【第105話】次の暗雲
いつも読んでくださって、ありがとうございます。
この話は良い話と悪い話で構成されています。どちらを先に聞きます?
ダイタクヤから招聘した工兵部隊とその部隊を世話してくれるメイドたち。
俺の作った泥のアパートで寝泊まりしながら、トウトのメイドたちと仲良くしてくれて、我が家の再興にも勢いがついている。
基礎ができてからと言うもの、レネゲイドの稼働率も上がり、強靭な構造を持つ躯体が出来上がりつつある。
以前の屋敷で感じた不具合や、メイドたちが希望する様々な要件が取り込まれ、新しいヤマノベ公爵家は以前に比べて少し広くなる予定だが、床面積では語りつくせない様々な工夫をその身に取り入れつつあった。
俺の希望で食堂はさらに拡張され、俺の家族とスタッフにメイドや家令たちが十分にゆったりと食事が取れるばかりでなく、メイドたちが結婚式を希望して俺が主催するときに都合がいいように姿見や水場のある控室や、イベントに適した造りの広めの控室などを備えるようになった。
そして一番欲しかった祭壇と誓いを告げるためのステージも出来上がりつつある。
とにかくダイタクヤの連中は仕事が早いので、あとから希望する変更を言うと、追いつかないこともあるのだ。
「もっと、早く言ってくださいよ。やり直さなきゃいけないでしょう?」
なんて棟梁に叱られるのも俺の役目になっている。
本当にわずか二か月で建築が進められ、新しい我が家に俺の家族たち全員が泥屋敷から引っ越すイベントがやって来た。
100人近い家令たちが敷地内のわずかな距離ではあるが引っ越す様子は、楽し気であり、新しい希望に満ちた表情を満面に表しており、ダイタクヤから来てくれたメイドたちが俺と一緒に式典の準備を手伝ってくれている。
トウトのメイドたちが引越しを楽し気に体験している間中、俺とダイタクヤのメイドたちは式場の準備と調理にてんてこ舞いだったものだ。
ちょうど昼頃には泥屋敷が空になり、僅かふた月ではあるが自分たちを守ってくれていた屋敷の解体からセレモニーが始まった。
「皆さん。ふた月前の地震は早々忘れることも出来ないほど大変な出来事でした。トウトのメイドの皆さんには怪我を負った人も居ましたし、怖い思いをした人もたくさん居ました。
そして家財のほとんどを失い、悲しい思いもしました。それでも街の多くの人達を助け、喜ばせ、勇気づけてくれたことに大きな感謝を差し上げたいと思います。
お蔭で、我が家の名声はより高められて、”メイド”という職業がいかに暮らしの重要な部分を占めているのかをたくさんの貴族たちに教えることができたのではないでしょうか。
それは皆さんが成し遂げた成果であって、大きな達成感と共に誇ってもらいたい出来事です。
そしてダイタクヤから来てくれたもう一つのヤマノベ家を守ってくれているメイドの皆さん。
慣れない場所に来ながらもトウトのメイドさんたちと共に公爵家の家令であるに相応しい仕事をとてもたくさんこなしていただきました。明日からは普段通りの日常に戻ってもらいますが、今回の経験を貴重な糧として、ダイタクヤの発展に寄与してくださることを期待しています。
トサンは一言で言えば田舎町ではありますが、私の住まう町として相応しいメイドさんたちが居るんだと誇れる街になると思います。貴族たちや陛下でさえも行ってみたくなる場所になれればと思っていますので、よろしくお願いいたします。
今回のお手伝い、本当にありがとう。
そして最大の功労者であるダイタクヤの工兵部隊、輜重部隊の皆さん。
我が家の危機を救ってくださって、本当にありがとうございます。見てください、この立派な屋敷を。焼ける前の屋敷も立派なものではありましたが、いま目の前にあるこの新しい屋敷はそれを幾倍も上回る素晴らしい物になっているではないですか。
本当ならダイタクヤの私の屋敷もトウトのメイドたちに見せてやりたいのですが、どちらも私にとっては分不相応ともいえる立派なものになりました。
末永くヤマノベ家が繁栄を続けられ、皆さんの努力が無駄にならないように勤めて行きます。
ダイタクヤでの更なる協力を期待をもってお願いします。
こんな素晴らしいプレゼントを下さって、本当にありがとうございます。」
