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カイとソラ  作者: 神 雪
6/27

「みかん みかん みかん」

冬休み中の出来事です。


「あと少しでお正月かあ~」


「そうだね~。おもち、楽しみだね~」


 ぼくとソラは、年がじょうを書いてたんだけど、こたつの上においてあるみかんを見て、ソラが、


「アレ、やりたかったよね~」


「ほんと、やりたかったね~」


「「みかんのあぶり出し!!」」


 ちいばあちゃんは、むかしのことを色いろ話してくれるんだけど、ストーブをつかっていたいたころは、みかんのしるで絵や字を書いて、それをストーブの近くにもっていくと、書いた絵や字がうきでてくるんだって、教えてくれたんだ。

 いいなあ~。やってみたかったなあ。でもストーブないもんなあ~。ほかに、みかんで、できることってないのかな。



 年がじょうをやっと書き終わったぼくたちは、こたつでぬくぬくしながら、みかんのキャッチボールをしていたんだ。

 でもなんでお正月になっていないのに、「あけましておめでとう」って書くんだろう。なんだかへんてこなかんじがするよね。ぼくなんか、三回も〇〇年ってところを間違えちゃったよ。


 ゴロゴロところがるみかんは、なんだかかわいい! かわをむいて食べようとしたソラを見て、ぼくはピンとひらめいた。

 あ、このひらめいたっていうのも、ちいばあちゃんに教えてもらったんだ。ちいばあちゃんは学校の先生だったから、たくさんいろんなことを知っているんだって。お母さんが言ってたよ。


「見てソラ! みかん星人!」


「じゃあ、ぼくも」


 みかん星人は、ぼくの人差し指が体でおや指と中指が、手なんだ。大きな頭に緑色の小さなぼうし。ぼくもソラもはじめのうちは、「こんにちは」なんて言ってたんだけれど……。



「「ごめんなさい、もうしません」」


 

 みかん星人がなげたみかんの一つが、コロコロンっとキッチンでおそうじしていたお母さんのところまで、ころがって行っちゃったんだ。

 ふりかえったお母さんが、こっちを向いた時、こたつの上にはみかん星人が作ったみかんタワーがあって、もちろんぼくたちの指にはみかん星人がいて……


 

 うわっ。やっちゃった! 見つかっちゃった!


 

 そう思った時には、ころがったみかんをひろったお母さんが、こわい顔をして、ぼくたちの前に立ってたんだよ。


 それからぼくたちは、とってもとってもおこられたんだ。

 食べものであそんじゃいけないこと、作ってくれた人のことをわすれないこと、ありがとうって気もちをもつこと。ええと、それだけだったかな。

 もちろん「せいざのけい」だったよ。こたつから出なくちゃいけなくて、さむいし、足はビリビリしてきちゃうし。


 でもね、作ってくれた人は、きっといやだろうなって思ったんだ。だから、ぼくもソラもごめんなさいをちゃんと言えたよ。

 それに、お父さんやお母さんにもごめんなさいを言ったよ。だって、お父さんとかお母さんがはたらいて、買ってきてくれたみかんだから。


 お父さんは、ぼくとソラにおいでおいでをして、小さな声で教えてくれたんだ。


「お父さんも、小さいころに、おんなじ事をして、おこられたよ!」




 みかん星人はとりあげられちゃった。

 ぼくたちが、みかんを入っていたカゴにもどしている間に、お母さんがかわをむいて食べちゃった。

 いちどに二つも食べちゃうなんて、かいじゅうみたい。それにね、今日はみかんを食べちゃいけませんって、カゴごともって行っちゃった。


 ええ~、みかん星人を食べちゃうのはかわいそうだけど、みかんは食べたかったのに。


 

 もうみかん星人ではあそべないけどさ、みかんじゃなければいいよね。だってすごくおもしろかったんだもん。


 ぼくたちの部屋に行ってから、ねんどでみかん星人のかわりを作って、それからねんどなげして、あっちこっちねんどだらけになって、もういちど、おおそうじしたのは、お母さんにはないしょだよ。

 

 


*「みかん みかん みかん」おわり*

本当は、年内に更新したかったのですが、お楽しみ頂けたら嬉しいです。


次話更新予定は1月8日午前10時です。



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