


 相手の名前を聞いてワタクシの心臓が止まりそうになった。

 目の前の巨人はかのクノエにあって、伝説と言われていた「聖銀の巨人」で、その操り手はヤマノベ公爵その人だったのだ。

 家臣の兵たちはそれを聞いて全てを察したらしく、平伏している。

 目の前の執事も馬車を飛び出して臣下の礼を捧げているではないの。

 一言でいうと「やっちまった。」だわね。

 でも、公爵の態度には矛を収めることなど出来なかった。

 何という不遜な態度。何と言う気分の悪さ。

 公爵がどれほどの功績を誇っていようと、どれほどの魔術を操ろうと、こんな巨人を御し得ていようともそれはワタクシの矜持が許さないと言っている。

 「ぐぬぬぬ!何よあいつ!なにがヤマノベ公爵よ!腹が立つぅー。」

 執事や兵たちに盛大に叱られたわ。

 ワタクシの態度ではお家が摂り潰しになると。

 親王陛下に一番近い貴族ですって!?ワタクシのお父様は陛下直々に依頼を貰っているのよ?それよりも偉いって言える!?

 見なさい、神獣とも言うべきバハムートの卵を手に入れたのよ。

 神国の未来のためにお父様は身を粉にしてお勤めを果たしているわ。あんなぽっと出のお坊ちゃんになんて負けないんだからね。



 あいつじゃなければお父様を助けられないなんて今のワタクシの、この、渦巻く怒りの中で考慮することなんて出来るわけないじゃない。

 そうよ!完全に忘れていたわよ。

 でも、今の私にはそんなことなんて思い出すきっかけさえも見つけられなかったの。

 絶対に許すなんてできないんだからね!

ヨランダは今後、ソウタとどのようにかかわっていくのか?決定的なのは「こんな我の強いのはソウタの嫁にはなりません。」ということでしょう。

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