妻や子供たちとともに、目の前に居る全ての人達に感謝と慰労を籠めて頭を下げた。
皆は、貴族がすることではないと驚いてもいたが、自分たちの仕える公爵ならばやはり頭ぐらい下げるのだろうとため息を吐いていた。
貴族が家令に頭を下げる。
これまでの歴史ではなかったことで、上下の身分制度が日本よりハッキリとしたこの世界では奇異に映るのかもしれないが、俺が「我が家」、「家族」と言い続ける限り、家臣たちではなく「身内」なんだ。
だから感謝の気持ちは頭を下げて顕すし、「ありがとうございます。」と伝えもしたい。
普段からそう言い続けていたからか、照れるような表情はするものの、不快な表情をしている者はいない。
俺の気持ちを素直に受け入れてくれたようだった。
「では、一時を過ごした仮住まいに別れを告げまして、本当の我が家を楽しもうではありませんか。」
俺の魔法が切れ、今の今まで堅牢な土壁を見せていた仮住まいがゆっくりと地面に吸い込まれるように消えて行った。
その魔法が魔法を使えない人々には奇跡のようにも見えると言うが、ほんの数秒で元から何もなかったような庭先へと戻っていった。
「そうそう、前の屋敷にあった皆さんの持ち物は俺の次元断層の中で時間遡行を経て取り戻してあります。それぞれの部屋に置いてありますので、思い出の品や大事だったものが足りているか、確認してくださいね。
ちゃんと下着の一つも元通りにしてあると思いますよ。」
キャーともギャーともとれる叫び声が聞こえ、驚いてみんなを見ると、羞恥に染まったような表情の女性たちが俺にこっちを見るなと言う視線をくれている。
「ソウタさん、物は言いようだと思うのです。下着の話なんてしなくても良かったんです。みんな恥ずかしくてソウタさんに近づいてこなくなっちゃいますよ?」
フィアに窘められ、そうか?と思ったのだが、もう手遅れでメイドさんたちが俺から距離を置こうとしている。
アスナが真っ赤になりながら「パンツもですか?」と確認してくるのだが、自信をもって頷くと、またギャーと言う叫びがそこら中から聞こえてきた。
遠くから「お館様のバカー!」というお叱りの声がいくつも飛んできたが、パンツだけ燃えたままにしておくことも出来なかったんだよ。
選択肢のない魔法だったから、時間が戻ればパンツだって元に戻るだろう?
気を利かせたつもりが感謝どころか、羞恥の上の罵声しか浴びせられず、がっくりと俯くしかなかった。
「みんな!大事なパンツも元に戻ってよかったわ。ソウタさんには後でちゃんと叱っておきますから、グラスを手に持って頂戴。
いい?さぁ、乾杯!!」
「乾杯!」
女性と恥ずかしくなかった男性だけで乾杯が始まり、俺だけがのけ者にされて祝賀会が始まった。
如月の発声で始まった祝賀会は俺の作った料理が山と積まれ、早速フィアたちが串刺しを作りながら楽しそうにしているのだが、同席した貴族街の公爵やら伯爵やらは俺の家族を眺めながら口をパクパクとしている。
「こ、公爵様、お宅のメイドたちが公爵様を”バカ”と!?」
罵声や俺を置き去りにした乾杯にと、自分たちの家では起こり得ないことの数々についてこれなかった貴族たちが呆れかえっている。
「ああ、そんなことですか?私の家では日常茶飯事ですよ。それに皆、私には尊敬を向けてくれています。それでも私が我が家はこうあってほしいと願っているので、判ったうえでやってるんです。
仕えるだけではない、奉仕するだけではない。自分たちの仕事が”仕事”であり、対価を得ていることを誇りに思えるほどに真剣に取り組んでくれています。
いままで申し上げたことはありませんが、我が家のメイドはそれほどにその職業に誇りを持っています。真摯に向き合い、誰のために、どのような効果があり、どのような成果が得られるのか。
メイドと言う仕事をすごくよく、理解してくれているんですよ。
ですから、その報酬も一般的な額ではありません。見合った。そうですね、伯爵様のお宅のメイドの3倍以上は払ってます。」
「そ、それは真のことですか?なぜメイドにそこまでするのです?」
「彼ら、彼女らは誰と比べても十分すぎるほどの仕事をしてくれています。私がそれに見合うと思った対価を示せば、それを糧に満足を得、さらに充実した仕事を示してくれるのですよ?
皆さんが我が家で一時の楽しみを得ようと思ってくださるという事は、彼女たちがそう思えてしまうような仕事をしてくれているからでしょう。
陛下も何度も我が家にいらっしゃいまして、ウチのメイドたちの働きぶり、私との接し方、皆さまへの対応を見て、聞いて、お城へとお持ち帰りになられました。
ご存知ではないかもしれませんが、お城でも我が家への対応はウチのメイドとほとんど変わりませんよ?城の廊下ですれ違う時に、セントラルキャッスルのメイドさんたちは他の目が無ければ「今日のお昼は何にします?」なんて話しかけてくれるんです。
お妃様と楽しそうに会話を交わすメイドたちは、お妃様へのお気持ちはそのままにまるで姉妹かと思えるほどに気安い会話をしています。
昔はどうだったかは判りませんが、陛下の御髪に埃が付いているのを見たメイドは、”埃みーっけ”なんて言いながら、陛下の髪に着いた誇りを取ってくれています。
陛下も、ありがとう。なんて気軽なお返事を差し上げている位ですから、それがご自分の考えに沿ったものであるのでしょう。
もちろん、気安いばかりがいいことではありませんし、甘やかすことと同じではありません。しかし、緊張ばかりが続く仕事と、自分で考えながら楽しんで取り組む仕事とは中身は外から見える所作とは大きく違うんです。
試してご覧になられますか?」
「それは・・・今すぐにご返答はできません。あまりにもこれまでと違った話を聞いてしまい、思い悩む時間も必要と思うのです。」
「そうでしょうとも。もちろん今まで通りで構わないのです。他にはそんな世界もある。程度に思ってくださればいいんです。
私のしていることが正解とも限りませんでしょう?皆さんの方が貴族として正しい歴史を刻んできたのです。私のような若輩が正しいと思うのも良くないことです。
そっちの方が正しいのかと思うことがあれば、挑戦してみるのもいいでしょう。
また、これまでの歴史を壊さないように積み重ねることも大事な局面を支えてくれるかもしれないのです。
こんなことに正解があると考えない方がいいのかもしれませんね。」
「公爵様は本当にメイドを家族と思っておいでなのですか?」
そう聞いてくる貴族は、例の失敗したメイドを抱いて許したというその人だ。
本人にそれを言う訳はないが、旧態依然の貴族の世界ではそうだったし、自活できない女性たちを生かすも殺すも貴族次第という世界だったのだから、その時点ではそれが正しいかどうかは別にして「当たり前」だったのだ。
だからそれを責めることはしないし、ことさら表にすることでもない。
ただ、俺自身はそれを間違っていると思っているだけだ。
「ええ、私にとってメイドは私を生かしてくれるために必要なサービスと快適を提供してくれている大事な仲間であり、家族です。
何があっても守り、慈しみ、共に育っていく姉や妹で、彼女たちが伴侶を得て妻となる時までも、それからも大事にしていく必要のあるかけがえのない者たちです。
伯爵もご存知の通り、アニエスとシロップはこの屋敷のメイドでした。ある時に普通であれば考えられない行動を取り、他家であれば当然、懲戒免職にしたでしょう。
それを恐れた彼女たちは、私に抱いてくれと申し出てきたのです。そうすれば許されると。
その時に私は彼女たちを叱りつけました。
その考えは間違っていると。
女性はその身と心を捧げるべきは主家の主ではなく、その伴侶でしかありえないと言いました。
まぁ、結果的に彼女たちが選んだ伴侶と言うのは私自身だったのですが、私は彼女たちを迎え入れるまでやはり手を付けることはしませんでした。
さっきも言いましたが、それが正しいかどうかは別なのです。
私の家はそれでうまくいっていると言うだけで、皆さんに同じことをしたら良いと申し上げることもありません。」
黙り込んでしまった伯爵は、自分の行動を振り返っているのか、深い思慮に埋没してしまったようだ。
「私は、私はもしかしたらとんでもない過ちを過去にしてしまっているかもしれません。このような晴れがましい席ではありますが、中座する許可を頂けますか?
私が過去に行った愚行を詫びて、私のために尽くしてくれている彼女に正しく在ってほしいと態度で示したいと思うのです。」
「そのようなことが?そうでしたら、一刻も早くその方を救い上げてご覧になられてはいかがでしょう。私はそのような行動をお取りになる伯爵には尊敬の念を抱くことしかできませんね。」
少し照れたような表情を浮かべた伯爵は、急いで帰り支度を済ませ、俺に断ってから帰って行かれた。
いつかの悲しい思いをしたメイドがほんの僅かでもその思いを雪げられれば貴族街の貴族の厚みも少しは高まるのではないかと思う事が出来るのだ。
宴たけなわを過ぎ、中締めの頃合いと考えた俺は、締めの挨拶を済ませ、ダイタクヤから来てくれたみんなを送り届けた。
子爵様に礼を述べ、トウトから戻ってきたみんなを労わってくれるようにお願いもした。
そしてトウトの我が家の庭に再び花や木々たちが戻るようになり、日常が取り戻されたころ、一人の女性がアニエスとシロップを尋ねてきた。
アニエスより二つ年上のその人は二人に涙ながらに感謝を伝え、何のことか判らなかった二人も、話が見えてきたころに同じように涙を流して手を取り合って喜んでいた。
そう、祝賀会の席を慌てて立ち去った伯爵様が、その日のうちにかのメイドに頭を下げて、どうか妻になってほしいと懇願したのだそうだ。
以来、可愛がってもらえてたくさんの愛情を注いでもらっているのだと言う。
シロップやアニエスと同じように側室になった彼女は、地位と立場を得て昔のことを良かったと思えるようになったのだと言う。少なくない伯爵に対する気持ちもあったので、妻に迎えられる日が来たことが本当に幸せだったのだと聞かせてくれて、俺にも感謝を伝えてくれた。
「だから、私たちはソウタさんが大好きなんです。どこの誰も一人残らず救ってくれるソウタさんは、やっぱり私の王子様です。」
俺をまっすぐに見つめてそう言ってくれるアニエスも、飛びついてくるシロップも祝賀会の日にそんなことがあったなんて知らなかったと言い、その結果が思いもよらない「良かった」を生んでくれたのがとても嬉しいと言ってくれた。
フィアも如月もそりゃ、そのくらいするだろうと言いながら、キスをくれて喜びを分かち合っていた。
女性が良かったと思える世界になるなら、それは伯爵に言った「正しいかどうかは分からない」と言う気持ちを返上して「正しいこと」だと言い切ってもいいのかもしれない。
ついでにだが、伯爵家でもメイドさんたちの給金が跳ね上がり、メイドさんたちはそれに見合った仕事をしなければと慌てふためいたそうだが、そうであればより早くに震災から抜け出して、トウトのためにと伯爵様を支えてくれるのではないだろうか。
副次的にも伯爵様の株が上がり、仕事ぶりにその余裕や自信が現れるならば、陛下にとっても良かったと言えるだろうし、伯爵様にも未来が明るくなるだろう。
俺からのプレゼントとして、伯爵家に雲の上を渡るような乗り心地の一頭立ての馬車をプレゼントしておいた。
ヤマノベ自動車が順調に成長を続けることで神国隅々に暮らす人たちの移動が楽しくなり、苦労が減っていくと色々な方面から感謝がいただけている。
イノベーションと言うべき工業化が様々な暮らしに役立つ商品を生み出し、働く人たちの所得が増えることで経済が活性化しているし、それで税収が増え始めており、陛下やユンカーさんは財務を担当する公爵様と驚いているらしい。
毎年の経済成長率がグングンと伸び始めており、農業や漁業の分野でも工業品が入り始めることで効率的な育成が捗っているために収穫量も倍増しており、食料の国内自給率が過去10年で35%から40%まで苦労して増やしたはずなのに、この二年ほどの間に75%まで急伸し、金で手に入れていた外国からの輸入食料を減らすことに成功している。
日本であればそれで海外の途上国が外貨獲得の機会を失い、逆経済摩擦となっていたはずなのだが、国内に振り向ける食糧事情が改善したことで健康寿命が延び始め、労働力の厚みが増していると聞いた。
GNP(国民総生産)またはGDP(国内総生産)にもその数字が表れ始め、越国や比国の海外輸出量が食料を中心に大幅に伸び始めている。
主にはインディーラやローレシアに輸出され、それぞれの食糧事情を改善するとともに、国境の安定にも貢献しているらしい。
馬国などの西華とのパワーバランスも大きく改善されており、自国で開発された最先端の駆逐艦や巡洋艦が西華の海洋進出を封じ込めている。
北華は近代化が遅れ、逆に大幅に最先端の兵器などを配備している南華に睨まれ、大国であるはずの西華共々隅っこに押し込められた形になっている。
北に神国と親睦を深めるローレシア。
南に大東亜共栄圏。東の大海には越国、馬国、比国に加えて神国の空母打撃艦隊と大和級の高速戦艦を擁する主力打撃艦隊がいくつも配備されており、つま先も出ることができない。
西は未だに戦火に乱れるイウロペがあり、四面楚歌となっている状況だ。
インディーラからイウロペに配備されている陸上戦艦も目の上のたんこぶらしく、ちょっかいを掛けては移動要塞に踏み潰されていると聞いた。
周さんの地団駄を踏む姿を夢想しながら、毛ほども可哀想とは思わないがな。
西華と北華を抜きにしてローレシアまでが共に繁栄を謳歌している最中、アイアメリカがイングリーンランドを助けるためにイウロペへの侵攻を開始していると聞いた。
あの時に死んでくれていれば、世界平和も近かったのだろうがチョビ髭の親爺がどうやら生きていたらしいという情報もある。
それで息を吹き返しつつあるというゲーマニアンたちは再びの恐怖政治を盛んに広めているのだが、一度離反した周辺各国を再び併合するために多くの時間を必要とするだろう。
それまでに勝負がつけばいいのだが、アイアメリカにそれだけの勢いがあるのだろうか。
「私は!私を貶めようとする4等臣民や5等臣民の下等な猿どもにどうこうされるような者ではない。ゲッペルズ!再び第1帝国を世に示し、膝間づかせなければならないのだ。」
「ごもっともです。閣下は神をも恐れることのない地位を極められ、世界を統べるためにおわすお方でございます。
神国などと言う5等臣民に汚されるはずがないではありませんか。」
「うむ。その言葉、真のことであろうとも。神など私の足元にひれ伏すような者たちだ。この苦難を乗り越えて、再び我がもとに白き国民を集わせ、黄色い猿や黒い奴隷たちを快楽のためにすり潰してやるのだ。」
「はっ、心得ましてございます。一時、ご威光が溢れ出るまで御身をお大事になさいませ。」
ゲーマニアンの地下に建造されている大きな空間。
ギリシャにあったような宮殿や宮廷が作られており、霊脈から溢れる様なエネルギーが満ちている空間。
大事を逃れたチョビ髭の総統閣下は傷ついた体を療養し、2等臣民とされるイウロペ各国から奪い、攫ってきた女性たちを貪るように辱めていた。
使い捨てられるように喰われ、討ち捨てられる少女や総統閣下のめがねに適う美貌を備えた女性が繰り返し辱められ、次から次へと用意されるそうした女性を文字通り喰らうようにして霊気ともいえる気力の高まりを見せ始めている。
乱れた空間に、幾人もの意識を刈り取られ、自我を崩壊させられた、まるで死体のように四肢を力なく投げ出した女性たちが積み上げられるようにしてある。
「まずはイングリーンランドを落とす。完膚なきまでに叩きのめし、アイアメリカを追い返してくれる。次は神国とアイアメリカを併呑する。
私に逆らおうと言う者は一人たりとも生かすつもりもないわ。」
高笑いを始める総統閣下の足元にまた一人の少女が崩れ落ちた。
世界観の広がりと言うか、海の向こうの話と言うか。
ソウタたちの成長と関係があるのでしょうかね?という脇道に逸れた話がここから数話です。




